純国産の3Dプリンター実現へ、島津製作所が始めた技術研究の全容|ニュースイッチ by 日刊工業新聞社

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純国産の3Dプリンター実現へ、島津製作所が始めた技術研究の全容

純国産の3Dプリンター実現へ、島津製作所が始めた技術研究の全容

(左から)エス.ラボの柚山精一社長、第一セラモの川北晃司社長、島津産機システムズの中西典顕社長

島津製作所は、第一セラモ(滋賀県東近江市)、エス.ラボ(京都市伏見区)、近畿大学と共同で、純国産の金属3Dプリンター技術に関する研究を始めた。各者の専門性を持ち寄り、簡単に金属3次元(3D)造形品を生産できるノウハウを構築する。

 

「材料押し出し積層法(MEX方式)」の金属3Dプリンター技術の研究を始めた。第一工業製薬子会社の第一セラモのコンパウンド材料をエス.ラボの金属3Dプリンターで造形し、島津製作所子会社の真空脱脂焼却炉で焼結する加工工程の実現を目指す。近畿大が全体の評価・指導を行う。研究期間は2年間で、4者の拠点に装置と部材を置き、効率的に研究を進める。

研究と並行してシステムを外販し、ユーザーのニーズなども集める。消費税抜きの価格は標準セットで3000万円を想定。まずは20セットの販売を目指す。

 

MEX方式での加工工程は、金属粉末を混ぜた樹脂材料を熱で溶かしながら造形した後、樹脂を飛ばして金属のみにする。複雑形状の部品や軽量化などが期待され、試作部品だけでなく実部品の製造にも適している。

 

一方、先行して普及が進む金属3Dプリンターは、海外製の装置や原材料が多く流通しているため、導入コストやメンテナンスなどで課題があるという。

日刊工業新聞社2021年12月28日

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