プリクラブームから20年、「いいね」もらえず“SNS倒産”|ニュースイッチ by 日刊工業新聞社

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プリクラブームから20年、「いいね」もらえず“SNS倒産”

メイクソフトウェア、業態を変え生き延びてきたが…
 メイクソフトウェアは1988年12月に創業し、翌年11月に法人改組した企業だ。設立当初は家庭用ゲームソフトの開発業者だったが、プリクラブームに乗じて97年8月にプリントシール機開発をスタート。新機種を投入し、2005年7月期には売上高約63億円を計上するまでに至った。

 その後、スマートフォンの出現で簡単に高画質写真の撮影が可能となったことで、女子中高生の利用が大幅に減少し、プリントシール機市場は縮小した。

 そのため、プリクラ各社は専用アプリを開発し、スマホとの親和性を高めて生き残りの道を図る。同社もプリントシール機販売の不振をスマホサイトで補うビジネスモデルに移行し、12年7月期の売上高は約71億円と増収を果たしていた。

 スマホ出現は追い風となったが、それ以降は売り上げが漸減。ゲームセンター市場の縮小とともにプリントシール機の設置場所が減少、さらに会員制交流サイト(SNS)の登場で流れが変わる。

 2000年代までのプリントシール機の楽しみ方は(1)写真を撮ること自体のイベント性(2)シール交換で生まれるコミュニケーション(3)プリントシール帳に貼って収集するコレクションの3通り。

 “プリ帳”と呼ばれた手帳にどれだけ多くのプリクラを貼っているかが、当時の中高生にとってはステータスだった。だが、画像はSNSで広く公開され、手帳に貼るシールの数は「いいね」の数、フォロワー数に変化。売り上げは落ち、18年7月期には約23億円まで減少、経常段階で3億円近い赤字を計上していた。

 翌期に入ってもわずか2か月で1億円超の営業赤字を計上するなど状況は改善せず、10月中旬に入るとスポンサー探しを弁護士に依頼。2社との交渉を試みたが、交渉は1週間で打ち切られ、10月24日に自己破産を申請し、ブーム終焉(しゅうえん)から20年でその幕を閉じた。
(文=帝国データバンク情報部)
<企業概要>
メイクソフトウェア
住所:大阪市北区西天満4―3―18
代表:山本廣氏
資本金:5000万円
年売上高:約22億8700万円(18年7月期)
負債:約21億2500万円
日刊工業新聞2019年4月9日

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