METI
認知度の低さに悩む地域ブランド、救世主はSNS世代?
「地域団体商標」がもたらす可能性(前編)
2018年12月12日。地域団体商標を取得した東海・北陸地域の商品・サービスの魅力やビジネスプランを競う「東海・北陸 地域ブランド総選挙」が愛知県名古屋市で開催された。会場には18チームによる予選を勝ち抜いた10チームが集まり、各地域に根付く食材や産業の魅力や課題、地域振興に向けた活用方法を紹介。駿河湾で採れる「由比桜えび」について発表した由比桜えびかきあげ隊(静岡大学・由比港漁業協同組合)が最優秀賞を獲得した。
地域ブランド総選挙に参加する各チームは、地域団体商標権者である協同組合などと地元の大学に通う学生で構成される。ビジネスプランや会員制交流サイト(SNS)「インスタグラム」上での広報活動、決勝戦でのプレゼンテーションの審査結果をもとに、最優秀賞と五つの特別賞が決定された。
今回の総選挙では、食材や料理の地域団体商標が多くエントリーした。決勝戦では、10チーム中7チームが食の地域ブランドを紹介。知名度の低さが共通の課題だが、各チームが独自の解決方法を提案した。
由比桜えびかきあげ隊は、地産地消を促す独自プラン“由比フードマイレージ・ゼロ”を掲げ、新鮮な魚介類や加工食品を合わせたバーベキューセットを考案。若者の集客と長期滞在で駿河湾周辺を盛り上げる施策が高い評価を得た。同チームは最優秀賞の他にも、発表に対する評価も高く、「プレゼン賞」にも輝いた。
ふぐまるチーム(金沢星稜大学・能登ふぐ事業協同組合)は、ビジネスプランの新規性や展開性の高いチームに贈られる「発展賞」を獲得した。石川県七尾市でとれるさまざまな種類のふぐの総称「能登ふぐ」の認知度を高めるために、地元のJリーグチームやキャラクターを活用した広報活動、東海・北陸地域をつなぐ観光ルート“昇竜道”を生かした訪日中国人へのアプローチを提案した。
ぽて・ガールズ(静岡文芸大学・とぴあ浜松農業協同組合)は、インスタグラムの情報発信で最も多くの「いいね」を獲得し「インスタ賞」に輝いた。浜松市三方原の赤土で栽培される「三方原馬鈴薯(ばれいしょ)」の高品質で真っ白な特徴を生かして、高級ギフト商材として百貨店での取り扱いを提案。生産地では“ジャガイモカフェ”を開設し、収穫体験や情報発信でコミュニティー形成への貢献も目指す。
チームありさ(福井県立大学・小浜市食品加工協同組合)は、若狭湾でとれるヤナギムシカレイを一夜干しにした「若狭かれい」をアピール。地域ブランドへの理解や発想力、協働力が高いチームに贈られる「発掘賞」を獲得した。同チームは学校給食を用いた食育や、皇室献上という経歴を生かしたトップブランド化の推進を提案。日本への関心が高い外国人が、SNSでの情報発信に積極的であることにも目をつけた。
伝統工芸・産業も地域団体商標を取得できる。今回の総選挙では、「高岡銅器」「芦原温泉/あわら温泉」「美濃和紙」の3チームが決勝に進出。技術や職人、町並みを観光客誘致や地域の活性化にどのように生かすのか、それぞれのビジネスプランを提案した。
中でも、高岡どっきどきチーム(富山大学・伝統工芸高岡銅器振興協同組合)は、産業観光に挙式を組み合わせた“錫婚式ツアー”で表現力や構成力、地域力の評価が高い「発信賞」に選ばれた。同チームは、高岡銅器の製造で培った職人の鋳造技術と富山県の離婚率の低さに注目。結婚10年目を指す錫婚式の記念として、加工しやすいスズを使って指輪を制作できる旅行プランを提案した。観光客に高岡銅器や鋳造技術の魅力を発信すると同時に、産地全体の活性化や新たな需要の創出につなげる狙いだ。
地域ブランド総選挙の実施にあたり、主催した特許庁の野口聡審査業務部長は「こうしたイベントを通じ、『地域団体商標制度』の活用が広がり地域活性化につなげてほしい」と期待を込める。決勝戦では、おそろいの衣装やかぶり物、寸劇、決めポーズなど、各チームが個性的な発表を披露。長年にわたり地域ブランドの創出・発信に携わり、今回のイベントでは審査委員長も務めたDiscover Japanの高橋俊宏取締役編集長は「若い力と地域の魅力の掛け合わせでいろんなことが生まれている」と語る。
最優秀賞を獲得した由比桜えびかきあげ隊には、高岡銅器製の盾が贈られた。また、各賞の受賞チームには美濃和紙製の賞状が手渡された。会場の外には、総選挙にエントリーした全チームの地域団体商標や広報活動の様子を紹介するブースも開設され、まさに地域ブランドづくしの一日となった。
地域ブランド総選挙に参加する各チームは、地域団体商標権者である協同組合などと地元の大学に通う学生で構成される。ビジネスプランや会員制交流サイト(SNS)「インスタグラム」上での広報活動、決勝戦でのプレゼンテーションの審査結果をもとに、最優秀賞と五つの特別賞が決定された。
激戦の“食”、独自のアイデア模索
今回の総選挙では、食材や料理の地域団体商標が多くエントリーした。決勝戦では、10チーム中7チームが食の地域ブランドを紹介。知名度の低さが共通の課題だが、各チームが独自の解決方法を提案した。
由比桜えびかきあげ隊は、地産地消を促す独自プラン“由比フードマイレージ・ゼロ”を掲げ、新鮮な魚介類や加工食品を合わせたバーベキューセットを考案。若者の集客と長期滞在で駿河湾周辺を盛り上げる施策が高い評価を得た。同チームは最優秀賞の他にも、発表に対する評価も高く、「プレゼン賞」にも輝いた。
ふぐまるチーム(金沢星稜大学・能登ふぐ事業協同組合)は、ビジネスプランの新規性や展開性の高いチームに贈られる「発展賞」を獲得した。石川県七尾市でとれるさまざまな種類のふぐの総称「能登ふぐ」の認知度を高めるために、地元のJリーグチームやキャラクターを活用した広報活動、東海・北陸地域をつなぐ観光ルート“昇竜道”を生かした訪日中国人へのアプローチを提案した。
ぽて・ガールズ(静岡文芸大学・とぴあ浜松農業協同組合)は、インスタグラムの情報発信で最も多くの「いいね」を獲得し「インスタ賞」に輝いた。浜松市三方原の赤土で栽培される「三方原馬鈴薯(ばれいしょ)」の高品質で真っ白な特徴を生かして、高級ギフト商材として百貨店での取り扱いを提案。生産地では“ジャガイモカフェ”を開設し、収穫体験や情報発信でコミュニティー形成への貢献も目指す。
チームありさ(福井県立大学・小浜市食品加工協同組合)は、若狭湾でとれるヤナギムシカレイを一夜干しにした「若狭かれい」をアピール。地域ブランドへの理解や発想力、協働力が高いチームに贈られる「発掘賞」を獲得した。同チームは学校給食を用いた食育や、皇室献上という経歴を生かしたトップブランド化の推進を提案。日本への関心が高い外国人が、SNSでの情報発信に積極的であることにも目をつけた。
地方の“モノ”“コト”どう生かす
伝統工芸・産業も地域団体商標を取得できる。今回の総選挙では、「高岡銅器」「芦原温泉/あわら温泉」「美濃和紙」の3チームが決勝に進出。技術や職人、町並みを観光客誘致や地域の活性化にどのように生かすのか、それぞれのビジネスプランを提案した。
中でも、高岡どっきどきチーム(富山大学・伝統工芸高岡銅器振興協同組合)は、産業観光に挙式を組み合わせた“錫婚式ツアー”で表現力や構成力、地域力の評価が高い「発信賞」に選ばれた。同チームは、高岡銅器の製造で培った職人の鋳造技術と富山県の離婚率の低さに注目。結婚10年目を指す錫婚式の記念として、加工しやすいスズを使って指輪を制作できる旅行プランを提案した。観光客に高岡銅器や鋳造技術の魅力を発信すると同時に、産地全体の活性化や新たな需要の創出につなげる狙いだ。
若い感性×地域ブランドの可能性
地域ブランド総選挙の実施にあたり、主催した特許庁の野口聡審査業務部長は「こうしたイベントを通じ、『地域団体商標制度』の活用が広がり地域活性化につなげてほしい」と期待を込める。決勝戦では、おそろいの衣装やかぶり物、寸劇、決めポーズなど、各チームが個性的な発表を披露。長年にわたり地域ブランドの創出・発信に携わり、今回のイベントでは審査委員長も務めたDiscover Japanの高橋俊宏取締役編集長は「若い力と地域の魅力の掛け合わせでいろんなことが生まれている」と語る。
最優秀賞を獲得した由比桜えびかきあげ隊には、高岡銅器製の盾が贈られた。また、各賞の受賞チームには美濃和紙製の賞状が手渡された。会場の外には、総選挙にエントリーした全チームの地域団体商標や広報活動の様子を紹介するブースも開設され、まさに地域ブランドづくしの一日となった。