売り上げのピークは24年前。「少子高齢化」倒産の象徴|ニュースイッチ by 日刊工業新聞社

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売り上げのピークは24年前。「少子高齢化」倒産の象徴

着物学校「装いの道」、破たんまでの道
 全国の主要都市で着物学校「装道礼法きもの学院」を運営する、装いの道が4月に民事再生法の適用を申請した。同学院は、入門コースからプロ養成コースまで複数のコースを設け、在籍生徒数は約1700人にのぼっていた。

 学院で学んで一定の成果を上げると、生徒はきものコンサルタントなどの資格が得られる。希望者は講師となって「装道礼法きもの学院」の名称、看板・統一カリキュラムとテキスト・指定教材などを使用して、本校と一体化した教育を行う認可教室を展開できるビジネスモデルを構築。顧客基盤となる生徒・卒業生は累計3万人を超え、学院生徒や卒業生が講師となっている認可きもの教室は、全国に約2500教室を展開していた。

 同社の売上高のピークは約68億円。今から約24年前のことだった。しかし、当時の主力顧客層の高齢化や死亡による脱会で売り上げは減少。少子化、着物離れなどから新規会員の獲得が困難となり、売り上げは減少の一途をたどった。

 さらに近年は、デリバティブ投資の失敗、東京都千代田区の本社不動産ビル売却に伴う約5億円の評価損計上などで金融機関からの資金調達が困難な状況になっていた。スポンサー候補との話し合いを進め、私的整理等による再建を予定していたが、社風の違いなどを理由に支援を断られ、自主再建を断念した。

 小さい頃、着物で育ったことで着物に愛着を持つ高齢者が数多くいたのはかつての話。今では高齢者においても着物離れが進んでいるのだ。装いの道の業歴は50年超。しかし、業歴50年以上の企業の倒産件数構成比は2016年に8・1%と、10年で倍増している。少子高齢化が深刻化するなか、企業が長く存続するためには、顧客を世代別に分けた分析・対応力も求められることになるだろう。
<企業メモ>
装いの道(株)
住所:東京都文京区湯島
代表:山中啓嗣氏
資本金:8700万円
年売上高:約19億5800万円(16年12月期)
負債:約10億8041万円
(文=帝国データバンク情報部)
日刊工業新聞2017年8月8日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
教室なのでサービス産業だが、和装関連では二次産業も当然長期で衰退傾向にある。伝統産業の中でも和装の「いとへん産業」の再生は一番難しいかもしれない。着物はもともと洗うことを前提としておらず高額で物量が出ない。

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