老化は遅らせることができる?新しい研究分野と細胞から若返る食べ方とは?(松崎恵理) - エキスパート - Yahoo!ニュース

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老化は遅らせることができる?新しい研究分野と細胞から若返る食べ方とは?

松崎恵理一般社団法人日本栄養検定協会代表理事、博士(栄養学)・料理家
(写真:アフロ)

超高齢化社会を迎え、病気にならず、なんとか生涯現役でいたい!健康でい続けることはできないものか?そう考えている方は多いと思います。

老化を遅らせることが可能かもしれない、として注目を浴びている研究分野があります。

それは、「オートファジー」という細胞の働きに関する研究分野です。

「オートファジー」ってなんだっけ?

それってダイエット法のことだよね??

もしかしたら、そんな風に思った方もいらっしゃるかもしれません。

オートファジーはダイエット法のことではなく細胞がもつ働きのことなのです。

オートファジーの働きを活性化することは、細胞から若返り、病気を避け、ずっと元気でい続けることに繋がると考えられます。

そしてオートファジーを活性化する食品や、働きを弱めてしまう食べ方も分かってきています。

それはどんな食べ方、食品なのでしょうか。簡単に解説してみたいと思います。

■オートファジーってなんですか?

「細胞の中の物質を回収し、分解してリサイクルする」システムのことをいいます。細胞内の新陳代謝を担うシステムとも言えます。

腎臓だけオートファジーがおきない、あるいは、肝臓だけオートファジーがおきないマウスを作るとオートファジーがおきないようにした臓器が病気になることが確認されています。

つまり、オートファジーのシステムが働かないと健康な状態を維持できず、病気になってしまうのです。病気は、病気になった部分の細胞の健康が損なわれたために発症するもの、と考えることができます。

健康な細胞を維持するのになくてはならないシステムがオートファジーです。

つまり、いつまでも健康で若々しくいるためには、細胞のオートファジーのシステムがきちんと働いていることが重要です。

■どうしたらオートファジーが働くのか?

実は、細胞のオートファジーのシステムは常に働いています。

ダイエットや断食をしなくても大丈夫なんです。安心ですね。

ただし、その働きがしっかり働いている場合もあれば、弱まってしまう場合もあります。

弱まってしまう時はどんな時かというと、食べ過ぎた時、特に脂質をたくさんとってしまうとオートファジーの働きが弱まることが分かっています。

写真:イメージマート

■ヒトは食べなくても生きていけるのか?

オートファジーのシステムが働くことによって、細胞の中の物質を分解してリサイクルするのであれば、食事をとらなくても大丈夫なのでは?と思われた方もいらっしゃるかもしれません。ですが、きちんと食べることは、とても大切です。

私たちのからだは、古い皮膚は剥がれ落ちて新しい皮膚が生まれてきますし、髪の毛も抜けて新しく生えてきます。また、細胞が生きていくためにはエネルギーが必要です。

食べないでいることは、細胞が生きるためのエネルギーを与えないことになります。また、古くなって剥がれ落ちた皮膚や髪を補う材料を供給しないということは、新しい皮膚や髪の毛を作り出す材料が不足していくことになります。

健康で若々しくいるためには、「適切に食べる」ことはとても重要なのです。

■オートファジーを活性化させる食べ物とは?

オートファジーを活性化させる働きのある成分は、いろいろと発見されてきており、その成分が含まれる食品も分かってきています。

オートファジーを活性化させる食べ物にどのようなものがあるでしょうか。

主なものを見てみると、

・納豆

・味噌、しょうゆ

・チーズ

・しいたけ

・鮭、サーモン

・エビ、カニ

・ぶどう、赤ワイン

・緑茶、抹茶

・オリーブオイル、オリーブ

・いちごやブルーベリーなどのベリー類

・クルミ

・ウコン

などです。

こうした食品がいいからと言って、過食になってしまっては意味がありません。

適量を食べる、ということがとても大切です。

写真:アフロ

■オートファジーがしっかり働く食べ方とは?

では、オートファジーがしっかり働く、適量を食べる食べ方とは、どのような方法でしょうか。

一言でいうと「腹八分目」です。

昔からの言い伝えが出てきて、ぜんぜん科学的じゃないんだけど。。。と思われたかもしれませんが、必要な栄養は補給しつつ過食を避ける、そんな食べ方が一番大切です。

からだに必要な栄養素を補給しつつ、過食を避けることができる食べ方、

それは、「一汁二菜」という食べ方です。

具体的には、ごはん、汁物、主菜、副菜の組み合わせです。

なぜこの組み合わせが良いのでしょうか。

私たちに必要なことが分かっている栄養素は、おおよそ30種類もあります。こうした栄養素は、これまでの研究でヒトが生きていくために必要なことが分かっている物質です。つまり、すべての栄養素が体内にあることで私たちのからだの中で常に起こっている、生きるために必要なさまざまな生化学反応を支えているのです。

ごはん、汁物、主菜、副菜という組み合わせで食べることは、いろいろ考えなくても、約30種類の栄養素を満遍なくとりやすい食べ方です。

30種類の栄養素は種類別に分けると炭水化物、脂質、たんぱく質、ビタミン、ミネラルの5つに分類することができます。

主食は炭水化物、汁物は主にビタミンやミネラル、主菜はたんぱく質と脂質、副菜はビタミンとミネラルをとることができる食材を使うことが多いです。そのためこの一汁二菜は、栄養のバランスがとりやすい食べ方なのです。

この食べ方で食べ、必要な栄養素を過不足なくとることが、まずは、健康なからだを手に入れる土台となります。

こうした土台の上のオートファジーを活性化する成分が含まれている食品を組み入れていくことが大切です。

具体的にどんな料理方法でどれくらいを食べればよいのでしょうか、具体的なレシピのご紹介はこちらからどうぞ。

オートファジーについてもっと知りたい!という方は「不老長寿の食事術 オートファジーで細胞から若返る」の書籍で確認いただくことができます。

ぜひ、ご覧ください。

一般社団法人日本栄養検定協会代表理事、博士(栄養学)・料理家

博士(栄養学)、料理家。専門は栄養疫学。栄養学を学ぶ栄養検定を実施・運営。美味しく健康的なレシピ作りも得意。日本栄養・食糧学会会員。慶應義塾大学卒業。オートファジーコンソーシアムアカデミア会員、栄養士養成校にて「統計学」の非常勤講師。LE CORDON BLEU(代官山校)料理を首席で卒業しグランディプロム取得。Paris Ecole Ritz Escoffier 短期クラス修了。問い合わせは、https://eiyokentei.or.jp/message/ から。毎週月曜朝、日本栄養検定協会無料メルマガ配信中!https://system.faymermail.com/forms/7515

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