「七夕ケアンズ組」との出会い
7月9日、ダーウィンを出発。カカドゥー・ナショナルパークへ。その途中でアデレード川を渡った。
アデレード川を渡る。左下にワニが見える
ワニの多く生息する水量豊かな川で、川岸に大ワニを見た。
アデレード川の大ワニ
国道1号に伸びる長い影
国道1号のダート区間を行く
国道1号を南下し、キャサリーンでは湯の川が天然の大露天風呂になっているキャサリーン温泉に入った。
ノーザンテリトリーからクイーンズランド州に入ると、熱風が渦を巻いて吹きすさぶ。暑さが厳しい。頭がクラクラしてくる。ケアンズへの途中ではタラルー温泉に入った。牧場内にわき出る温泉。ここには40度、54度、65度、70度、74度の5つの源泉がある。そのうち最大の74度の源泉は1時間の湧出量6000ガロン(約2万7000リッター)と湯量豊富。
タラルー温泉の露天風呂。牧場内の温泉だ
ケアンズからはオーストラリア最北端の岬、ケープヨークを目指す。
オーストラリア最北端の岬、ケープヨークへ
熱帯雨林の緑濃いキュランダ山地の峠を越え、マリーバの町を通り、ケアンズから250キロのレイクランドに着く。ここからは果てしなくつづくロングダートに突入。
蟻塚が林立している
倒木を切り払いながら大型トラックは行く
日が暮れると、ダートのナイトラン。カンガルーの飛び出しや牛との衝突に気をつけて走り、ケアンズから400キロのハンリバー・ロードハウスに到着。キャラバンパークに泊まった。
翌日、ケアンズから620キロのアーチャーリバーに着いたところで、「七夕ケアンズ組」に出会った。「七夕ケアンズ組」というのはオーストラリアを走しっている日本人ライダーの集団で、7月7日にケアンズに集合し、ケープヨークを目指していた。総勢18人のバイクがズラズラッと並んだ光景は壮観。みなさんと一緒にキャンプしようということになり、アーチャーリバーを出発。
「七夕ケアンズ組」との出会い
ケアンズから670キロ地点で、カーペンタリア湾岸のウエイバに通じるペニンスラー・ディベロップメンタル・ロードから、ケープヨークに通じるテレグラフロードに入った。ケアンズから740キロ地点で、ウエンロック川にさしかかる。川幅は2、30メートルほど。橋はかかっていない。川の手前でDJEBEL250XCを止め、歩いて川を渡り、偵察する。水量が多く、流れも速い。深さは膝上といったところだ。川を渡ったところにザックを置いて戻り、今度は空身で川渡りをする。気合一発、転倒しないように、エンジンを水没させないように、気持ちを集中させて川を渡りきった。ケープヨークへの道は川渡りの連続だ。
川渡りの連続
ウエンロック川の岸辺で、「七夕ケアンズ組」と野宿する。焚き木を集め、火を燃やす。同行の4駆がゴソッとカンビールを積んでいるので、それを分けてもらい、「ケープヨークに乾杯!」をくり返した。
オーストラリア最北端の地に立つ!
七夕ケアンズ組」は翌日、エリオット滝のキャンプ場まで行く予定になっていた。そこでぼくは一足先に出発し、オーストラリア最北端のケープヨークに立ち、そこからエリオット滝に戻り、みなさんと一緒にキャンプすることにした。
夜明けとともに出発。40キロほど走ると、テレグラフロードの旧道と新道の分岐点。
テレグラフロードの旧道と新道の分岐点
よりハードなダートの旧道を行く。道幅は狭くなり、路面には深い溝ができている。ズボズボの深い砂道もある。ガンショット川など何本もの川を渡った。ケープヨーク半島最大の川、ジャーディン川はフェリーで渡る。フェリー代は往復30ドル(約2700円)と高い。高いのは仕方ないとして、問題なのは帰りの便だ。夕方の5時で終わってしまう。なにがなんでも、それまでに戻ってこなくてはならない。
12時、ケアンズから940キロのバガマの町に着く。冷たいコーラをガブ飲みし、給油し、ケープヨークへ。あと30キロほどだ。岬の周辺は緑濃い熱帯雨林。まさにジャングルの世界。海はまったく見えない。道の行き止まり地点にDJEBEL250XCを止め、熱帯雨林の中の小道を歩く。10分ほど歩くと、突然、広々とした砂浜に出た。海の青さが強烈だ。そこから北に突き出た岩山の先端がケープヨーク。岩山の屋根道を歩く。汗が吹き出てくる。
ついに大陸最北端のケープヨークに立った。そこには「みなさんは今、オーストラリア大陸の最北端の地に立っています」と、英語で書かれてあった。感動のあまり裸になって、温泉気分でオーストラリア最北の海につかるのだった。
ケープヨークに到達。オーストラリア最北の海につかる!
ケープヨークから来た道を引き返し、ジャーディン川のフェリー乗り場へ。滑り込みセーフといった感じで、5時前に着いた。ここではXR600に乗るオーストラリア人のアンドリューに出会い、エリオット滝のキャンプ場まで一緒に走った。
日が暮れると、きついナイトラン。キャンプ場に着いたのは夜の8時過ぎ。「七夕ケアンズ組」の面々とおお盛り上がりで再会を喜びあった。翌朝、ぼくとアンドリューはケアンズを目指して南へ、「七夕ケアンズ組」はケープヨークを目指して北へと走っていった。
マレー・ダーリング川の源頭へ
ケアンズを出発。さー、シドニーへ
ケアンズに戻るとアンドリューと別れ、国道1号を南へ。右手には大分水嶺山脈の山々が連なっている。山脈と海岸との間は一面サトウキビ畑。トロッコ列車が収穫したサトウキビを満載にして製糖工場に向かって走っていく。
国道1号を南下。右手は一面のサトウキビ畑
南太平洋の海岸
クイーンズランド州の州都、ブリスベーンに着くと、AMA(オーストラリア・モーターサイクル・アドベンチャーズ)を訪ね、なつかしのロンに再会。AMAは50台あまりのバイクを所有し、バイクツアーをやっている。1993年の「道祖神」のバイクツアー、「目指せ!エアーズロック!」ではロンにずいぶんと世話になった。
AMAのロンとの再会
その夜は郊外の住宅地の一角にあるロンの家に泊めてもらった。ロンはスペイン人からこの家を買い、家の中を全面的に改装していた。専門の業者には一切頼まず、すべてを奥さんのマリサと2人でやっていた。マリサはお父さんがイタリア人、お母さんがイギリス人で、チャーミングな女性だ。
夕食のあと、ビールを飲みながらロンと話した。ロンはオーストラリア最長ダートのキャニング・ストックルートに出発する直前だったが、シンプソン砂漠横断のバイクツアーも出したいと、意気軒昂だ。食後、地図を見ながらブリスベーン周辺の話を聞いた。
その話の中で、なんとも耳よりな情報を手に入れた。オーストラリア最長の河川、マレー・ダーリング川の最長源頭は、ブリスベーンのすぐ近くにあるという。ぼくはバイクで大河の源流まで行くのが好きだ。 世界最長のナイル川もブルンジの白ナイル源頭、エチオピアの青ナイル源頭まで行った。それだけに、オーストラリア最大の川、マレー・ダーリング川の最長源頭には「よし、行こう!」と、すぐに決めた。
マレー、ダーリング川の最長源頭へ
翌日はブリスベーンから州道33号でイプスウイッチへ。イプスウイッチからは国道15号で大分水嶺山脈に向かっていく。ロンに書いてもらった地図を頼りに、カニンガム峠の手前で国道15号を左折し、大分水嶺山脈のティビオット峠に向かっていく。ところがこのティビオット峠への道がわかりにくいのだ。違う峠に登ってしまったり、末期ガン患者を診るという自然療法の施設に迷い込んだりしながらも、ついに「HEAD」の標識の出ている道に入った。
.マレー・ダーリング川の最長源流を見る
このHEADこそマレー・ダーリング川の最長源頭なのだ。10キロほどのダートを走り、ティビオット峠に到達。この大分水嶺山脈の峠は、太平洋に流れ出るブリスベーン川の水系と、アデレード近くで南氷洋に流れ出るマレー・ダーリング川の水系を分けている。ティビオット峠はコンダマイン川の源。コンダマイン川はバロン川→カルゴア川→バーウォン川と名前を変え、ワレゴ川と合流してダーリング川となる。ダーリング川はニューサウスウエルスとビクトリアの州境で、本流のマレー川に合流する。ダーリング川はマレー川の支流になるが、全長2740キロで本流よりも長い川なのである。
シドニーに到着!
ブリスベーンに戻ると国道1号を南に走り、シドニーを目指す。高層ホテルやリゾートマンションが建ち並ぶゴールド・コーストでは長く延びる砂浜を歩いた。
ゴールド・コーストの長い砂浜を歩く
クイーンズランド州からニューサウスウエルス州に入ると、オーストラリア大陸最東端のバイロン岬に立った。これで大陸の4端を踏破した。
オーストラリア大陸最東端のバイロン岬
「オーストラリア一周」のゴール、シドニーを目前にしたところでは、間一髪で事故を免れた。突然、バーンとものすごい破裂音がした。目の前を走っていた大型トレーラーのタイヤがバーストしたのだ。ちぎれたタイヤ片が猛烈な勢いで飛んでくる。一発、ボディーブローを食らったが、ウーッと唸ってしまうほどの衝撃。幸いなことに大きなタイヤ片には当たらなかったが、もし直撃されたらDJEBEL250XCもろとも吹っ飛ばされるところだった。
シドニーに到着すると、ハーバーブリッジを渡り、オペラハウスを目の前にしたとことでDJEBEL250XCを止めた。
シドニーのハーバーブリッジ
これにて「オーストラリア一周」のロード編終了。
7月31日のことで、64日間で3万6084キロを走った「オーストラリア一周」だ。
シドニーに到着。「オーストラリア2周」の第1周目終了!
この記事にいいねする