2024年の鈴鹿8時間耐久ロードレースで初参戦ながら4位に入ったDUCATI Team KAGAYAMA。ドゥカティ車での初優勝を目指しており、2025年はMotoGPライダーの起用も噂されているため、加賀山就臣監督に来季の展望を聞いた。
■2025年もMotoGPライダーが鈴鹿8耐に参戦可能なスケジュールに
ロードレース世界選手権MotoGPもFIM世界耐久選手権(EWC)も2025年のカレンダーが発表された。来年はMotoGPのサマーブレイクが7月18~20日の第12戦チェコGPから8月15~17日の第13戦オーストリアGPまであり、その間の8月3日に鈴鹿8耐の決勝が行われる予定のため、MotoGPライダーが鈴鹿8耐に参戦することは可能だ。2024年にはTeam HRC with Japan Postからヨハン・ザルコが出場して優勝したことを考えれば現実味はある。
加賀山監督は「昨年末からイタリアで打ち合わせしてる最中から、ドゥカティは『鈴鹿8耐で勝ちたいという興味がとてもあり、MotoGPライダーも出してあげたい』という話をしており、だからこそTeam KAGAYAMAとコラボするのは興味があるという話でした」という。
MotoGPでもWorldSBKでもチャンピオンを獲得したドゥカティの次の狙いは鈴鹿8耐だ。初年度においてはファクトリーバイクがDUCATI Team KAGAYAMAに貸し出されて、全日本ロードを戦っている。鈴鹿8耐ではスプリント用のパーツしかなかったドゥカティ パニガーレV4 Rに自作の耐久用パーツを作製してそれを使って戦った。「足りないものや不十分というデータを作るのが我々の仕事だったのも確かです」と加賀山監督はいう。
「4位で終わって、不十分ではあったけどポテンシャル的にはコース上で十分戦えるパフォーマンスだったと思います。コース上ではないところ(ピット作業など)をこれから修正していかなければいけないところです。来年の4月くらいまでに準備をしていきます」
■ドゥカティのMotoGPライダーは鈴鹿に来るのか
チームは初年度から表彰台争いに加わることができることを確認。さらに最初のスティントでは水野涼がトップを奪うなどのパフォーマンスを見せ、レース中のベストラップは4周目の水野の2分07秒282などインパクトのある走りを披露した。
さらに鈴鹿8耐期間中は「現場をパオロ・チャバッティが視察しに来てくれて、(フランセスコ・)バニャイアが鈴鹿8耐に出たいと言ってるのも確かだし、SNSでチャバッティの投稿にバニャイアが『来年のために準備しておいてね』というコメントがありました」と嬉しい出来事もあった。
では、本当にドゥカティのMotoGPライダーが2025年の鈴鹿8耐に出場することはあるのだろうか。
「(DUCATI Team KAGAYAMAが)ライダーを受け入れる状態になっていくのか、それこそドゥカティ・ファクトリー・チームが来るのかはまだまだわからないけど、何かを一緒にするのはもう間違いありません。去年からその計画で進めているし、数名のMotoGPライダー、それからWorldSBKライダーが出たいって言っているのは確かです」
「イタリア本社も認めているけど、ジジ(・ダリーニャ)から『MotoGPとWorldSBKライダーが出たがっているから、いろんなことを情報提供してくれ』とは言われています。来年は1台なのか2台なのかわからないけど『ドゥカティ祭』が必ず起きると思います」
さらに、2024年の鈴鹿8耐でもMotoGPライダーを呼ぶ予定があったようで、「当然今年もオファーしていたからね」と加賀山監督は明かした。バニャイアは結婚式をその週末にスケジューリングしていたため、来日は叶わなかったが、参戦していた可能性はあったのだ。
「第一にMotoGPライダーに声をかけてはいたけどスケジュールの関係で来られない、WorldSBKライダーはレースが被っていて来ることができないという事情で、別の戦略でハフィス・シャーリンとジョシュ・ウォータースを起用しました」
「マルケスという手もあったけど、いろんなことを考えると交渉するところまでいきませんでした。(来年は)マルケス兄弟を呼ぶのもいいかなと思います。彼らが出たがっているかはわからないけど、VR46絡みのイタリア人ライダーたちはやっぱりバレンティーノ・ロッシという師匠が成し遂げたことを自分もやりたいらしい」
上述のように、2025年の鈴鹿8耐は全員ではないだろうがバニャイアのみならず、マルケス兄弟やファビオ・ディ・ジャンアントニオ、フランコ・モルビデリも出場する可能性があることが伺える。
2001年にロッシが優勝したことでMotoGPライダーが参戦したいという理由もあるが、「2014年からドミニク・エガーターを呼んだり、Moto2ライダーを呼びましたが、彼らがMotoGPのパドックに帰って『鈴鹿8耐面白かったよ』とみんな言ってくれているみたいです。今はその世代のライダーがMotoGPライダーになっていて、すごいレースだったって言っていたなというのが広まってるんだと思います」という理由もありそうだ。
ここからは加賀山監督の理想でもあるが、「バニャイアが来てくれたら名誉監督にロッシだな(笑)という思いもあったり。(2チームだと)バニャイアチーム、マルケス兄弟チームになったら水野涼をどっちに入れようかな(笑)」とも語っており、多くのライダーラインアップが考えられることには違いない。
来年の話のため、夢のような話も混じっているだろうが、バニャイアが鈴鹿8耐に参戦願望があることと、すでに今年の段階で加賀山監督がMotoGPライダーにオファーを出したことは確かだ。また、加賀山監督がドゥカティのファクトリーマシンを走らせ、全日本ロードで優勝、鈴鹿8耐で表彰台争いをするなど、昨年には考えられなかった出来事が起きている。
2025年はこのインタビューで語られたことがいくつ現実となるのか楽しみにしておきたい。
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