モトGP譲りのノウハウとイタリアンデザインで有名なKYT。「KX-1レースGP」は最上級モデルで、世界のレースで活躍する一品だ。いかにも空力特性が高そうなフォルムだが、その実力は果たして?

実戦で磨かれたエアロフォルムが際立つハイエンドモデル

レーシーなヘルメットで知られるKYT。インドネシアに本拠を置くメーカーで、イタリアに研究開発および設計施設を持つ。SUOMYらと協力関係にあり、高い性能とデザイン性が大きな魅力。モトGPドゥカティワークスで活躍するエネア・バスティアニーニが着用し、注目度が高まっているブランドだ。

2024年4月、株式会社CORDA MOTOが「KYT JAPAN」を設立し、正式に国内上陸を果たしている。

今回の「KX-1レースGP」は、最高峰のレーシングヘルメット。モトGPやスーパーバイク世界選手権など世界トップクラスのレースで“勝つこと”を目指して設計された。

形状は前後方向に長くてリヤスポイラーが大きい、いかにもレース向けといった印象。バスティアニーニら多くのKYTライダーがテストを行い、3年以上にわたる風洞実験、トラックテストを経て空力性能を最適化しているという。

帽体はケブラー、カーボン、グラスファイバーを組み合わせたTRICOMPOSITEファイバーで構成。耐衝撃性と軽量化を両立している。

 ●価格:11万~13万2000円
 ●サイズ:S、M、L、XL
 ●規格:SG、MFJ(予定)
 ●メーカーサイト:https://kytjapan.com/product/kx-1-race-gp

被り心地もレーシー、軽さはSHOEIのX-15を上回る

カーボン柄に、細部まで凝ったデザイン、金属パーツetc……、実物はトップエンドモデルに相応しい高級感を醸し出している。

フォルムは前述したとおり、前後に長い帽体に大型リヤスポイラーを融合した流線形で、まさしくレーシングモデルだ。

被り心地もレーシーで、全体的にタイト。特に頬のホールド感がカッチリしていて、レース向けだなと思わせてくれる。テストしたのはLサイズで、筆者はSHOEIでLサイズ、アライだと59~60cmがキツいサイズ感。本製品では試せていないが、筆者の頭ではXLがよさそうだ。

着用感は軽快で、ストリート向けのNZ RACEと同様に視界の広さが印象的。垂直視野は92度、横方向は210度を確保しており、タンクに上体を伏せても視界を妨げないのがいい。

重量は筆者実測で1538g(Lサイズ)。各社の最上級モデルと比べてみると、SHOEIのX-フィフティーンが公称1546g(L、単色)、アライのRX-7Xが公称1600g程度(59-60cm、単色)なので、本格レース仕様としては相当に軽い。タイトなホールド感と相まって、首を動かす動作が実にラクだ。

さすがの空力性能と静けさ、トータル性能が高い

そして安定感と静けさが素晴らしかった。以前テストしたNZ RACEより明らかにレベルが上で、100km/h程度では帽体の浮き上がりやブレが皆無。風切り音も静かで、静穏性も実に優秀だった。直進安定性と静かさはトップレベルの水準だろう。

換気性能に関しては、走行風を感じやすいNZ RACEに対し、本作は直接的に風を感じにくかったが、気温30度でもムレはナシ。しっかり換気されている印象だった。内装もサラッとした感触が持続し、心地いい。

シールドのセンターロック機構は安心感が抜群。スイッチを押し込みながら上げるため、最初は戸惑ったが、すぐに慣れる。また、口元のスイッチがチンガード裏側にあるため、こちらも慣れが必要ではあるものの、風切り音の低減やデザイン性のアップに貢献していると思われる。

[まとめ] 高級感も性能もバツグン、他人と違うレーシングモデルが欲しい人に

今回は公道でのテストとなったが、実に快適。街乗りやツーリングに使ってもOKだが、より速度レンジが高いレベルで想定されたモデルだけに、ぜひサーキットで実力を試してみたくなった。

単色で10万円超はかなりの高額ながら、海外ブランドのトップモデルならこれぐらいザラにある。性能は折り紙付きの上に、このデザインと高級感ならサイフの紐が緩くなるかも。レーシングヘルメットを探していて、他のライダーとカブりたくない人にオススメしたい。

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