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何を重視するのか?重要な項目はいくつかある
長々と書いて来ましたが、バイクカバーには『重視すべき項目』がいくつかあります。
どの項目を重視するかは各々の環境次第!
どの項目も性能が上がるほど価格も上がるので、唸るほどお金がある方は一番高い物を買えば間違いないです。
しかし私も含めて大多数の方はそういうワケには行かないので、本当に一番重視したい事は何か?を良く考え、その項目が優秀な製品の中から、予算の許す限り高価な物を選ぶのがコツと言えます。
例えば使い捨てでドンドン交換するのが前提の方なら、便利そうな機能は全部無視して一番安い製品を買うのが最良の場合があります。
その製品はカバーの性能としては最低かもしれませんが、「雨に直接濡れない最安のカバー」という用途にはピッタリ合っているので、その人の用途に限れば一番高性能だと言えます。
防水性・撥水性
愛車を雨ざらしにしたくないのは当然です。
走行中の雨なら仕方ありませんが、駐車しているだけなのに濡れて無駄にサビの進行を早めてしまうのは納得行くわけがありません。
この項目を重視する場合、「完全防水」を謳っている製品を選ぶのが良いでしょう。
どのバイクカバーでも屋外用であれば防水機能を持っているはずですが、カバー裏の縫い目に止水処理がしてあるか?(≒シームテープが貼ってあるか?)が重要なポイントです。
カバー表面に撥水性を持たせている製品ですと更に防水性が向上します。
ただし、上でも書いたように完全防水なら車体が雨に濡れないからサビないという認識は誤りです。
地面から立ち上ってくる湿気がカバー内に籠ると、いつまで経っても車体が乾かないので逆にサビが進行してしまう事もあります。
特に土の地面で長期保管する場合、サビ予防でバイクカバーを選ぶなら『通気性』も重視しなければなりません。
遮光性
屋根付きのカーポートや駐輪場に停めている場合、雨が直接車体に当たらない事があります。
屋外駐車なので全く濡れないなんて事は無いとしても、防水性を重視しなくても良い比較的恵まれた駐輪環境ですね。
ところが、屋外なので直射日光には晒されてしまいます。
日光(=紫外線)が当たると樹脂パーツが急速に劣化するのはご存じのとおり。
そして、車種によってはボディやフレームの色が退色してしまいます。
この退色を防止するためにカバーを掛けたい場合、遮光性が重要項目になります。
透明ビニール製のカバーでも無い限り基本的にどんなカバーでも遮光性はあるのですが、高価格なカバーは布地が複数枚重ねてある事が多いので遮光性は抜群です。
遮光性を重視したい場合は雨に濡れる事を防止する性能はそこまで重視していない……となる場合が多いはずなので、耐久性に優れた高級バイクカバーを長期間使うのがお得な事が多いでしょう。
通気性
軽視されがちですがとても重要な項目になります。
駐車場所が僅かでも傾斜のあるコンクリートやアスファルトであればそこまで大きな問題にはならないのですが、地面が「土」の場合と「駐車場所に水が溜まる」場合は優先度が一気に上がります。
上で書いたように雨の後のカバー内部は湿気で蒸れてとんでもない事になります。
蒸れても傾斜のある固い路面であれば比較的短時間で乾くので良いのですが、乾きの悪い環境では大ピンチ。
特に土の上に停めている場合は深刻で、通気性能の無い安いカバーだと地面から立ち上ってくる湿気で常に濡れているような状態になってしまい、サビを防ぐどころか逆にサビを促進しているような環境になってしまいます。
最良なのは透湿機能のある素材で出来た高級カバーを採用する事ですが、非常に高価です。
予算的にそんな高級カバーが購入できない場合、何はともあれ湿気を排出する通気窓のある物を選んだ方が良いでしょう。
内側の生地
カバー内側の処理は、低価格なカバーと高級カバーで全く異なります。
安いカバーは生地が1枚で構成されている事が多く、表面と裏面でほぼ差がありません。
対して高級なカバーは表面生地とは別に裏面用の柔らかい生地がある2重構造になっていたり、裏地に『起毛処理』と呼ばれる植毛が施されていたりします。
当然ながら柔らかい生地の方がボディに優しいので細かいキズが入りにくくなります。
カバーと擦れた小キズが入るのを嫌うなら、裏面にそのような処理がされているカバーを選びましょう。
なお、キズが入らないように注意して着脱していても風でカバーがバタつくのは避けられません。
カバーが風でバタつくのを防止するには、カバーを掛けた後で車体ごとゴムロープで縛ってしまうのが最良です。
フルカウル車などでスクリーンがある場合は、その部分を強力な洗濯バサミで挟んでおくのも有効ですよ。
装着性
毎日の通勤や通学で使っているバイクにカバーをする場合、着脱のしやすさも重要です。
帰宅時にはすっかり日が暮れて暗くなっている事がほとんどでしょうから、カバーを掛けにくいと非常に面倒なのです。
毎日の事なので使い勝手が悪いと後悔するのは間違いないです。
使いやすさは「カバーの前後がすぐに判るか?」が非常に重要になります。
前後で明確に色が違う、前後を示す判りやすいマークがある、などの工夫がある物を選びましょう。
また、カバーの下部にはカバーが飛んで行かないように固定する物(ヒモ等)が付いている事が多いはずです。
毎日着脱する場合、このカバー下部固定がヒモの物は避け、ワンタッチバックル式の物にする事をオススメします。
ヒモの場合は結ぶために地面にしゃがみ込んで反対側のヒモを持って来なければならないのですが、暗いと手探りになりがちですし、見えていても手がなかなか届かないものなのです。
大雨の夜に帰宅後、地面にしゃがんで反対側にあるヒモを手探りで探していると、「バックル式にしておけば良かった!」と思うはずです。
耐熱性、耐火性
通勤通学用のバイクにカバーする場合に重要な項目になります。
耐熱性が低い物だとマフラーやエキパイに接触したカバーが溶けてしまいます。
穴が開く事もありますし、そこまで行かなくても溶けたカバーがマフラーやエキパイに張り付いて大変残念な見た目になってしまいます。
最近の車両は触媒があるのが普通ですが、触媒は非常に高温になりますし、内部は空洞ではなくギッシリ詰まっているうえ温度が下がりにくい設計にしてあるもの。
耐熱性能の低いカバーが接触すると、最悪の場合、発火の可能性もあります。
休日にツーリング等で使用するだけの車両であれば、帰宅後に十分冷えてからカバーすれば良いだけなので耐熱性や耐火性はあまり気にしなくて良いでしょう。
逆に通勤通学で毎日カバーをする場合は無視できない項目になります。
帰宅後にエンジンやエキパイが冷えるまで駐車場所でぼーっと待っている……なんて悠長な事を毎日するわけないですよね?
耐久性
どんな廉価版の製品でも「安いので耐久性はあまり無いです」などと書いている製品はありません。
どの製品も高耐久を謳っているはずです。
ですので、ここで役立つのはユーザーインプレッション!
迷った時、自分と似たような環境の人が居れば、そのインプレッションはとても役立ちますので大いに参考にしましょう。
また、「たった1年しか持たなかった」というインプレがあったとしても、それは『その方の環境では』という事を忘れないでください。
もしかしたら本人が気付いていないだけで過酷な駐車環境の可能性だってあります。
例えば水漏れに対する耐久性が低くて辛辣なインプレッションが投稿されていたとしても、破れない、遮光性が衰えない、退色しない、などの性能は逆に良い可能性もあります。
もし雨にあまり濡れない環境で使うのであれば実はその製品が最強かもしれないので、低評価でも高評価でも『自分の使用する環境ではどうか?』という目で見てください。
経験上、低価格で生地の薄いカバーは「破れて」終了する事が多く、高価格で生地の厚いカバーは「浸水するようになって」終了する傾向があります。
ただ、高価格なカバーなら何でも耐久性が高いとは限りません、だからこそインプレッションを参考にするのはとても大事です。
防犯性
車両窃盗犯から愛車を守るためにカバーを掛けたい場合、車両は良く目立つ派手なカスタムが施されていたり人気車である事が多いでしょう。
つまり、カバーをする事で目立たせなくしたいと考えているはずです。
そもそも、単にカバーが掛けてあるだけでも防犯性は上がると思われます。
カバーの下の車体にどんな防犯対策がされているのか見えませんし、剥き出しの車両に対して『カバーを外す』という1行程が増えるだけでも窃盗犯にすれば嫌な事のはずですので。
防犯性重視の場合、黒いカバーが良いとされています。
明かりの無い駐車場所なら黒いカバーの方が闇に溶け込んで見えにくくなるので、窃盗犯に狙われにくくなるからです。
実際に高価格ながら黒いバイクカバーは人気があります。
カバーを掛ける際の小技
どれだけ高級なバイクカバーで柔らかい裏起毛処理がしてあっても、カバーが擦れればボディ表面に細かいキズが入ってしまいます。
この擦れキズを防止する秘策は『バイクカバー本体を掛ける前に、不要になったシーツや大型タオルケットを車体に掛けておく』です。
特にタオルケットの効果は抜群で、駐車中に風ではためいたカバーでボディ表面がキズだらけ!という惨状を大幅に回避できます。
透湿性の悪いカバーの場合は車体下部に隙間を開けておくのも有効です。
ほんの僅か、カバーの端を地面から数cm浮かすだけで劇的に通風性が向上して湿気が籠りにくくなります。
地面がアスファルトやコンクリートではなく「土」の場合、地面から上がってくる湿気を逃がすためにグレーチング(道路側溝の排水用フタ、ホームセンターなどで購入可能)の上に駐車すると、通風性が上がって大きな効果があります。
まとめ
最初に書いたように、バイクカバーに何を求めるかは使う人の環境によってかなり違います。
その求める条件に対して優秀な性能を持つカバーが『その人にとって最強のバイクカバー』です。
そのバイクカバーは他の人の条件では最弱かもしれません。
でもそれで良いのです。
自分の駐車環境で最強の性能を発揮すると思われる物、つまり自分の願った目的について最も達成すると思う物を選べば良いだけ。
そのためにも「カバーに何を求めているのか?」、「一番したい事は何か?」、これを忘れないようにしましょう。
サイズもしかり。
車体サイズとカバーサイズが合っておらず、異常にブカブカだったりパツパツだったりしても、それが敢えて狙ったサイズであれば何も問題ありません。
目的がブレなければ、おのずと最強のバイクカバーに近づいて行けるはずです。
- 防水性 : 完全防水が理想、縫い目の裏に止水処理(シームテープがあるか?)
- 撥水性 : 撥水素材の方が乾きが早い
- 内部の蒸れ対策 : 透湿素材が理想(ただし高価)、通風口があるか?
- 内側の生地 : 裏起毛が理想、無処理だと着脱時や風でボディ表面に小キズが入る
- 装着のしやすさ : 毎日使う場合は特に重要
- 耐熱性、耐火性 : エンジンを止めてすぐにカバーを掛ける際に重要、耐熱でないとマフラーの熱で溶けて張り付くし、最悪火災に発展する
- 耐久性 : 劣化しにくい、破れにくいなど、コスパに影響する、インプレッションで確認するのが良い
- 防犯性 : 目立ちにくい黒いカバーが良いとされる、チェーンロック用の穴はバイク用であればほぼ全品に装備されている
- 携帯性 : キャンプツーリングなど、外出先にも持っていけるか?
- 価格 : 望む性能に見合った価格になっているか?
- 日本製 : 海外製がダメというわけではないが、激安品と国産高級品との差は歴然としている
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