2022年に発売されたダンロップの新作スポーツタイヤ「SPORTMAX Q-LITE(スポーツマックス キューライト)」。レーシーなハイグリップモデルでありながら、お手頃なバイアスタイヤでもあり、中~小排気量モデル適合のサイズラインナップも魅力。
今回、Webikeの初心者レースチームがスズキ「GSX-R125」にQ-LITEを装備して6時間の耐久レースに参戦! その印象をチェックしてみました。
目次
「SPORTMAX Q-LITE」って?
バイク用タイヤには「バイアスタイヤ」と「ラジアルタイヤ」の2種類があることは、タイヤセレクトを気にし始めたライダーなら知っていることでしょう。内部のカーカスの構造が異なり、一般的にバイアスタイヤは分厚く、そのため硬く重いけれど構造がシンプルなので価格がお手頃。一方ラジアルタイヤは軽量で薄く、強度や剛性を調整できるためグリップを発揮しやすいものの、製法が複雑で高価(詳細解説はDUNLOP公式ページ『タイヤの役割と構造』へ)とされます。
このため、バイアスタイヤ=ツーリング用・街乗り用、ラジアルタイヤ=スポーツ走行、サーキット用――といった傾向があるのですが、製法を工夫し、スポーツ走行に充分耐えるハイグリップなバイアスタイヤもあります。ダンロップの「ハイグリップバイアス」は長らく「TT900GP」がラインナップしていましたが、今回登場した「SPORTMAX Q-LITE」はバイアスタイヤの「お手頃さ」と、ラジアルタイヤの「スポーティーさ」をうまくバランスさせた新モデルなのです!
さっそくサーキットへ! 装着したのは「GSX-R125」
今回はWebikeスタッフによる初心者レースチームで、このQ-LITEを使用し実際にサーキット走行を楽しんでみました! 装着するのはスズキ「GSX-R125」、125ccの国産現行ラインナップの中では唯一のフルカウルマシンで、小排気量ながらスポーツ性能を追求したハイポテンシャルなマシン。各地のミニバイクレースや、ワンメイクレースにも登場するミニバイクサーキットの常連モデルです。
チームメンバーはレース経験者からビギナー、サーキット初走行というライダーまでさまざま。さらに今回出走するレースはミニバイクによる6時間の耐久レース「ミニろく」です。Q-LITEが高性能とはいえ、果たして耐久レースを走り切るライフがあるのでしょうか!? また、レースで戦えるポテンシャルはあるのでしょうか……!?
耐久レース「ミニろく」に参戦! ラジアルユーザーも満足のフィーリング
さて、やってきたのは「ミニろく」会場となる富士スピードウェイ(ショートコース)。耐久レースということで、1台の車両に順番にライダーが乗り込み、規定時間内にどれだけ周回数を稼げるかを競います。「ミニろく」では6時間の連続走行となり、ライダーも大変ですが、タイヤにもキビシイコンディションの連続! スポーツ走行ができないタイヤでは完走することも困難です。
しかし、スペック通りの安定性をみせたQ-LITE。耐久レースではつきもののアクシデントや、マシントラブルはありましたが……タイヤにトラブルは一切なし! 無事に6時間の走行を交換なく完走することができました。
走行後にフィーリングを聞くと、「タイヤの形状からくるバンクの安心感が高く、寝かし込みの感覚が怖くない」という、サーキットユースでは頼もしい感想が。また長時間の走行でも、熱でタレてしまうことがなくグリップ感も安定しているという声もありました。Q-LITEのサーキット性能は、初心者チームでもハッキリわかる安心感を発揮できたようです!
初心者ライダーインプレ「寝かし込みが怖くない!」
「サーキットど初心者の自分がQ-LITEを履いたバイクに乗ってみての感想ですが、一番大きな印象としては「寝かし込みの感覚が怖くない」というのがあります。
普段自分のバイクに履いているスポーツ志向のタイヤに関しては、プロファイルの特性か、バイクをバンクさせ始めた時にバンク角が急激に深くなる感覚に、少し不安を感じていました。
今回使用させていただいたQ-LITEに関してはそういった不安感無く、かといって寝かし込みや切り返し時のレスポンスがダルいといった感覚もありませんでした。
こういった感覚的な部分で信頼感のあるタイヤなので、自分が初心者であるからこそ、スポーツ走行の入門的な用途にも良いタイヤなのではないかと思います。」(Webikeスタッフ:江口)
中級ライダーインプレ「ハーフウェットでも安心感が高い」
「GSX-R125/150ではスーパーコルサ(ピレリ)、BT-39SS(ブリヂストン)、KR410(ダンロップ)などのタイヤを使った経験があります。
それらレース対応タイヤと比べるとQ-LITEのグリップは特段高いわけではありませんが、丁寧なライディグを心がければタイヤの挙動や限界を感じることができます。
グリップ力の変化に関しては、6時間の耐久レース中大きく変化することはありませんでした。気温が上がってきた時間帯でもタイヤがタレることなく一定のグリップ感です。
ライフに関してはレース終了後にも、あと1レース+練習走行が出来そうなほどの耐摩耗性を有しているため、お財布にも優しいです。
ウェットグリップに関しては、フルウェットでの使用はできていないものの、ハーフウェットの難しいコンディションの中でも安心感が高いα-14のような印象でした。」(Webikeスタッフ:浦井)
サーキットでも使えるバイアスは数値的にも高いポテンシャルを裏付け
レースでも好フィーリングを発揮したSPORTMAX Q-LITE、コンパウンドはハイグリップラジアルを起源とするフルカーボン配合で、街乗りからサーキット走行まで幅広い速度域での高いグリップ力を実現。またカーカスも枚数が調整され、タイヤ剛性がサイズに合わせて最適化されています。さらにトレッド面のパターンはハイグリップタイヤ「SPORTMAX Qシリーズ」の技術をフィードバックしたシェブロンパターンを新設計。偏摩耗しづらく効果的な排水能力を発揮するよう意図されています。
これらの工夫によりスポーツ走行時のタイムアップにもつながるとか。ダンロップの発表によれば、従来品のハイグリップバイアス「TT900GP」からサーキットコースのベストラップを0.8%、5ラップ平均で1ラップあたり1.5%短縮! またライフ性能は60%向上し、より速く、より長く使えるという理想的なスペックデータが得られていいることからも、Webikeスタッフの印象は数値的にも裏付けられているようです!
サイズラインナップ
Front | Rear | |
17インチ 100/80-17M/C 52H | 17インチ 130/70-17M/C 62H | |
17インチ 110/70-17M/C 54H | 17インチ 140/70-17M/C 66H | |
17インチ 70/90-17M/C 38S | 17インチ 70/90-17M/C 38S | |
17インチ 80/90-17M/C 44S | 17インチ 80/90-17M/C 44S | |
17インチ 80/90-17M/C 50S | 17インチ 80/90-17M/C 50S | |
17インチ 90/80-17M/C 46S | 17インチ 90/80-17M/C 46S |
情報提供元 [ DUNLOP ]
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