冬のライディング時の悩みといえば、『身体の寒さ』と『シールドの曇り』が2大巨頭ではないでしょうか。

凍えるような寒さは防寒ウェアや電熱ウェアでほぼ解消できるのですが、シールドの曇りは強敵です。
シールドの曇りはピンロックシートの普及によってかなり解消されましたが、本当に寒い朝などはピンロックシートだけでは追い付かない事もあります。
バイク運転中にシールドが曇って前が見えないとか、視界がボヤけるというのは純粋に危険。

そして、メガネを使っているライダーにはもっと深刻な問題があります。
シールドの曇りは何とか防げても、メガネの曇りは防げないから!

しかも、電熱ウェアで身体を暖めて首回りの防寒を完璧に対策すればするほどメガネが曇るという、残念すぎる現実もあります。

そもそもなぜ曇るのか?

シールドが曇るのは『シールド内と外気との温度差で結露が発生するから』です。
冷たい外気に晒されたシールドが冷えているので、自分の体温で温められた呼吸が接触するとそこで結露してしまうというわけです。

各社から発売されている『ピンロックシート』は、外気に晒されるシールド外側と暖かい息の掛かるシールド内側の間に空気の層を作る事で断熱し、温度差を減らす事で結露を防ぐ仕組みです。
効果は抜群なので使用しているヘルメットでピンロックの設定があるなら『ぜひ使用する事をおすすめ』します。

例え設定が無くても『汎用ピンロックシート』と言う物もあるので、設定が無くても諦めるのはまだ早いです。

フルフェイスヘルメット+メガネライダーの必需品!最強の曇り止め(物理)はコレだ!

シールド内外の温度差で結露するのが曇りの原因

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愛用しているヘルメットメーカーにピンロックシートの設定が無くても、汎用ピンロックシートが使えるかもしれません

曇り止め対策はいろいろありますが……

ピンロックシート以外にも曇り止め対策として効果があると言われている物はイロイロあります。

■1:ネックウォーマー
フリース製や布製の物が主流で、口元をカバーする事で息がシールドに掛からないようにして曇りを防ぐという物です。

ただ……多くの場合「シールドが曇らない」という効能は記載されていないはずです。
装着すると口元や首筋に風が当たらず暖かいのは本当ですが、シールドの曇りという視点で見ると逆効果な場合すらあります。

走行中はヘルメット周辺を走行風が流れるので良いのですが、信号待ちで停止するとネックウォーマーで暖めらた湿った空気がモワモワと立ち上って来ることになるので一気に曇ってしまうのです。
雨で濡れたりすると大変な事になるのは経験された方も多いはず。

■2:マスク
コロナ渦のせいで誰もが常用しているマスク、これをしたままヘルメットを被ると直接息がシールドに掛からないので曇らないという説もあります。
ただ、これもネックウォーマーと同じで、走行中は良いのですが停止すると逆効果な場合が多い気がします。

暖かい湿気を溜め込む不織布はネックウォーマーと同じ事が起こってしまいますし、ウレタンマスクに至っては吐いた息がむしろシールドを直撃する形になってしまって一呼吸で曇ったりします。

■3:石鹸水
薄めた石鹸水をシールド内側に塗っておくと、結露した水蒸気が水玉にならずベチャっと潰れるので曇らないという古典的な方法もあります。
100均やスーパーのレジ横で見かける『メカネの曇り止め』も基本的には同じで、結露した水滴の表面張力を下げて水滴を水の膜に変える事で曇りを防止します。

確かに効果はあるのですが、曇る前から僅かに視界が曇ったような感じになりますし、汚れやすいのが減点ポイントです。
曇らない代わりに水膜が張るので、視界が歪むのも気分が悪いです。

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フェイスマスクは首や顔が暖かい効果は抜群ですが、曇り止め効果はかなり疑問です

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石鹸水など界面活性剤を利用した曇り止めの場合、曇らない代わりに薄い水膜のせいで視界が歪みがち

メガネライダーならではの悩み

ピンロックシートや何らかの曇り止め施策を実行する事でシールドの曇りが防げたとしても、メガネが曇る悩みからは開放されません。
特にフルフェイスヘルメット+メガネの組み合わせは最悪で、冷えたメガネのレンズに暖かい空気が触れるだけで曇ってしまいます。
シールドと違ってメガネレンズは表も裏も同時に曇るので視界の悪化具合も只事ではありません。

ヘルメットに備わるベンチレーションもメガネの曇りにはほとんど効果ありません。
ベンチレーションはシールドに外気を当てて曇りを取るように設計されていますが、メガネにはほとんど風が当たらないからです。
まして、メガネレンズの裏側なんて、風なんか全然当たりません。

でもそれは当然で、目に風が当たるような設計にしていたらメガネをしていないライダーやコンタクトレンズを使用しているライダーにはたまったものではないですから。
メガネ使用中も同様で、曇り除去のためにメガネの内側や外側に風なんか当てる設計にしたら目が痛くて困ってしまいます。

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シールドの曇りが防げてもメガネが曇って何も見えない……それがメガネライダー

メガネの曇りを防ぐにはどうすれば良いのか?

このように絶望的に不利な状況にあるメガネですが、ここでもう一度曇る原因をおさらいしてみましょう。
曇るのは『内と外気との温度差で結露が発生するから』です。

メガネの場合はレンズそのものが冷えているので、自分の体温で温められた呼吸が接触すると内側も外側も同時に結露してしまいます。
視力が悪くて分厚いレンズを使っているほどレンズが冷えている時間が長くなるので曇りやすいですし、プラスチックレンズよりも熱伝道性の悪いガラスレンズの方が曇りやすいです。
寒い日に暖かい屋内に入ったら一瞬でレンズが曇ってしまった経験はメガネユーザーなら全員が経験しているはず。
アレと同じ。

レンズそのものが冷たいので、シールドのピンロックのように断熱用の空気層を挟もうにもメガネレンズ両面にシートを装着しなければならず、全く現実的ではありません。

残された手段はただ一つ。
物理的に暖かくて湿った空気がメガネのレンズに触れるのを防ぐ!
これしかありません。

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吐いた息がシールドやメガネのレンズに当たるのを防ぐ、これしかありません

当たらなければどうということは無い

自分の吐いた暖かくて湿った息がシールドやメガネに当たらなければ曇りません。
顔から出る暖気や汗なんてたかが知れてます。
ヘルメットなんて下部がガラ空きですから、そんなものはベンチレーションがあれば大丈夫。

というワケで、真冬のメガネライダーにおすすめしたいのが、SHOEIの「エアーマスク」です。
物理的に息が掛からなくなる物なので、なにしろ効果バツグンなのです。

もともとエアーマスクという製品はショウエイの各帽体に合わせて専用形状の物が用意されているので、ショウエイを使っている方は自分の帽体に合う物を購入するだけでジャストフィットします。
迷う必要も無し!完璧!

ではSHOEI以外のヘルメット、特にフルフェイスの他社ヘルメットはどうすれば良いのでしょう……。

そこで私が独断で推薦したいのがショウエイの「エアーマスク2」です!
とても汎用性が高い形状なので、だいたいのフルフェイスヘルメットで使用可能なのです!
(逆に専用形状のエアーマスクが用意されているSHOEIの帽体に使うのはオススメしません)

フルフェイスヘルメット+メガネライダーの必需品!最強の曇り止め(物理)はコレだ!

これがエアーマスク2。シンプルな形状だからSHOEI以外のブランドでもフルフェイスヘルメットならだいたい使える汎用性の高さが魅力

他社でも同じように曇り止め効果を狙ったオプションは存在する

筆者の愛用しているArai製フルフェイスヘルメットでは、曇り止め効果を狙ったオプションパーツとして『ブレスシャッター』が用意されています。
もちろん効果抜群
雨の日のレースでは必需品と言っても良いですが、これが登場するまでの雨のレースでは「ヘルメットを被った後でガムテープで顔との隙間を塞ぐ」という、今となっては驚きの手法が採れれていましたからね!
(とても野蛮な方法ですが、緊急時であれば今でも有効です)

SHOEIのエアーマスク2は汎用性が高いのでAraiに使う事も可能ですが、やはり専用品には勝てません。
ヘルメットメーカー各社で曇り止めのオプションが用意されているなら、専用品を使った方が間違いないです。

しかし、そんな物が用意されていないブランドや、用意があっても入手困難な事もあります。
そんな時、SHOEIのエアーマスク2は強い味方になってくれるはずです!

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アライ製のブレスシャッターはフルフェイスヘルメットのノーズディフレクターと交換して顔との隙間を埋めるタイプ

言いたくないけど弱点もある

フルフェイスヘルメットならだいたい使える汎用性がありながら曇り止め性能抜群なSHOEIエアーマスク2ですが、全く弱点が無いわけではありません。
どう捉えるかは「あなた次第」ですが、筆者が気になるポイントを書いておきます。

■新品時はかなりゴムくさい(すぐ匂わなくなりますが……)
ヘルメットを被った後、エアーマスクの形状を整えるのに毎回時間がかかる
装着用のベルクロがヘルメットに残るので、使用していない時はちょっと邪魔
ヘルメットを脱ぐとマスクのフチの痕が鼻の両側にしばらく残る

ただし、弱点を軽く上回る効果があるのは間違いないと思います。
メガネライダーの方はぜひ購入しておく事をオススメします!

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夜間、明暗差の激しい場所で曇るとホントに何も見えなくなるので、曇り止め対策は大事です

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