
え!?こんな部分が欠けていた……とか、部品を落として深いキズを作ってしまったなどなど、エンジン部品に限らずアルミ部品の補修に効果的なのが金属充填剤と呼ばれる接着剤の利用だ。軸受け部やエンジンマウント部など、チカラが加わる部分へ利用することはできないが、形状補修やペイント前のパテがわりとして、威力を発揮するのが金属充填剤だ。ここでは、アルミ部品の欠落を見つけたので、気楽に修理実践してみよう。
目次
このまま色塗り!?それとも補修!?
ホイールペイントを実践しようと分解したら、スピードメーターギヤをカバーする筒形状のエッジが割れて欠落していた。強度的に特に問題ない部分なので、ここではこの欠落部分を金属充填剤で補修しよう。
金属充填剤の強度は素晴らしい!!
工具ショップのストレートで取り扱っていた金属充填剤は、アルミやステンレス用金属充填剤のなかでも特に高強度な商品のようだ。常温硬化後に50~80℃にて1~2時間加熱処理すると、さらに強度アップする特性を持つらしい。硬化後にポリッシュすることで、金属に似た輝きも得ることができる。
撮影協力:ストレート
適量&混合比で練り合わせよう
エポキシ樹脂の主剤と硬化剤を混ぜる際の比率目安になる半球型パレットが同梱されているGM-8300ジーナスエポキシ樹脂。今回は使用量が極少量だったため、異なった大きさの半球パレットに、あくまで見た目で似たような感じに樹脂と硬化剤を取り分けて練り合わせた。
形状合わせはテンプレートの発見から
欠落部分のハプエッジ寸法に見合った何か?を探していたら、内周には塩ビパイプ、外周には金属バンドが使えそうだと気が付いた。型の代わりにこれらを使って充填剤を盛り上げてみようと考えた。マフラーバンドにも使えそうな金具バンドを調整してハブエッジの外周にセット。金属充填剤との離型がうまくいくように、欠落部分のバンド内側にはシリコンスプレーを塗布した。外側バンドをハブエッジにセットした状態で練り合わせた金属充填剤を盛り上げる。そして、内側から塩ビパイプを押し付け、欠落部分の形状を再現するように調整努力してみた。
削り過ぎないようにじっくり仕上げ
形状再現できたら金具とパイプをセットしたまま数時間放置(今回は5時間放置)。すると強度的には不明だが、表面は十分硬かったので平ヤスリ削りで上面を再生した。サンディング用ゴムブロックに600番のサンドペーパーをセットし、平面部分を利用して外周をR形状に削っていった。十分に硬化していて削り抵抗は相当に硬かった。ハブエッジの内周は、折り畳んだサンドペーパーをR形状にして序々に削って合わせた。バンドと塩ビパイプを治具にしたため、削り量は最低で済ますことができた。多分大成功!!
ペイント仕上げで、ほぼ完璧!?
メーターギヤをセットしてみると、ギヤユニットはスムーズに回転し、補修部分と擦れるようなことは無かった。後日、ハブベアリングを抜き取ってマスキングを施し、ペイント仕上げしたら、補修個所はまったくわからなくなった。
- ポイント1・高性能ケミカルの使い方や応用方法を知ることでメンテナンスの幅が広がる
- ポイント2・混合ケミカルは混ぜ合わせ比率を正しくコントロール
- ポイント3・完全硬化を待ってから仕上げ作業へ入ろう
アルミやステンレスなどの金属粉とエポキシ樹脂を混ぜた金属充填剤。硬化剤と混ぜて成型し、乾燥を待つと極めて強い強度になる。高熱に対しては弱い側面を持つが、4ストエンジンの排気ポート周辺以外なら、必要十分な強度を確保することができる。事実、バイクを倒して空冷フィンが欠落してしまっても、金属充填剤で患部を補修成型することはできる。高熱に対する特性を理解しておけば、金属充填補修剤の用途は、かなり広がると言えるだろう。
金属充填剤の中でも、アルミやステンレス部品の補修充填に優れ、高温に対する性能も高く評価されているのが、ストレートが取り扱うジーナス金属充填剤GM‐8300。常温硬化後、50~80度の温度で1~2時間ほど加熱することで、樹脂内部の応力が分散して常温硬化時よりも強度アップする特性を持つ。
ここでは、強度的に影響が無い、ホイールハブエッジの欠落部分の補修を実践してみた。キットには混合パレットが同梱されるので、間違えることなく作業性は良い。常温硬化後の切削処理時は、ほぼ金属と同等の硬度をやすりの当たり具合で感じることができた。必要十分な容量でのパッケージなので、使い切る前に半硬化させてしまうような残念なケースも少なそうだ。
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私ならアルミTIG溶接にて肉盛りしサンダーで削ります。