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スーパースポーツGSX-R1000のエンジンを搭載した話題の新型スポーツ スズキ GSX-S1000GSX-S1000F
先日、箱根のワインディングで開催されたプレス試乗会から、バイクジャーナリストのケニー佐川がインプレッションをレポートします。

【GSX-S1000】

パワフルで扱いやすく軽快トラコンを生かした走りが楽しい

獲物を狙う野獣を思わせる低く構えた鋭いフォルムが印象的だ。
引き起こしでまず感じるのは軽さ。リッターネイキッドとは思えない209㎏の車重は、それだけで大きなメリット
駐車場での取り回しも楽々だ。跨ってみるとシートは絞り込まれたスポーツ仕様で足着きもいい

高級感のあるレンサル製アルミハンドルバーはヨーロピアンタイプのワイドバーで、やや前傾したストリートファイター的なライポジとなる。メーターまわりもすっきりと見やすく、フルデジタル表示がスタイリッシュだ。

エンジンは08年型のGSX-R1000がベースで、ロングストロークを生かした低中速域での厚いトルクがウリ。
ただ、のような図太さではなく、想像していたより軽やかで高回転型。やはりスーパースポーツ由来のエンジン。
回すほどにパワーがほとばしる。音にこだわったという野獣の雄叫びにも似たサウンドに魅せられる。

ホイールベースも1,460㎜とコンパクトで、タイトターンでもクルクル曲がる。かといって軽すぎて恐いとかフラつくようなことはなく、低速域は軽快だが速度を上げるにしたがって安定してくる。
エンジン搭載位置がGSX-Rより低めな印象で、その分コーナーインでの倒し込みの鋭さも緩和され、ビギナーでも馴染みやすいハンドリングに仕上がっている。

トラクションコントロールがいい
Vストローム1000で採用されたトラコンの発展型で、介入レベルが2段階から3段階と設定がより細かくなっている。モード1はスポーツ走行用でサーキット向き、モード2はストリート向き、モード3はウェットや冷えた路面を想定した設定となっていて、走行条件やライダーの好みによってボタンひとつで切り替えることが可能だ。特におすすめなのがモード3。コーナーの立ち上がりなどで、ちょっとスロットルを開けすぎるとメーターのインジケーターランプが光り、すぐにトラコンが介入してくれることが分かる。トラコン介入時もいたって自然な挙動で、いかにも点火カットしているような違和感がないため加速もスムーズだ。

GSX-R1000のようなパワーモードがない代わりに、トラコンによって結果的にパワーが抑制されているので、欧州仕様と同じ145psのフルパワーを安心して使いこなすことができる。ライダーは気づかぬうちにバイクに助けられているわけだ。トラコンの絶大なメリットをあらためて感じることができた。もちろん、トラコンをオフにすることもできるが、145psのフルパワーである。安全ためにも常にトラコンはオンにしておくことをおすすめしたい。

足回りについては、ブレンボ製ラジアルキャリパー装備のフロントブレーキは十分な効力で、強く握ったときでもコントロールしやすい特性。ABSもかなり深いところで入るのでスポーツライディングにも対応している。
一点、欲を言えばリヤショックの動きにもう少しグレード感があったらと思う。スロットルの感度がいいだけに、車体の姿勢変化をもう少し抑えられたら完璧だ。
いずれにしても、111万円というプライスでこの走りの性能は、まさに大特価としか言いようがない素晴らしさだ

    
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【GSX-S1000F】

高速域で実感するフルカウルの恩恵 サーキットでも豪快な走りを楽しめるはず

次に試乗したのはフルカウル仕様のGSX-S1000F
エンジンとシャーシはSTDのネイキッドタイプと同じだが、2灯ヘッドライトとスクリーンを配したフルカウルにフロント全体を覆われているためイメージは大きく異なる。STDが「野獣」としたらFは大空を舞うワシなどの「猛禽」を連想させるマスクだ。見方によってはよりスマートな印象にも映る。

フルカウルが装備されたことで、メリットとデメリットの両面があるように思う。
メリットとしては、整流効果が高まり直進安定性が向上するとともにウインドプロテクションも向上している点。
特に100㎞/h以上の高速域になるとその効果は絶大で、STDが全身で風を受けるのに対し、Fではアップライトポジションのままでも首から下はほとんど風圧を感じない。スクリーン形状はコンパクトな割によく効く。高速クルーズでは疲労度低減に大きく貢献するだろう。また、試してはいないが最高速も伸びるはずだ。

逆にデメリットは車重が重くなったこと
STDと比べると5㎏プラスだが、これをどう見るか。元々、軽量な車体なのでさして問題にはならないとも思うが、実際に走ってみるとけっこうハンドリングに違いがあって興味深い。
たとえば極低速ターン。交差点をヒラリと曲がるようなシーンでは、やはりSTDのほうに分がある。また、高速レーンチェンジやS字セクションなどではカウルが風の抵抗を受けるため、切れ味はやや鈍る。
重量配分によるハンドリングの違いもある。フロント荷重が増えたことでコーナリング中の安定感が増しているのは美点。

ちなみにサスペンションは前後ともSTDと共通のカヤバ製だが、フロントフォークのセッティングが専用になっているとのこと。具体的には重量増に合わせてプリロードと減衰力を少し強めているらしい。ギャップ通過の挙動変化などから、個人的にはさらにもう少しダンパーをかけたい感じもした。

その他の装備やスペックはSTDと共通で、フルアジャスタブル倒立フォークにGSX-R1000と共通の高剛性スイングアーム、ブレンボ製ラジアルキャリパーを標準装備するなど足回りも充実。さらにモード選択可能なトラクションコントロールと電子制御ABSに加え、ワンプッシュで始動が可能なスズキイージースタートシステムを装備するなど現代に見合ったハイテク装備も身に付けた。

Fの得意なステージは高速クルーズや雄大なワインディング、そしてサーキット走行もかなりいけそうだ。なにしろ世界中のレースシーンを席巻してきたGSX-R1000の心臓を持ったスーパーネイキッドである。145psのフルパワーとトラコンのサポートを受けて、安全に豪快な走りを楽しめるはずだ。
参考までにメーカーの話では、今のところSTDよりFのほうが台数は出ているそうだ。どちらを選ぶかはユーザー次第。目的や走り方、最終的にはスタイリングの好みで選べば間違いはないと思う
価格はSTDに対して5万円高の116万円、とこちらも十分魅力的なプライスとなっている。

ktm 1290 super adventure
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