欧州においてストリートファイターカテゴリーは非常に人気が高く、各メーカーが力を入れて開発を進めている。EICMA2024においても各メーカーから新型が発表され、日本への導入が待たれている。今回はMT-07、Z900、CB750ホーネット、CB1000ホーネット
という日本メーカーの4車種を、改めて並べて見ていくことにしよう。

Y-AMTに注目したいMT-07

688ccのCP2エンジンを搭載するMT-07は2014年に発売され、欧州や日本で高い人気を誇っている。2021年にユーロ5排出ガス規制をクリアするとともに、新しいフロントフェイスやブレーキの強化などの変更を受けている。今回発表された2025年モデルではデザインが一新され、新設計のフレームや倒立フォークなどが採用されている。そして、最も注目すべきは、ヤマハがMT-09に搭載した新しいトランスミッションシステム「Y-AMT」仕様の導入であろう。

新型のMT-07はスピンフォージドホイールを採用することでバネ下重量を約0.5kg軽減し、スタンダードモデルで183kgと先代よりも1kgダイエットし、Y-AMT仕様でも186kgとかなり軽量に仕上げられている。エンジンのスペックは最高出力54kW(73PS/6750rpm)、最大トルク67N・m(6.8kgm)/6500rpmで先代と同様で、ユーロ5+排出ガス規制に対応している。

スロットルには電子制御スロットルのYCC-Tを採用し、クラッチにはシフトダウン時の安定した挙動を実現しつつレバーを引く力を約22%軽減するアシスト&スリッパークラッチが採用されている。また、メーターは5インチのカラーTFTディスプレイを採用し、マシンとの一体感アップを狙ってライディングポジションを見直すなど完全に生まれ変わった新型MT-07は、ミドルクラスストリートファイターをリードする存在となるだろう。

熟成度を上げたZ900

カワサキはZ1000、Z900、Z650、Z500、Z400、Z250、Z125と、「SUGOMI=凄み」をテーマとしたストリートファイターZシリーズのラインナップが充実している。EICMA2024で発表されたのはZ900の新型で、フレームとエンジンは従来型をベースとしつつも、新しいデザインや6軸IMU(慣性測定装置)、クルーズコントロール、クイックシフターなど最新の電子装備を備えている。

デザイン的には4眼タイプだったライトが3眼タイプとなり、従来型ではタンクから繋がるデザインだったシュラウドが独立し素材もアルミ製に変更、そしてタンクとシュラウドの間にフレームが露出している。タンクやシート周りのデザインも全てリニューアルされ、外装類はより絞り込まれた印象を受ける。

エンジンは先述した通り従来型がベースの948ccのDOHC4バルブ4気筒だが、カムプロファイルやECUを変更することでユーロ5+排出ガスに対応。その結果最高出力は125 PS/9500 rpmから123PS/9500 rpmに、最大トルクは10.1kg-m/7700rpmから9.9kg-m/7700rpmにダウンしている。この若干のパワーダウンよりも注目すべきは燃費の向上であり、従来型の100km走行時の燃料消費量は5.7Lだったのに対して、新型は4.8Lと約16%も改善されているのだ。また、車両重量は従来型の213kgから212kgへと軽量化されている。

メーターは4.3インチのカラーTFTディスプレイが採用され、フロントブレーキがラジアルマウント化されるなど装備は充実。スタンダードのZ900に関しては、カワサキからは日本への導入準備中のアナウンスがされている。さらにブレンボ製キャリパーやオーリンズ製リアショックなどの特別装備を与えられたSEグレードも用意されており、こちらの国内導入にも期待したいところだ。

ホーネットは750と1000の二本立て

ホンダは既に欧州では販売されているCB750ホーネットのマイナーチェンジモデルと、去年からチラチラと露出されていた新型のCB1000ホーネットがEICMA2024で正式デビューした。

CB750ホーネットは最高出力67.5kW(91.7PS)/9500rpm、最大トルク75Nm(7.65kgm)/7250rpmを発揮する755ccのSOHC4バルブ直列2気筒エンジンをスチール製のフレームに搭載し、ショーワ製のSFF-BP(セパレートフォークファンクションビッグピストン)フロントフォークなどを装備。EICMAデ発表された2025年モデルは新しいデザインのフロントカウルを装備し、5インチの最新型カラーTFTディスプレイメーターなどが採用されている。

CB1000ホーネットは、2017年型のCBR1000RRベースのエンジンを新設計のスチール製のツインスパーフレームに搭載。スタンダードのホーネットの最高出力は111.6kW(151.7PS)/11000rpm、最大トルク104N・m/9000rpm、上級グレードとなるホーネットSPは最高出力115.6kW(157.2PS)/11000rpm、最大トルク107N・m/9000rpmとさらにパワーアップされている。ロットルバイワイヤを採用することでライディングモードを変更でき、HSTC(ホンダ・セレクタブル・トルク・コントロール)なども搭載する。サスペンションはフロントが41mm径のショーワSFFBPフルアジャスタブル倒立フォークで、リアショックはスタンダードがショーワ製、SPにはオーリンズ製のTTX36を装着。ブレーキはフロントがラジアルマウントタイプとされ、スタンダードはニッシン製、SPはブレンボのStylema4ポットキャリパーが奢られる。また、750同様に、5インチの最新型カラーTFTディスプレイメーターなども装備されている。

CB1000ホーネットは不明だが、CB750ホーネットは日本への導入が決まっており、CB750ホーネットは2月半ばに発売という噂もある。CB1000ホーネットは今夏日本導入との情報もあったが、遅れているようで今のところ発売時期は未定だ。

来年早々、モーターサイクルショーに4車揃うか?

EPCMA2024で発表された日本メーカーのストリートファイターたちは、排気量などの違いがあるため直接的なライバルとなるのはMT-07とCB750ホーネットだろう。ハイパワーなツインエンジンを搭載するホーネットに対して、MT-07は日本での知名度が高くY-AMTという強い武器を持つだけにその勝負は互角とも言える。

Z900はSEが導入されるかにも注目したいが、今回追加された6軸IMUやクルーズコントロール、クイックシフターなどが、派生モデルであるZ900RSに導入されるかどうかというのも気になるポイントだ。CB1000ホーネットは1000ccクラスのストリートファイターの中では最新型となるため当然注目度が高く、他車モデルとストリートファイターの頂点を争うことになるだろう。

おそらく、4車とも年明けのモーターサイクルショーに展示されることになるだろう。日本においても人気が高まりつつあるストリートファイターカテゴリーだけに、これらのモデルが1日も早く日本市場に導入されることを期待したい。

ストリートファイター戦線異常あり? EICMAでデビューしたMT-07、Z900、CB750ホーネット、CB1000ホーネットを並べてチェック (26枚)

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