「ヤマハX FORCE」は、「走りの楽しさ」と「燃費・環境性能」を高次元で両立した「BLUE CORE」エンジンを、軽量高剛性フレームに搭載して2022年に国内発売された155ccスクーターだ。そのX FORCEがリヤフェンダー形状を変更して新登場。足着き性をおよそ30mm向上させるアクセサリパッケージ「X FORCE Low」も設定された。

文:小川浩康 写真:コイズミユウコ

コミューターとして使いやすい機能が充実

6000rpm以上で吸気側カムのリフト量が中高速向けに切り替わる可変バルブ機構(Variable Valve Actuation)を搭載したX FORCEのBLUE COREエンジンは、変速比を変更して加速性を向上した特性となっている。乗り降りしやすいフラットフロアを実現するアンダーボーン型式のフレームは、排気量に合わせて剛性、しなやかさ、強度のバランスを最適化して設計。さらに、前後独立式ABS、4段階調整が可能なリヤサスなど走行面の装備も充実。

専用アプリ「Y-Connect」をインストールしたスマートフォンと連携することで、燃費やバッテリー状態を確認でき、車両の最終駐車位置をスマホ画面に表示できる。そんなスマホの充電に便利なUSBソケットを標準装備し、容量23.2Lのシート下収納、ポケット、コンビニフックなど収納性も良好。こうした高い利便性はそのままに、2025年モデルではリヤフェンダー形状を変更し、走行中の雨水やドロ跳ねを低減している。

Y-Connectの詳細はYAMAHAオフィシャルサイトにて公開中

X FORCEの足着き性をチェック!

取りまわしと加速のよさでスポーティな走りが楽しめる

ノーマルのX FORCEのシート高は815mmでやや高く感じるが、アンダーボーンフレームによるフラットフロアは乗り降りがしやすく、車重も130kgに抑えられているので、市街地での取りまわしは良好だ。

「Smart Motor Generator system」を装備し、セルスイッチひと押しでキュルキュル音もなく静かに始動するBLUE COREエンジンは、低回転から太いトルクを発揮する。スロットル操作に対するエンジンの反応にはダイレクトさがあり、加速重視のギヤ比と相まって、スタートダッシュに元気のよさを感じる。そこからエンジン回転はスムーズに上昇し、VVAの効果もあって、6000rpmを超えても頭打ちする感じがない。低回転で扱いやすく、高回転までストレスのない加速力を発揮するが、前後独立式ABS装備のブレーキがその走りをしっかりと受け止め、前後サスもフラットな乗り心地を提供してくれるので、X FORCEの走りはスポーティに仕上げられているのが体感できた。

シート下収納、コンビニフック、ポケットなど通勤や日帰りツーリングに使いやすい収納力もあり、USBソケットを標準装備し、スマホとの連携機能も有するなど、コミューターとしての使い勝手もいい。X FORCEはコミューターとしての利便性とスポーティな走りを兼ね備えているが、そのバランスのよさが「Master of Street Scooter」という開発コンセプトを表していると思った。

ローダウンでプライスもダウンするアクセサリーパッケージ

ワイズギヤのローダウンシートは単品として2万1450円で購入できるが、車両(基本車)とローダウンシートをアクセサリーパッケージとして購入すると41万8000円となる。これは車両本体(基本車40万7000円)とローダウンシート(2万1450円)を別々に購入した場合より、1万450円の割引となる。

このワイズギア製ローダウンシートは、座面を低くし、シート形状を最適化することで、最大30mm足着き性を向上している。シートベースはノーマルシートと同形状なので、シート下収納の容量も減少せず、前後サスのストローク量も減少していないので、フラットな乗り心地にも影響しない。座り心地に少し硬さを感じたが、お尻全体のホールド性は良好で、すぐにお尻が痛くなることもなかった。アクセサリーパッケージにはこうしたメリットがあるので、X FORCEの足着き性に不安のあるライダーにはおすすめだ。

その一方で、シート座面を下げているので、足を置くフロアから着座位置までの距離は短くなり、ハンドルグリップ位置は相対的に高くなる。ノーマルシートで足着き性に不満のないライダーにとっては、ヒザの曲がりがキツくなり、ハンドルに対してヒジが下がってしまうので、ライディンポジションに窮屈さが感じられるのだ。X FORCEのハンドルバーはオフロードバイクに近いストレート形状で、ハンドルグリップを上から押さえやすく、フロントに荷重をかけつつ正確なハンドリング操作をしやすいのが特徴でもある。このハンドリング性能がスポーティな走りに大いに貢献しているのだが、ヒジが下がることでハンドル操作が少しやりづらく感じた。とは言え、ハンドリング性能自体が変わるわけではなく、足着き性は確実に向上し、コストパフォーマンスもいい。自分の体格やライディングスタイルに合わせやすくなる選択肢が増えたのは、多くのライダーにとってメリットとなるはずだ。

【2025年型ヤマハX FORCE主要諸元】

・全長×全幅×全高:1895×760×1120mm
・ホイールベース:1340mm
・車重:130kg
・エンジン:水冷4ストロークSOHC4バルブ単気筒155cc
・最高出力:15PS/8000rpm
・最大トルク:1.4kgf・m/6500rpm
・燃料タンク容量:6.1L
・変速機:Vベルト無段/オートマチック
・ブレーキ:F=ディスク、R=ディスク
・タイヤ:F=120/70-13、R=130/70-13
・価格:41万8000円(アクセサリーパッケージX FORCE Low)

【画像】新型X FORCEの足着き性を向上するアクセサリーパッケージ「X FORCE Low」 (22枚)

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ヤマハ X FORCEの価格情報

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