【試乗】スタイルを一新したXMAXは利便性も向上！スムーズな走りが旅へと誘う！！

2017年の初代登場以来、6年ぶりにモデルチェンジした250ccスクーター「ヤマハXMAX ABS」。スポーツスクーター「MAXシリーズ」のイメージを受け継ぎつつ、上質さと躍動感を両立したスタイリングへと一新し、灯火類のLED化、スマートフォン連携機能を搭載した新型メーターの採用など、装備も進化している。

モデルチェンジで実用機能を充実

250ccクラスのビッグスクーターは、2000年代前半に大人気となったが、2005年をピークに国内販売は停滞傾向に。そのビッグスクーターに取って代わるように世界的に大人気となっているのが、軽量コンパクトな車体で扱いやすく、経済性にもすぐれる125~150ccクラスのスクーターだ。

そうした中で、マジェスティ以来およそ10年ぶりのニューモデルとして2018年に国内販売されたのがXMAXだ。XMAXは、”走りの楽しさ”と”燃費・環境性能”の両立を高次元で具現化させる「BLUE CORE」という思想で設計されたエンジンを搭載し、排ガス規制に対応。アップライトなライディングポジションに、ABSやトラクションコントロールも装備し、「Communication Control Unit(CCU)」を内臓した4.2インチTFTインフォテイメントディスプレイと、3.2インチLCDスピードメーターの2画面構成の新型メーターも採用。さらにかつてのロー＆ロングスタイルのビッグスクーターとは一線を画した走行性能と環境性能を兼ね備えたスポーツスクーターとして登場し、幅広いライダー層に受け入れられたのだ。
それから6年を経て、”Condensed 7days Mobility”をコンセプトに初のモデルチェンジ。まずはその変更点を紹介していこう。

二眼ヘッドランプ、ブーメランをモチーフとしたサイドカバーなどMAXシリーズのイメージを受け継ぎつつ、荒々しく美しい雪山の山肌をイメージしたデザインとなったXMAX。画像のレッドをはじめ、マットブルー、マットダークグリーン、マットダークグレーの全4色をラインナップする。

ヘッドランプとポジションランプは「X」字に発光。ウインカーはハイマウントされた。

ヘッドランプ、ポジションランプ、テールランプ、ウインカーはLEDを採用し、視認性も良好だ。テールランプはブレーキング時に「X」字が浮かび上がるレイアウトになっている。

4.2インチTFTインフォテイメントディスプレイと、3.2インチLCDスピードメーターでは、専用アプリをインストールしたスマートフォンとペアリングすることで、電話やメールの着信、電池残量、音楽などを表示。さらにナビアプリ「Garmin StreetCross」をインストールしたスマートフォンとCCUを接続すると、ディスプレイをナビ画面としても使用できる（ナビ機能は無料利用可能。マップデータ更新は有料だ）。

ディスプレイの表示切り替え、項目の決定はハンドル左側のスイッチで行なう。スイッチは直感で分かりやすく配置され、節度感もあって操作しやすい。

シートは新設計され、太もも内側が触れるエリアの曲面を深めてスリム化し、フィット感を高めている。シート表皮も滑りにくさと上質感を両立した素材に変更。

シート下トランクはスペース効率が高められており、今回の撮影で使用したフルフェイスヘルメットを2個収納することができた。最大耐荷重は5kgで、トランク内にはLED照明も装備される。

取付ボルト位置を変更することで、スクリーンを「高・低」2パターンに調節できる。そのスクリーンサポートが新設計され、スクリーン下部からの走行風を低減し、快適性を高めている。今回は「低」で走行したが、胸に走行風が当たらず、長く乗るほど疲労を軽減してくれる。

レバーストロークが増やされ、前後ブレーキの操作感を向上している。

バックミラーステーをアルミ製に変更して質感を高め、細部までこだわってデザインしている。

XMAXの足着き性をチェック！

ライダーは身長172cm。シート高は795mmで、スリム化された新シート形状もあって足着き性に不安は感じなかった。シートは適度な張りとクッション性があり、快適な座り心地だった。

ライダーは身長172cm。シート高は795mmで、スリム化された新シート形状もあって足着き性に不安は感じなかった。シートは適度な張りとクッション性があり、快適な座り心地だった。

ライダーは身長156cm。シート前方に座れば、上半身が直立したアップライトなライディングポジションがとれる。「着きは片足つま先立ちになり、不意の急停止で不安を感じるが、平常時は車体の安定性が高く、バランスを崩す不安は少ない」とのこと。

アクセサリーとして、シート高が40mm下がるローダウンシートも別途用意される。

スムーズなエンジンが軽快な走りを実現！

全域で余裕のあるエンジンと衝撃をしなやかに吸収する前後サスが、スムーズな走りを実現。快適な乗り心地で、どこまでも走り続けたくなる。

今回のモデルチェンジではBLUE COREエンジン、フレーム、サスペンションといった基幹パーツに変更はないが、BLUE COREエンジンは厳しい排ガス規制に適合しつつもスロットル開けはじめからトルクがしっかりと立ち上がり、181kgの車体をスルスルと加速させていくのをハッキリと体感できた。驚くほどのパワフルさはないものの、低速域から高速域まで250ccらしい余裕があり、走りにダルさを感じることはなかった。

車体は125ccクラスのスクーターよりも大きく、車重も増えているけれど、スムーズな加速とクセのないハンドリングのおかげで市街地走行では取りまわしやすさが感じられる。さらにシート下スペースは収納力も高く、コミューターとしての使い勝手はかなり良好といえる。

最高出力は23PS/7000rpm、最大トルクは2.4kgf・m/5500rpm。熱強度にすぐれたアルミ鍛造ピストン、放熱性にすぐれたDiASilシリンダー、一体鍛造のクランクシャフトを採用し、高効率燃焼、高い冷却性、ロス低減を追求して、走りの楽しさと燃費・環境性能を高い次元で両立させるのがBLUE COREエンジンの大きな特徴だ。

ホイールは前15インチ、後14インチで、タイヤは前後ともにダンロップSCOOT SMARTを装着。ウエット路面でもグリップ力を発揮してくれる。

ブレーキは前後とも油圧式シングルディスクでABSも装備。ブレーキレバーのストロークを増やして操作感を向上し、制動力のコントロールがよりしやすくなっている。

スマートキー通信エリア内でスマートキーを持っていれば、車両のメインスイッチを押し回すと電源ONになる。また、ハンドルロック、シート下トランクや給油口のロック解除などもメインスイッチで行なえるようになる。

小物入れ左側には12V用DCコネクターを装備。最大耐荷重は1kg。右側は最大耐荷重0.5kgとなっている。

給油口はセンタートンネル上面に設置されている。タンク容量は約13Lで無鉛レギュラー仕様。タンクリッドにはダンパーが装着され、スムーズに開く。

作り込まれた車体でスポーティな走りも楽しめる！

エンジンからの不快な振動もなく、回転上昇が非常にスムーズなので、市街地では余裕を持って交通の流れをリードする速さを発揮した。その際、前後サスペンションが路面からの衝撃をしなやかに吸収するので、走行中の車体挙動がフラットになって乗り心地もいい。スクリーンは高い防風性を発揮し、荷物の収納性も充分あるので、通勤のための市街地走行だけでなく、休日には高速道路を使って遠出したりと、さまざまなシーンで快適な走りが楽しめるだろう。

そうした快適な走りはXMAXの特徴となっているが、個人的にはモーターサイクルタイプの正立フォークを装備しているところにヤマハのこだわりを感じた。前輪の衝撃吸収性と安定性が高く、接地感も分かりやすいので、ハンドリングに曖昧さがなくマシンコントロールがしやすくなっているからだ。そしてこのフロントフォークとリヤショックのバランスがよく、エンジンも全域でスムーズで扱いやすいので、スポーティな走りも存分に楽しめる。XMAXは便利で快適なコミューターとしてだけではなく、走る楽しさを感じられるスポーツスクーターだと思った。

フロントサスペンションはモーターサイクルタイプの正立フォークを採用。路面からの衝撃をスムーズに吸収し、フロントまわりの剛性アップにも貢献している。

フロントフォーク上端をハンドルクラウンまでつなげるために、フロントフォーク自体の剛性（強度）も高められている。これが衝撃によるフロントサスの余分なヨレや捩じれを低減し、軽快で正確なハンドリング性能に寄与している。

リヤショックはタンデム時や荷物積載時に合わせて、スプリングのプリロードを5段階に調整可能。調整用レンチは車載工具としてシート下に収納されている。

スペック【2023年型ヤマハXMAX主要諸元】

・全長×全幅×全高：2180×795×1410mm(スクリーンを高くした場合1460mm)
・ホイールベース：1540mm
・シート高：795mm
・車重：181kg
・エンジン：水冷4ストロークSOHC4バルブ単気筒249cc
・最高出力：23PS/7000rpm
・最大トルク：2.4kgf・m/5500rpm
・燃料タンク容量：13L
・変速機：Vベルト式無段/オートマチック
・ブレーキ：F＝ディスク、R＝ディスク
・タイヤ：F＝120/70-15、R＝140/70-14
・価格：71万5000円

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