
BMWが5月11日に新型R 12 nineTとR 18 Roctaneを発表した。従来のR nineTに「R 12」を加えるとともに大幅にモデルチェンジ。ロードスターとクルーザーに増えたBMWヘリテイジシリーズを「R12」と「R18」を区分けする狙いがありそうだ。
90周年のR nineTから10年、ヘリテイジシリーズを進化
BMWは、1923年のベルリンモーターショーでR32を公開するとともに、バイクの生産を開始した。R32には、494ccの水平対向2気筒エンジンが搭載されており、このエンジン型式は100年後の現在でもBMWボクサーツインに受け継がれている特徴となる。
そして、90周年の2013年には、空油冷ボクサーツインを搭載したコンセプトナインティ(Concept Ninety)を公開し、このイメージを受け継いだR nineTを製品化。R nineTは人気モデルとして定着し、スクランブラーやアーバンGSなどモデル数を拡大させている。
100周年の2023年は、車名に「R12」を冠してR 12 nineTとして再出発。初代R nineTから10年を迎えた節目に、新しいフレームやタンク&シートなどを採用した新型にモデルチェンジした。エンジンは空油冷ボクサーを継承しつつクラシカルなヘッドカバーとしている。
今回は写真や映像で新しいスタイルを公開したのみで、より詳細な情報は2023年後半に発表されることがアナウンスされた。秋のモーターショーで公開され、2024年モデルとしてラインナップされるだろう。続報に注目!

R 12 nineT [BMW] 世界初公開された新型。ぱっと見の印象は変わらないが、スタイルやシャーシ、エンジンなど全面的に刷新されている。車名のR12はエンジンの排気量を表している。

R nineT(2013年) [BMW] 日本では2014年に発売された初代R nineT。タンクやフレームのデザインが大幅に異なる。エンジンは空油冷水平対向DOHC1169ccで現行型は109PSを発揮する。

R12 nineTは1970~1980年代に活躍したR90やR100シリーズのタンク形状をオマージュしている。タンクからシートにつながる一直線のラインも当時を受け継いだものだ。

R12 nineTのエンジンはユーロ5準拠の空油冷ボクサーツインを受け継いでいるが、ヘッドカバーはよりクラシカルなデザインに変更。細部の改良などの情報は未発表となる。

従来のリアフェンダー後端からシングルシートカバー後端にテールランプは移設された。タンデムステップがないので1名乗車なのか、2人乗り装備が別途用意されるのは不明。

マフラーは左2本出しを継続しつつサイレンサー形状を新しくしている。従来同様テーパーの丸筒形状だが、サイレンサーエンドを絞り込んでいる。

スポークホイールはチューブレスに変更されており、スタイルを損なわずにパンク時の対応を軽減している。R1250GSが採用するクロススポークとは異なる設計だ。

ヘッドライトはLEDの丸目1灯。上下段の境目にDRLを置いている。R nineTシリーズは2019年型からLEDヘッドライトを採用しており、これを継続していると思われる。

メーターは2017年型から独立2眼タイプに変更されており、R12もそのデザインを受けついているが、文字盤や液晶画面は新しくなっているので新作と思われる。
2013年に製作されたコンセプトナインティは今見てもカッコいい
BMWは、バイク事業の90周年にあたる2013年5月にコンセプトナインティ(Concept Ninety)を公開した。 モチーフにしたのは当時40周年を迎えたR90Sで、カウルやタンク、シートのデザインやカラーリングを現代風に再現しつつ、90周年とからめて車名も受け継いでいた。
コンセプトナインティを伏線に10月にR nineTを正式発表したことで90周年を盛り上げつつ、BMWはヘリテイジシリーズのラインナップ拡充に成功したのだ。今回のR12 nineT発表はこの延長線上にあり、BMWはR12とR18シリーズをより強化していくだろう。

Concept Ninety(2013年) [BMW] アメリカのローランドサンズデザインのパーツをふんだんに盛り込むことで、懐古調の中にも力強いパフォーマンスを感じさせる印象としている。

R90S(1973年) [BMW] コンセプトナインティのモチーフは、BMWのスポーツイメージを高めたRシリーズの伝説的な1台。R12 nineTのタンクやシートもこれに近い印象だ。
R18に5番目の新シリーズ、バガースタイルのR 18 Roctaneを追加
新型R 18 Roctane は、R18シリーズの 5番目のモデルとして、R18、R18クラシック、R 18B、R 18トランスコンチネンタルに続いてリリースされる。カスタムバガースタイルでファッショナブルに街を駆け抜け、ツーリングまで楽しめるコンセプトだ。

R 18 Roctane [BMW] 1802ccの空油冷ビッグボクサー搭載のR18シリーズにBMWらしからぬ"不良系"モデル。バガースタイルにエイプハンガーのポジションでかなりイカついイメージだ。
ギャラリーページへ
この記事にいいねする