1999年にデビューしたW650は、カワサキがゼファーシリーズの次に手がけた懐古モデル。1996年の免許制度改正で大型免許が普及し、大人のライダーに向けてWブランドを復活させたのだ。このエンジンは今見ても美しい!

日本最古のバイクメーカー、メグロの血統を受け継ぐ

2022年に251cc以上でベストセラーに輝いたホンダのGB350は、空冷バーチカルシングルエンジンを特徴としたニューモデル。今では前傾レイアウトが当たり前だが、昔のバイクは空冷バーチカルが主流だったので、GB350はそれを意識してエンジンを直立させているのだ。

W650も同様に、メグロの大型モデルから連なるバーチカルツインエンジンを採用している。1964年に東京オリンピックの先導車に使用されたスタミナK1は、日本最古のバイクメーカーであるメグロの旗艦であり、後のカワサキ650-W1の基礎になったモデルだ。

ただし、1990年代に開発されたW650は1960年代のW1と異なり現代の技術で開発されており、バルブの駆動方式はW1のOHVからOHCに変更されメカノイズの抑制やメンテナンス性の向上が図られている。それでも空冷バーチカルツインならではの美しさに変わりはない。

シリンダーが垂直にそそり立ったエンジンはバイクの主役となる存在。また、高性能なDOHCヘッドを見送ったことで実現したコンパクトなシリンダーやヘッドがフレームとの隙間を広げており、これがエンジンの存在感をより際立たせているのだ。

W650(1999年) [KAWASAKI] 650-W1系の最終型であるW3から26年後に復活したカワサキバーチカルツインの第二世代。エンジンはOHVからOHC675ccに変化したがその佇まいは変わらない。

スタミナK1(1960年) [MEGURO] 白バイに採用され、東京オリンピック用先導車として全世界にその雄姿を披露したK1。新開発のバーチカルツインエンジンは496ccで33PSを発揮した。

カワサキメグロK2(1965年) [KAWASAKI] 1964年にカワサキが目黒製作所を吸収合併し、メグロ系技術者とカワサキのエンジニアが共同でK1を改良。同年のモーターショーで発表された。

650-W1(1966年) [KAWASAKI] エンジンはK2の496ccから624ccに拡大し45PSにパワーアップ。メグロから受け継いだOHV並列2気筒は、1973年の650RS(W3)まで継承された。

W650の魅力はやはりエンジンにあり

1999年にデビューして以来、現在のW800まで実に四半世紀に渡るロングセラーの起点となったW650の魅力は、メグロ以来のバーチカルツインの伝統を継承したことだろう。しかし、それだけではなくこのOHC675ccエンジンならではの魅力も持ち合わせている。

W1のOHVとW650のOHCは、シリンダーヘッドの上にV=バルブがあるか、C=カムシャフト(とバルブ)があるかの違いになる。OHVはクランクケースにカムシャフトがあり、プッシュロッドを介してヘッドのバルブを駆動させるメカニズムとなる。

OHVは、高回転時にバルブ駆動が不安定になるため、カムシャフトをヘッド上に設置したOHCに進化した。一方、OHVのクランクケースとシリンダーヘッドをつなげるプッシュロッドカバーはエンジン外観のワンポイントとしてクラシックバイクで愛好されているのだ。

W650は、OHCとしながらプッシュロッドカバーにも見えるベベルギア駆動の独特なメカニズムを採用。実はW1はOHVでもプッシュロッドカバーが存在していないので、エンジン外観で言えば、ベベルギアタワーのあるW650の特徴が際立っていると言えそうだ。

W650のエンジンはシリンダーがバーチカルツインなだけでなく、ベベルギアタワーもシリンダーと並んで垂直に配置されることで、W1に負けない個性を発揮している。

650-W1のエンジンはY字のケースカバーが特徴。72×83mmのW650よりもショートストロークとなる74×72.6mmで45PS/4500rpmを発揮。W650は50PS/7500rpmと高回転型なのはOHCの恩恵だろう。

W650のシリンダーは前後が超スリム。DOHCを採用しなかったのはヘッドが大きくなるだけでなく真横から見た際にカムチェーントンネルがシリンダー部分の面積を拡大させてしまうためだ。

ベベルギア駆動にすることでカムチェーンが不要になったため、カムチェーンが配置されることが多いシリンダー間に隙間があるのも魅力。ちなみにW1のエンジンにはこの隙間はない。

W650のエンジンイラスト。OHCながらプラグをセンターに配置しエンジン外観を損なわないようにしている。クランクシャフトはW1ともに昔ながらの360度集合、等間隔爆発だ。

カワサキ初のバイク用エンジンのKE-1は4ストロークOHV148ccで1953年に発売された。W650のベベルギアタワーはKE-1のプッシュロッドカバーに似ておりオマージュしたかのようだ。

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コメント一覧
  1. トグサ より:

    これのエンジンの1気筒分を使って単気筒の400ccのバイク作ったら売れると思うけどなぁ。

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