
パシフィコ横浜で開催された「横浜ホットロッドカスタムショー2022」は、国内外のカスタムビルダーやメーカーが集う日本最大級のカスタムカー&バイクイベントだ。今回初出展したロイヤルエンフィールドは、クラシックスポーツ「コンチネンタルGT650」をベースとした3台のスペシャルカスタムマシンを展示。今回はそのうちの1台、台湾発のラフクラフト(Rough Crafts)作「ミダス・ロイヤル」を紹介しよう。
ストリートに似合うカーボンカウルで武装した新コンセプト
「ミダス・ロイヤル」を作成したのは、台湾発のカスタムメーカー「ラフクラフト」。ビルダーの葉韋廷(Winston Yeh)氏が2010年に立ち上げたこのブランドは、主にヨーロッパを舞台としてハーレーやドゥカティのカスタムモデルを制作。重厚な金属パーツが目立つハーレーを、斬新なカーボンカウルやビレットパーツでビルドアップするスタイルで注目を集める。もちろんそのカスタム対象は国内メーカーも例外ではなく、欧州ヤマハが主導するカスタムプロジェクト「ヤードビルド(海外サイト)」にも参加し、戦闘的なストリートファイタースタイルのXSR900を発表したこともある。
「ミダス・ロイヤル」もその世界観の通りカーボンのモダンでスポーティなカウルを装備している、耐久レーサーをイメージして制作されたストリートファイターだ。しかしカウル以上に、跳ね上げられたシートカウルやモノショック、片方にまとめられたサイレンサーといったシルエットが、原型のクラシカルで落ち着いたイメージを一変させている。

初出展となるロイヤルエンフィールドは、同社のクラシックスポーツ「コンチネンタルGT650」をベースとした3台のスペシャルモデルを展示。「ミダス・ロイヤル(Midas Royal)」はそのうちの1台だ。

前回紹介した「KAMALA」はクラシックを回顧したボードトラックレーサーをコンセプトとしていたが、ミダス・ロイヤルはモダンなストリートファイター。カーボンカウルをまとい、戦闘的な前傾姿勢を見せるそのシルエットは過去の「ラフクラフト」製カスタムマシンをつらぬく、未来的なアーバンレーサーのフィロソフィを感じさせる。

まず目に入るのは美しい綾織カーボンのフロントカウル。これにゴールドのピンストライプが塗装されることで、スポーティながらクラシックなベース車両の雰囲気を残す。タンクにはロイヤルエンフィールドとラフクラフトのスペシャルエンブレムを装備。
メカニズム面での大きなカスタムはサスペンションだ。ベース車両では正立フォーク&ツインショックのオーソドックスな組み合わせのところを、フロントフォークはオーリンズ製の倒立サスペンションに変更。リアショックもオーリンズ製のモノショックとなった。このためノーマルのスイングアームは使用できず新造。合わせてシートレールもシングルタイプに加工し、この強い前傾姿勢が実現した。エンジンはノーマルだが、エキゾーストシステムはSCプロジェクト製の片側2本出しに変更されている。
ロイヤルエンフィールドが公開するムービーでは、このスペシャルマシンが台湾の市中を疾駆する様子を見ることができる。シルエットだけ見れば先端マシンをベースとしたストリートファイターであるのに、空冷ツイン特有の歯切れのいいサウンドを響かせながら自由自在に走る世界観は、コンチネンタルGT650ならではのクラシックとモダンの融合というべきだろう。そしてこのマシンを手掛けたラフクラフトは、カスタムパーツを個別で製造&販売も行っている。残念ながらこのミダス・ロイヤルのパーツは販売されていないが、ラフクラフトが得意とするハーレー用のカスタムパーツはWebikeでも取り扱い中だ。そのフィロソフィに魅力を感じたら、自分のマシンにフィードバックしてみてもよいだろう。

走りのポテンシャルを高めるために、エンジンはノーマルだが足回りは大きく変更されている。リアまわりの印象を決定づけるシングルショックはオーリンズ製で、取付のためにスイングアームは新造、フレームも大きな加工を必要とした。

フロントフォークも倒立式に変更されている。フロントマスクは往年の耐久レーサーを思わせる、アシンメトリーの小型ライトを採用。猫目風のデザインとピンストライプがワンポイントだ。

ホットロッドショー2022の会場には、ラフクラフトの創立者でありカスタムビルダーの葉韋廷(Winston Yeh)氏が、実際にミダス・ロイヤルに乗ってエントリー。会場に空冷ツインの快音を響かせた。[fontsize size="1"]※写真:Royal Enfild[/fontsize]

今回が初出展となるロイヤルエンフィールドは、3台のカスタムモデルを展示。クラシックスポーツであるコンチネンタルGT650が時代を超えたカスタムベースとなる未来を見据えている。シンプルだが印象的なエンジン造形には、そのポテンシャルを強く感じた。[fontsize size="1"]※写真:Royal Enfild[/fontsize]
「横浜ホットロッドカスタムショー2022」で注目を集めたロイヤルエンフィールドの3台のスペシャルマシンは、開催後も東京都杉並区の「ロイヤルエンフィールド東京ショールーム」にて限定展示が行われる。期間は2022年12月6日(火)〜23日(金)の間で、土日祝は休館。実物を見たい人は公式サイトをチェックしてほしい。
参考:コンチネンタルGT650主要諸元
・全長×全幅×全高:2119×745×1067mm
・シート高:820mm
・車重:212kg
・エンジン:空冷4ストローク並列2気筒SOHC4バルブ 648cc
・最高出力:34.9kW(47.5PS)/7,150rpm
・最大トルク:52.3Nm/5,150rpm
・燃料タンク容量:12.5L
・変速機:6速マニュアル
・ブレーキ:Front=φ320mmディスク/ABS Rear=φ240mmディスク/ABS
・タイヤ:Front=100/90-18 Rear=130/70-18
情報提供元 [ Royal Enfield ]
この記事にいいねする
-
Rough Craftsについて書かれた記事
- 記事がありません。