スズキがVストロームミーティング2022で新型のVストロームSXを初公開し、鈴木俊宏社長が国内での発売をアナウンスした。現地で展示された車両をチェックするとともに開発者インタビューもお届けしたい。
コンセプトはクロスオーバー、未舗装路での走破性も徹底テスト
新開発の油冷単気筒エンジンを搭載したジクサー250をベースにしたVストロームSXは、2022年4月にインドで発表されたモデル。日本での発売が期待されていたが、11月のVストロームミーティングで2023年後半に発売予定になることが明らかになった。
ベースとなるジクサー250は2020年に国内で発売されたが、令和2年排出ガス規制に対応するモデルチェンジが控えている。これを経て、同じエンジンとシャーシを使用した新型VストロームSXが日本で発売される予定だ。そのため、発売時期は2023年7月以降と予想される。
VストロームSXのコンセプトは「スポーツクロスオーバー」。S:Sports/X:Cross Overの略字でSXがオフロードとは一線を画していることが表れている。クロスオーバーはオンとオフの中間的な位置づけで、オフ走行は林道程度の未舗装路での走行を想定している。
基本はネイキッドのジクサー250を使用しつつ前後ホイールを新作し、17→19インチに大径化したフロントホイールで乗り越え性と安定性が向上。また、スイングアームも延長して直進安定性とサスストロークを確保している。エンジンセッティングはジクサーと共通だ。
足着き性はセロー250よりもかかとが浮く感じ
VストロームSXのインド仕様は、シート高は835mmと公表されている。セロー250との差はわずかプラス5mmとなるが、跨ってみると結構かかとが浮くという印象。また、シート高830mmのCRF250Lと写真で見比べてみても足着き性には差があった。
最低地上高はインド仕様で205mmになっており、ジクサー250より40mmも拡大。一方、シート高は35mmアップに留めているので足着き性も配慮されているはず。ちなみにセローの最低地上高は285mm、CRFが245mmなので本格オフロードモデルに比べると低めだ。
また、車重は167kgあり、セロー250の133kg、CRF250Lの140kgよりも装備が盛り込まれている分ヘビーとなる。このあたりからもクロスオーバースポーツコンセプトなのが分かるが、本格オフロード車よりも快適にツーリングが楽しめるはずだ。
それでも並列2気筒のVストローム250よりも20kg以上軽量で、試乗したライダーによると「軽量さと相まってバランスも良く、不整地でもかなり積極的に振り回して楽しめるので、安定志向の高いパラツインのVストローム250と違う楽しさがあった」という。
【開発者インタビュー】林道走行では納得していただけると思います!
「2020年にジクサー250を日本で発売して好評をいただきました。また、今のVストローム250も独特な乗り味などをご好評いただいています。これを両方合体させたのがVストロームSXというのが分かりやすい表現になります。
Vストローム250はかなりオンロードに寄ったコンセプトで、エントリーユーザーの方にも乗っていただいています。そして、エントリーモデルとして好評なジクサー250のエンジンを使ってもう一台Vストロームを作りたいなと思ったのが、一番最初の狙いです。
VストロームSXはオフロード車ではなく、未舗装路に対応したモデルです。フロントホイールを19インチにしたのは、Vストローム250と差別化して新しい選択肢を増やしたいという狙いからです。ジクサー250が出た時に、あのエンジンでDRを出して欲しいという声もありましたが、エントリーモデルとして考えているので、19インチで用意しました。
VストロームSXは未舗装路対応車ですので、オフロードに対応した作り込みは決して多い訳ではないです。ですが、開発を進めるにあたってテストライダーの方も色々な所でテストしてくれて節々は作り込まれていますので、林道走行では納得していただけると思います」(談)
VストロームSXインド仕様主要諸元
・全長×全幅×全高:2180×880×1355mm
・ホイールベース:1440mm
・シート高:835mm
・車重:167kg
・エンジン:油冷4ストローク単気筒SOHC4バルブ 249cc
・最高出力:26.5PS/9300rpm
・最大トルク:2.26㎏-m/7300rpm
・燃料タンク容量:12L
・変速機:6段リターン
・ブレーキ:F=ディスク、R=ディスク
・タイヤ:F=100/90-19、R=140/70-17
・価格: 21万1600ルピー(約36万5000円)
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