●写真/文:ケニー佐川

MotoGPテクノロジーを投入し全面刷新

KTMの新型RC390はMotoGPマシン「RC16」にインスパイアされたストリートスーパースポーツである。レーステクノロジーを盛り込んだ新しいデザインとシャーシを採用し、電子制御もアップグレードするなどフルチェンジと言ってもいい内容だ。

スタイルはGPマシンを意識したデザインとなり、高速域における空力特性を向上させるとともにウィンドプロテクションも最適化。エルゴノミクスも改良されライダーの動きにフィットするヒザまわりのスリムな形状とホールドしやすい面積を確保。 燃料タンクの大型化(9L→13.7L)により日常的なライディングでの使い勝手や航続距離も向上している。外装もボルト数を減らすなどマウントシステムの設計を見直すことで脱着も簡単になり、レース用カウルへの交換も容易になっている。

 

KTM_RC390_全体画像03

 

KTM_RC390_全体画像02

最高出力44psを発揮する水冷4スト単気筒DOHC4 バルブ373ccエンジンは従来モデルを踏襲するが、新設計の大型エアボックス、エンジンマップの最適化などによりトルクを向上。また、新型では軽量化に重点が置かれている。新設計ホイールや新型BYBRE 製ブレーキシステムにより従来比でバネ下重量を3.4kg 削減。フレームも1.5kg 減など大幅に軽量化が図られるとともに、前後サスペンションも最新のWP製APEXに刷新。電子制御も大幅に進化した。切り替え式のスーパーモトモードに加えリーンアングルセンサー付きコーナリングABS&MTCを標準装備し、ディスプレイも新型TFTタイプに。アップ&ダウン可能なクイックシフタープラスもオプション設定されるなど最新化されている。


パワーバンドキープの走りが楽しい

見た目は大柄になった。以前は鼻先がシュッと尖ったスリムさが印象的だったが、新型ではボリューム感を増したフロントカウルを含め、外装も最近流行りのパネルを立体的に組み合わせた構造になりグレード感が増している。


 

ktm_rc390_パネル


ライポジも比較的大柄で大人が乗ってもサマになる感じ。ハンドル位置も極端に低くなくステップも位置も高すぎず、ほど良くスポーティなライポジが自然にキマる。スクリーンと一体式のカウルが透明なので伏せていても視界も良い。これはありそうでなかった新しい発想だ。


 

ktm_rc390_ハンドル部分
ktm_rc390_タンク

 

ktm_rc390_車体後部



エンジンはスムーズで低中速トルクがあって扱いやすい。単気筒らしい鼓動感、というよりも高回転での滑らかが際立っていて、その気になれば10000rpm超まで一気に吹け切る。ついつい回しすぎてしまうのだが、やはりそこは単気筒。サーキットで気持ち良く走るためには最大トルクを発生する7000rpmからピーク9000rpmの間を使ってきっちりシフトアップしていく必要がある。そういうピーキーさもまたレーシングマシン的な面白さだろう。

ktm_rc390_サスペンション02

 

ktm_rc390_サスペンション01



サスペンションはストローク感があって、意識して荷重をかけなくても適度に沈み込んでくれるので馴染みやすい。乗り慣れてくるとソフトタッチにすら思えてくるので、サーキットで走るときはダンパーを少し効かせると安定感が増すかもしれない。
その点、上級グレードのリプレイスサス(WP APEX PRO)装着車も試してみたが、旋回中の車体の安定感やタイヤの接地感までも鮮明になっていて驚いた。乗り心地も滑らかで上質に。ノーマルだとヘアピン入口のアスファルトが荒れていて倒し込みに躊躇する場面でも、不思議とあまり気にせずにアプローチできたのも大きな違いだった。やはり良いものは良い、ということだろう。




より軽快でしなやかに曲げやすくなった

ハンドリングもしっとりとしなやかな感じになった。従来モデルはカチッとしていたがエンジンより車体の剛性感が勝っている感じで初期旋回を出しにくかったが、新型ではその辺りの固さがとれて、倒し込みでフロントから曲がる感覚が増した。切り返しでも右から左へとスパっと軽快に倒し込める。これは足まわりの軽量化が明らかに効いていると思う。

スリムな車体と改良されたタンク&シートまわりでピタっと外ヒザで車体をホールドできるのでコーナリング中のマシンとの一体感が濃厚になり安心感も増している。結果として上体の力を抜いてリラックスしてコーナリングを楽しめるのだ。BYBRE製ブレーキも車格とパワーに見合って扱いやすいし、初採用のコーナリングABS&トラコンも積極的に試さないまでも、特に逆バンクなどでは付いているだけで保険的な安心感がある。

KTMらしさ満点のレーシーなデザインとカラーは素直にカッコよく、サーキットで映えるし街でも目を惹くだろう。きつすぎないライポジと400ccクラスのゆとりを生かしたツーリングも楽しめるはず。オプションパーツで走りのポテンシャルを見に見えて高められるのもKTMならではの魅力だろう。


主要諸元

車名 RC390
最低地上高 (mm) 158
シート高 (mm) 824
車両重量 (kg) 155
乗車定員 (人) 2
エンジン型式・種類 水冷4サイクルDOHC単気筒
総排気量 (cm3) 373.2
内径×行程 (mm) 89×60
最高出力 (kW[PS]) 32[44]
EMS Bosch製 EMS ライドバイワイヤー
潤滑方式 ウェットサンプ
燃料タンク容量 (L) 13.7
クラッチ形式 PASC™ アンチホッピングクラッチ、機械操作式
ブレーキ形式 油圧式ディスク
油圧式ディスク
懸架方式 テレスコピック式(倒立サス)
スイングアーム式



ケニー佐川のインプレッション

情報提供元[ KTM ]

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