【ケニー佐川:Webikeニュース編集長】
新型PCXシリーズのメディア向け試乗会に参加してきたので早速レポートしたい。
PCXは世界中で高い人気を誇る125ccスクーターのベストセラーモデルである。日本では2010年にデビューとともに爆発的ヒットとなり、その後も環境性能に優れるeSPエンジンやフルLEDを採用するなど年々アップグレード。その後も150ccモデルやハイブリッド、EVなどへと派生しつつ進化を続けてきた。
特に2018年にはフレーム形状を従来のアンダーボーンからダブルクレードルへと変更することで走りの質も大きく向上させた。
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4バルブ&高圧縮の完全新設計エンジン
そして今回、PCX始まって以来の大フルチェンジによって生まれたのが新型PCXシリーズだ。ラインナップとしてはPCXとPCX160、ハイブリッド版のPCX e:HEVの3種。
まずスタイリングだが、水上を疾走するパワークルーザーをイメージしたという水平基調の優雅でダイナミックなデザインが特徴で、ヘッドライトまわりやリヤビューもより高級感漂うスタイルに変更。メーターやエンジンカバー、マフラー配置も含めシャープで一体感のあるデザインへと刷新された。
エンジンも完全新設計eSP+となり、4バルブ化に加えショートストローク化と高圧縮化により、出力とトルクを向上。クランク剛性強化とともに、なんとCRF450R由来のピストンオイルジェットによる冷却システムを採用。吸排気系や駆動系などすべてに改良が施されている。
フレームと足まわりも進化し使い勝手も向上
車体面ではフレームも完全新設計となり軽量化と剛性バランスを最適化。よりシンプルでモーターサイクルに近い構造になった。これに合わせて足まわりもリヤサスのストローク量を10mmアップするとともにレシオを最適化。
ブレーキも前後ディスクタイプにフロントのみ作動の1チャンネルABSを装備(従来はリヤがドラムのCBSだった)し、新たにセレクタブル トルク コントロールを搭載するなど制動力と安全性を強化。
タイヤもフロント100/80-14、リア120/70-14から110/70-14、130/70-13にワイド化するなど、外形寸法を変えずにエアボリュームを増すことでハンドリングと乗り心地をさらに向上させている。
また、フットスペースを広げてゆったりとしたライポジを実現。シート下ラゲッジスペース容量を28Lから30Lと拡大しフルフェイス1個+アルファの収納力を確保しつつ、グローブボックス内にもUSB充電ポートを装備するとなど使い勝手のさらなる向上が図られている。
なお、PCX160はPCX(125cc)と共通の車体に排気量がさらに拡大されたエンジンを搭載したパワフルな走りが魅力。ハイブリッド版のPCX e:HEVは新設計eSP+エンジンに高出力型リチウムイオンバッテリーによるモーターアシストを組み合わせることで、機敏なレスポンスと高い動力性能、静粛性を実現している。
走りの次元の高さはモーターサイクル並み
まず排気量が拡大されたPCX160に乗ってみたが、とにかくパワフルで走りがいい。アクセルを開けた瞬間からモリモリとトルクが出てきて、高回転まで加速が伸びていく。スロットル開けしなのレスポンスの良さと加速力は明らかに従来モデルを上回っていることは乗り比べなくても分かるほどだ。
高速道路にも乗ってみたが、100kmまではあっという間に到達。4バルブ化された高圧縮のショートストロークエンジンが唸りを上げて加速する様には鳥肌が立った。「エンジンのホンダ」らしい緻密でパワフルな走りが印象的だ。
ハンドリングも軽快かつ上質感があってスポーティ。車体はカチッとした剛性感があるのにサスペンションのストロークを感じる乗り心地の良さも併せ持っている。タイヤがワイド化されてエアボリュームが増えたことも奏功しているようで、高速コーナーでもしっかりと路面をとらえるグリップ感。
ギャップ通過時の収束も早く、スクーターにありがちな剛性不足からくる揺り戻しの不安がない。まさにモーターサイクルのような走りのクオリティ。「どこまで行っちゃうの!?」と自分で突っ込みを入れたくなる、それほどまでに次元の高い走りを見せつけてくれた。
160と遜色ない走りのPCX
続いてPCXにも試乗した。最初にPCX160に乗ってしまったので、どう感じるかちょっと心配だったが意外や意外。一般道では160と遜色ない走りを楽しめた。低速トルクの向上と駆動系の改良によるところが大きいと思うが、出足がいいのだ。ショートストローク&4バルブならではの加速のノリとピークのひと伸びがある。
そして、アップグレードされたフレームと前後サス、タイヤの相乗効果による上質感のある走りは160同様。ブレーキも前後ディスクにABSが付いて、より確実なタッチと安心できる制動力が感じられた。それもそのはず、160と違うのはエンジンだけなのだ。
デザインもよりスタイリッシュに洗練され、ヘルメットも余裕で収納できるように。USB電源やフューエルキャップ置き場を設けるなど、痒いところに手が届くユーザーへの心配りも感じられた。まさに全方位的に進化した新型PCXである。
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