しばらく交換していなかったから交換する、のではなく、定期的に交換実践しておきたいのが水冷エンジンの冷却水=LLC(ロングライフクーラント)である。冷却水の交換時には、冷却系ホースやラジエターホースにダメージが発生していないか確認することも重要な点検作業だ。ここではラジエターホースとラジエター本体に注目してみよう。

冷却水の抜き取り手順

冷却水を抜き取る際には、排水受けの容器を冷却水ドレンボルトの下へ置き、ボルトを緩めて排水開始。容器にしっかり流れていることを確認しながら、ラジエターキャップを緩めて排水の勢いを高めよう。LLCが出きったら、水道ホースをラジエターキャップから差し込み、水道水を流しいれて冷却水通路内部をしっかり洗浄しよう。

車体部品との干渉はNG

ラジエターロアホースがフレームのエンジンマウント部分と干渉していた。本来ならラジエターホースがフレームと直接触れないように筒状カバーがセットされているが、カバーがズレ、下部前方へ落ちてしまっていた。ホースが車体と直接干渉してしまうと、振動によってホースがダメージを受けてしまい、最悪で穴あきが発生してしまうこともある。冷却水ホース取り回しには要注意だ。

ズレていた保護カバーを固定し直し



ズレていた保護カバーもラジエターホースもゴム製品なので、瞬間接着剤を利用してゴム部品を接着固定し直した。今回はラジエターホースやOリング類をすべて新品部品へ交換したが、取り外したホースを復元するときには、バンドの締め付け痕に合わせて、同じように同じ位置でバンドは締め付けよう。位置がズレてしまうと冷却水漏れの原因になってしまう。また、再利用復元時には、差し込み部分のホース内側へシリコン系液状ガスケットを極薄く塗布し、スムーズに差し込めるように段取りしよう。また、差し込みノズル側に腐食がある場合は、ワイヤーブラシや不織布シートで不純物を完全除去してからホースを復元しよう。

スペアパーツは確保しておこう

水冷モデルを長年乗り続けたい、末永く乗り続けたいと考えたなら、冷却系の各ホースやガスケット類はスペアパーツを早めに確保しておこう。販売中止扱い=ゴソウダンパーツになってからでは、入手困難になってしまうからだ。

ラジエター本体も分解洗浄



冷却水交換する際にラジアターのコア冷却フィンがつぶれていたり倒れているときには、ピンセットなどでフィンコンディションを整列し直そう。ドロなどで汚れたままでは冷却性能が低下してしまうので、時にはラジエターを取り外し、汚れをしっかり洗浄除去しよう。汚れやハネ石などからラジエターを守るカバーの取り付けも有効だ。

汎用カバーを取り付けてみた





市販の汎用ラジエターカバーをラジエターサイズに合わせてカット。金網をカットする際には、マジックペンなどでマーキングするのではなく、マスキングテープを添付してガイドにするのが良い。専用部品の中には折り曲げて固定カシメするものもあるが、汎用品なのでタイラップでラジエターへ固定した。

POINT

  • ポイント1・車検付き自動二輪車は最低でも車検毎に冷却水交換しよう
  • ポイント2・ラジエターホースやリザーブタンクホースの取り回しには要注意。他の部品との緩衝には特に要注意だ
  • ポイント3・ ロングツーリングユーザーにも有効なのがラジエタープロテクターだ。機種用が無いときには汎用品で対応しよう

80年代から90年代に登場したモデルを快調に走らせるためには、様々なメンテナンスが必要不可欠になるが、水冷エンジンの場合は、冷却系統を構成する各種パーツのコンディションをしっかり点検し、不安に思った部品は迷わず新品に交換したり、スペアパーツをイザという日のために所有しておくことだろう。特に気を配りたいのが冷却系の各種ホース=ラジエターホースなどである。バイクのデザインや取り回しに合わせて専用設計された部品が多く、単純な汎用ホースを接続するだけでは周辺部品と干渉してしまうケースもあるのだ。ゴムホースだから弾力性があり、周辺部品と干渉しても大きな問題にはならないはず!?なんて思われがちだが、ゴム部品とは言え振動やねじれには弱いので、周辺部品との干渉を見つけた時には、取り回しを再検討したり、どうしても干渉を防げないときには、カバーを巻いて冷却ホースを保護するように努めよう。

ここでメンテナンスしているホンダRVF400Rは、ラジエターのロアホースとフレームが干渉していた。そこで、ホースの取り付け状況を確認してみると、本来ならフレームと当たる部分に保護カバーがレイアウトされていたはずだが、振動によってズレてしまいカバーが下側へズレ落ちてしまっていた。ここでは、ホースを取り外してカバーを抜いて洗浄し、乾燥後に瞬間接着剤でしつかり固定して再度組み立て復元したが、似たようなケースで保護カバーが無い場合は、ワンサイズ太いゴムホースをカットしてカバーにするのが良いだろう。

ホースを復元再利用する際には、口金部分をクリーニングしてからシリコン系液状ガスケットを併用。ホースの内側の端末に極少量で良いので塗るのが良い。また、ホースバンドの固定時には、ホースに残る跡形と同じように締め付けるのがコツで、新たな場所で締め付けるとホースが変形して冷却水漏れしやすいので注意しよう。

旧車ブームで70~80年代に活躍したモデルが注目され、大人気の昨今だが、バイクメーカーからすれば90年代はもちろん、2000年代でもすでに旧車なので、販売中止のい絶版扱いになってしまう前に、くれぐれもスペアパーツを確保しておこう。

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