プラスチック樹脂の車体パーツが想像以上に(異様に)多いのが、この年代のBMW。縦型エンジン搭載の Kシリーズの特徴と言えるだろう。手入れ不足で色抜けしてしまったような樹脂部品や黒樹脂部品を、どのように方法で美しく仕上げるのかが悩みどころだったが……

前回

カラフルなスイッチ周りもケミカル磨きで復活!!

樹脂部品かつペイントで仕上げられているのではなく、樹脂の素材色を採用した部品の場合は、色塗り仕上げの前に「樹脂光沢復活剤」を塗布してみよう。ただ、部品がオイルやガソリンやドロで汚れていると、復活剤で処理してもその効果が表れにくいので、汚れが気になるときには、食器洗いスポンジを濡らしてから中性洗剤を塗布し、ウエスなどで周辺を養生してからゴシゴシ泡立てながら洗浄しておこう。その後、部品が乾いたら、樹脂光沢復活剤で施工処理するのが良い。驚きの美しさに復活するのだ。デイトナから発売されている「樹脂光沢復活剤」は、経年劣化で白化したような樹脂部品を、美しく蘇らせるための商品。劣化が進んだ樹脂部品の場合は、1セット3回塗りを数回繰り返すことで、驚きのツヤと輝きで、樹脂素材本来の美しさに蘇る。

まずは汚れを落としてから下地作りをスタート

バケツに水道水を入れ、湿らせたスポンジにママレモンを含ませて泡泡洗浄を実践した。かなり良い感じに汚れが落ちた印象だったので、すべての黒樹脂部品を樹脂光沢復活剤で処理してみた。施工後、しばらく待っても表面がヌットリしているときには、柔らかく乾いたウエスで乾拭きして、再度、ケミカル処理するのが良い。繰り返しの作業によつて、輝きの持続を期待できる。エアーインテイクボックスは車体から外さず、スポンジ+中性洗剤で泡泡洗浄した。水を掛けたくない箇所は、ウエスで養生すれば良いだろう。

裸車体だからこそ思い切り作業ができる!!

当初はガソリンや油汚れの上にホコリやドロが堆積していて、ツヤがほぼ無かったエアーインテイクボックスだったが、中性洗剤による汚れ落としと樹脂光沢復活剤の施工によって、驚くほどのツヤに蘇った。ケミカル処理は3度繰り返したが、数週間後に再度行ったことで、汚れが付着しづらく、ウエスで軽く撫でるだけで美しさが復活した。

反った樹脂部品は熱で曲げ戻して復元修理

ダブルシートの下には小物入れがあるKシリーズ。小物入れのフタが湾曲するように歪んでいたので、万力に挟んで割らないように形状復元してみた。それでも元通りに直らなかったので、ヒーター温度を50度に設定して、ウエイト(大型ソケット)を載せて、温めながらさらに変形させつつ形状再生してみた。こんな荒療治ながら、フタはフラットに形状復元することができた。

黒々と輝く樹脂部品が美しい!!

黒色樹脂素材の部品だけでも相当数だ。当初は、中性洗剤+水道水で泡泡洗浄してから乾燥させ、その後に一歩踏み込んだ仕上げを行う予定でいた。デイトナ製「樹脂ブラック」ペイントを利用して、仕上げようかと思っていたのだ。ところが、想像以上に樹脂光沢復活剤の仕上がりが良かったので、ペイントせずに完成させることにした。トリプルディスクのブレーキキャリパーには、パッドピンの抜け防止用樹脂カバーが付くが、そのカバーも樹脂光沢復活剤でピカピカに仕上がった。汚れも付きにくくなったようだ。

POINT

  • バイクを美しく仕上げるポイント・色部品というと各種カウリングやガソリンタンクなどを思い浮かべるが、そんな外装部品の陰で見え隠れするかのように取り付けられているのが、黒樹脂部品。特に80年代後半のBMWには、黒樹脂部品が多用されているので、ひとつひとつを磨いてツヤ出しすることで、バイクの仕上がりが想像以上に美しくなることに気が付いた。とにかくその部品点数が驚きだった。

正直申して、これほどまでに樹脂部品が数多く使われているとは、思いも寄らなかった。恐るべきKナナゴーである。過去にはR100RSの分解やR80のメンテナンスをサポートした経験があるが、これほど数多くの黒樹脂部品が使われている印象は無かった。仮に、現代のBMWモーターサイクルなら、「まぁ、そんなもんだろう」で過ごしてしまったと思うが、Kシリーズは1980年代のモデルであり、すでに生誕35年を数える立派な旧車である。敢えて部品点数を増やし、部品の一体化や共用化を避けていたのか!? BMWの開発担当者に直接伺わないと、なんともわからないが、80年代後半に登場した国産車と比べても、とにかく樹脂部品の点数が多過ぎる。

日本を含め、海外にはKシリーズのカスタム車が意外と多いが、そのどれもがいわゆる「スカチューン」したかのような仕上がりとなっている。カスタマイズ目的で部品を取り外していったら、結果的にスカチューンになってしまった……といった経緯なのかも知れない。そんなことで、我がKナナゴーも、次から次へと取り外していったのが外装パーツと黒樹脂部品だった。しかも驚いたことに、フレームに固定される樹脂部品はM6やM8、時にはM10のボルトを利用して締め付けられているが、樹脂部品に樹脂部品を固定するような場面では、何とボルトではなく「木ネジ」が多用されていた。太さ的には似たサイズが多いものの、長さや頭のデザインは複数あった。当然ながら、鉄ネジでサビが目立つものも多かったので、何種類かの木ネジを見本として持参し、ホームセンターで新品ネジを購入してきた。微妙に太さが違っていて、締め付けトルクを掛けられなかったら「イヤだなぁ」と思ったが、そんな心配は御無用で、ホームセンターの木ネジを利用しても、気持ち良く締め付け固定することができた。

取り外した黒樹脂部品の中でも、目立つ部分や大物部品は、同じくデイトナから発売されている「樹脂ブラック」スプレーでペイント仕上げにしようかとも考え、スプレーも購入準備していたが、1個1個の部品をスポンジで泡泡洗浄すると、思いの外、汚れが落ちて程度が良い印象だった。そこで、樹脂光沢復活剤のみで仕上げることにした。

ハンドルスイッチの樹脂ハウジングとプッシュスイッチを見てもそうだった。紫外線による劣化が激しく、黄色のスイッチノブは、白に近いほど完全に色抜けしていた。そこに樹脂光沢復活剤を塗布してビックリ!! 重ね塗りを繰り返すことで、おそらく新車当時の色味へと復活した。もちろんしばらく乗ればツヤ加減は引いてしまうと思うが、サッとひと塗りでツヤ加減が蘇るこのケミカルは、本当に素晴らしい! お勧めできます。

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