配線接続後に取り外す必要がなければ、カプラーやギボシ端子ではなくはんだ付けするのが手っ取り早いですが、芯線が離れないよう保持しながらはんだごてを扱うのは案外難しいもの。そんな時に活用したいのが、小さなワニ口クリップを備えたスタンドです。両手が自由に使えるだけで落ち着いて作業でき、はんだ付けのミスも激減します。

空中に浮かぶ配線のはんだ付けほど面倒な作業はない!?

USB電源の取り付けやハンドルスイッチの修理などの電気いじりに不可欠な結線作業。社外品のアクセサリーパーツは車種を問わず装着できるよう、電源コードが長めに設定されているので、余計な配線をいったん切断してつなぎ合わせる作業も行います。
配線同士をつなぐ結線作業で、ウインカーやホーンなど装着後に取り外す可能性がある部品に関してはギボシ端子やカプラーなど着脱できる部品を使いますが、恒久的に結線して良い部分ははんだ付けするのが一般的です。
もちろん、二度と外さない部分でギボシ端子を使っても問題はありませんが、はんだ付けより接続部分がかさばり、絶縁スリーブや端子金具の無駄遣いにもなります。
はんだ付けで結線を行う場合、つなぎ合わせる配線をどのように安定させるのかが作業のポイントとなります。一方が固定されていれば、つなぎ合わせる配線はフラフラ動くことがないので安定した姿勢ではんだ付けできますが、どちらの配線も浮いた状態だと安定しません。

被覆を剥いた芯線同士をひねり合わせた状態ならはんだ付けしやすいですが、結線部分がかさばって配線が太くなってしまいます。できれば芯線同士を突き合わせた状態ではんだを流し込みたいものの、宙に浮いた配線は安定しないためなかなかうまくいきません。
右手ではんだごてを握る場合、左手で配線とはんだをつまみながら作業したり、作業台に置いたはんだの先端に芯線とはんだごてを寄せていくなど、アクロバティックな方法で何とか結線しているという人もいるのではないでしょうか。
右手にはんだごて、左手にはんだを持って作業するのが理想で、そのためには両手がフリーになることが必要です。

配線作業だけでなく手芸や模型工作でも活躍するクリップ付きスタンド

空中にある「モノ」を固定して両手をフリーに使えるアイテムとして普及しているのがクリップ付きスタンドです。かつては秋葉原の電気工作材料店などのマニアックなショップでしか購入できなかったものですが、現在ではネットショップを通じて1000円台から買えるようになっています。

ツールクリップ、サポートスタンド、ヘルピングハンズなどなど製品名はまちまちですが、スタンドとクリップの組み合わせが基本スタイルです。模型工作や手芸やはんだ付けなど、細かな作業を行う際に部品を保持でき、両手を自由に使えるのが最大の特徴です。
クリップ根元の関節や手元を拡大するルーペの有無、はんだごてホルダー付きか否かなど、さまざまな仕様があり、はんだごてホルダー付きのスタンドであればはんだごてをセットしてもスタンドが転ばないよう土台がしっかりしているなどの特徴があります。

2本の配線を突き合わせるのなら、作業台に置いてはんだ付けしても結果は同じだと思うかもしれません。しかし作業台に熱が加わって焦げたり、こて先が当たらない裏側にはんだが回り込まないなどの不具合も少なくありません。この点でも、芯線の全周に熱を加えられる空中保持が可能なスタンドの利点は小さくありません。

芯線をはんだ付けする際は熱収縮チューブを忘れずに

クリップ付きスタンドで配線を保持することで、配線の延長や短縮で芯線をはんだ付けする作業の効率がアップし、仕上がりが良くなるのは確実です。
特に3本、4本といった複数の配線の長さを変更する際には、芯線を突き合わせた状態でクリップ固定することではんだ付け部分で曲がったり、捻った芯線で結合部分が太くならないため配線をスリムに仕上げることができます。
クリップで保持しながら配線をはんだ付けする際に、絶縁のために必ず使いたいのが熱収縮チューブです。ハーネステープやビニールテープは巻き重ねることで配線が太くなり、テープの接着成分によって巻いた部分がベタベタすることもあります。
それに対して熱収縮チューブははんだ付け部分に隙間なくぴったり張り付き、曲げても剥がれることはなくベタつきもありません。ただ筒状のチューブは後から通すことができないので、忘れずにはんだ付け前に通すことが重要です。

また、はんだ付けした際に突き合わせた芯線の端部が飛び出していると、収縮したチューブを突き破ってしまう場合もあります。それがアース(マイナス)側であればまだ幸いですが、プラス(電源)側の配線でフレームに接触するとショートする危険性があります。
ヒューズを交換してもすぐに切れてしまうような明らかなショートなら見当がつきますが、何かの拍子に芯線が車体に触れて、たまにヒューズが切れるという症状の場合は原因の特定に手間取る場合もあります。
そうならないよう、熱収縮チューブを収縮させた後は芯線が飛び出していないか否かを確認することが重要です。

結線作業は電気系のアクセサリーパーツを装着する際に不可欠です。エレクトロタップで手軽に済ませるか、ギボシ端子を使うのか、はんだ付けで恒久的に結線するかは時と場合によりますが、しっかりはんだ付けしたいのなら配線を保持できるクリップ付きスタンドのようなアイテムを活用すると良いでしょう。

POINT

  • ポイント1・はんだ付けで配線をつなぐ際に一方が固定されていれば作業しやすいが、どちらも浮いた状態だと安定しない
  • ポイント2・クリップ付きスタンドで配線を保持することで作業者が両手を自由に使えるようになり、芯線のズレや外れに気を取られることなくはんだ付け作業に集中できる
  • ポイント3・はんだ付けで結線した後の絶縁は、ハーネステープやビニールテープより熱収縮チューブの方が確実に処理できる
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