固着して動かないキャブレターの洗浄段取りだけではなく、ドロとホコリにまみれていて、作動させるとジャリジャリ感があるハンドルスイッチ類も、お湯を使った中性洗剤洗浄で好結果を得られるケースもある。ここでは、ハンドルスイッチのお気楽洗浄に挑戦した様子をリポートしよう。
目次
ジャリやドロ汚れは部品の大敵
旧車のマシントラブルと言えば、その原因の多くが電気トラブルとの意見が多い。しかも機能パーツのトラブルではなく、実は、メインハーネスや各種ハーネス類の断線トラブルが多かったりする。このハーネスも極めて怪しい!?まず洗浄してみたのがハンドルにクランプするスイッチボックス。グリスと汚れが入り混じってスイッチに節度が無くなり、接点不良を起こしているかも知れない。パーツクリーナーだけでは落ち切れない汚れもあるようだ。
カセットコンロと不要な鍋で新世界!?
寸胴鍋に水を入れてカセットコンロで温めて洗浄することにした。冷たい水からの温めでもカセットコンロのカロリーは想像以上に高く、10数分程度で狙った温度以上になっていた。作業は火を消してから行おう。カセットコンロは大変重宝する。震災時にも大変役立った記憶があるので、カートリッジのガスを切らさないようにしている。長時間連続利用するとガスボンベが温まり、危険なこともあるので、使い方と連続利用には注意しよう。
中性洗剤を混ぜて洗浄力アップ
寸胴鍋に水を入れて中性洗剤をひと絞り混ぜてから加熱開始。中性洗剤が多過ぎると泡立ち過ぎて、逆に洗浄しにくくなってしまうこともある。あくまで少量で十分だろう。加熱時は換気に注意し、引火の恐れがあるパーツクリーナーの利用は厳禁!!今回は口寸20cmほどの寸胴鍋を利用した。深さが浅くても五徳(鍋台)からハミ出すような大きさの鍋は使わないこと。鍋の反射熱でカートリッジガスが温まってしまい危険だ。あっという間に70℃を超えてしまったので火を消し、お湯を棒でかき混ぜて泡立ちを確認する。泡立ちが悪いときには中性洗剤を少量追加しよう。夏場の作業では湯温がなかなか低下しないが、冬場ではあっという間に温度低下する。実作業は50~60℃で行った。
沸騰させる必要は無い。60℃で効果十分
ガスコンロから鍋を降ろしてスイッチボックス部分をお湯に浸してグルグル回してみた。スイッチボックスがアルミ製なので、温まり易く汚れも落ち易いようだ。ある程度グルグル回したら、取り出して腰の強いナイロンブラシでスイッチ部分をゴシゴシとブラッシング。ある程度作業したら再び鍋に入れてスイッチ部分をグルグル回す。そして再びブラッシングの繰り返し。こんな作業によって内部の汚れや不純物が無くなり、スイッチの節度がカチカチと蘇った。イイ感じである。
洗浄後の水分除去は徹底的に
水道水で石鹸水を洗い流したら、エアガンの細いノズルで各部をしつかりエアブローしよう。さらにヒートガンを利用して、近づけ過ぎず、遠過ぎずで、スイッチ各部を完全に乾燥させる。ハーネス側が汚れている時には、ハーネス側もさっと洗剤湯に浸してブラッシング洗浄しよう。洗浄後にはエアーブローを徹底的に行う。特に、ホーンボタンの接点やスライド接点には、復活剤スプレーを適量塗布することで効果を得やすい。摺動部分や軸部には潤滑用としてスプレーグリスを適量塗布し、各スイッチをしっかり動かそう。
しばらく天日干しがお約束
エアーブローだけでは水分除去できないこともあるので、水分の完全除去を目的に、好天の日に天日干しするのが良い。実は、部品乾燥にはこの作戦が一番だ。これらのクリーンナップによってスイッチ接点の節度が改善されて、動きは確実に良くなった。最終的にはテスターで導通確認しよう。
- ポイント1・パーツの洗浄時に意外と効果的なお湯の利用
- ポイント2・ぬるま湯でも効果絶大!!沸騰させる必要はない
- ポイント3・洗浄後の完全換装とグリスアップは必須
油汚れの手を中性洗剤でゴシゴシ洗った後に、冷水で洗い流すよりも、少しでも温かい「ぬるま湯」や「お湯」で洗い流した方が、泡は流れ落ちやすいし、そのスピードは早い。だったなら、汚れた部品を洗うには、お湯を使った方が汚れの落ちが早いし、効率良く作業できるはず……それを実践してみた。
これまでは、固着したキャブレターの分解段取り手段として、お湯を使った分解洗浄にトライしたが、実は、各種ハーネス類を徹底的にクリーンナップしたり、切れた保護チューブの交換や切れたハーネステープを巻き直してレストアするような際には、この釜茹洗浄で良い結果を得られることもある。こびりついた油汚れは、冷水よりもお湯の方が洗い流しやすいという事実を利用する、と言えばご理解頂けるだろう。
ここでは、ハンドルスイッチボックス内の汚れを、いわば「手抜き的にクリーンナップ&メンテナンス」実践する様子をリポートしよう。
接点不良が発生し(接点焼けや磨耗などによって)導通が無い場合は、部分的にでも分解しない限り、修理復元できないことが多い。そうではなく、スイッチの動きが妙に硬いとか、スイッチは動くけど、節度が無くてネチョネチョ感があると言った際には、スイッチ内部の要所と思われる部分の汚れを洗い流し、グリスを塗布したり、潤滑スプレーを吹き付けるなどすることで、作動性がこれまで以上に良くなるケースもある。とは言っても、現実的かつ思い通りに事が運ばないケースも多い。
そんなときに試してみる価値があるのが、スイッチ本体の釜茹=湯煎なのだ。ここでは、アルミダイキャストケースのスイッチボックスを作業例にしているが、80年代以降のモデルに多い樹脂製スイッチボックスでも作業内容は同じである。ただし、温めるお湯の温度には気を配り、樹脂製ボックスの場合は40~50℃前後で作業すれば良いだろう。
作業時のポイントは、毛足が長く腰のあるナイロンブラシを用意して、作業に取り掛かることである。不要になった歯ブラシでも作業できるが、ブラシ部分が長く、腰のある硬めのブラシを利用することで、驚くほど汚れは落としやすくなる。また、スイッチハーネス側の保護チューブに切れや劣化がある場合は、小型バサミで保護チューブを切開し、複数のビニール被覆コードを露出させた上で洗浄することで、トータル的かつ効率良くクリーンナップすることがでる。機会があるときにはチャレンジしてみてほしい。
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ケースバイケースですが、素人はしない方がいいです。
こう言うネット記事は素人に誤解を与えます!
旧車などは特にハーネス(配線)が経年劣化でパリパリになってます、なので無闇に手を出すとちぎれますよ。
まあ、それも経験