昔は業務専用機器しか無く、サンデーメカニック用など考えられなかったが、今では我々サンメカでも様々なタイプを購入できるようになったサンドブラストシステム。しかし、実際に利用してみると、業務用=高値な「大型サンドブラスターの性能が欲しい!!」なんて考えてしまうことが多い。決して贅沢は言いません………。しかし、できることなら現状キャビネットで「安定性能を発揮させたい!!」とは、ブラストユーザーなら誰もが思いことだろう。ここでは、ブラストメディアの吸い込み口を改造することで、高い効果を得られるのかどうか!?試してみた。

標準の吸い込みパイプ形状も様々





市販ブラストキャビネットのガンはトリガー式でセラミックノズル仕様が圧倒的に多い。注目の「吸い上げパイプ」は、2本のパイプを並列にした仕様。単純に1本のパイプをブラストメディアへ差し込んで利用するだけではメディアを効率よく吸い上げることができない。そこで、もう一本のパイプを空気通路として使うことで、メディアの吸い上げを効率良くしているが………。安価な市販品の中では、気遣いされた仕様だが。

塩ビパイプで吸い込みパイプを自作

V字型に組み合わせた、自作した塩ビ管の吸い込みパイプをキャビネットにセット。吸い込みパイプからへ接続するホースは色々試してみたが、入手しやすいテトロンブレードホースが総合的には一番良かった。ホースがカーブする外側は流れるメディアによって擦れてしまい、徐々に薄くなって穴が開いてしまう。サイフォン状キャビネットの底部に塩ビパイプのV字角が来るようにレイアウト。この吸入パイプで作業するときのメディアを入れ替えは、パイプ内の残留メディアを必ず抜き取ってから、次のメディアを投入しよう(例えばアルミナ→ガラスビーズ)。ブラストガンノズルはセラミック仕様とタングステン仕様があり、タングステンの方が圧倒的にロングライフだが高値。

タングステンノズルとフットスイッチ



実は、このブラストキャビネットを購入した当時(30年前)、最初にカスタマイズしたのがトリガー式のガンノズルから、フットスイッチ+軽量吹き出しノズル式に変更したことだ。このカスタマイズによって、作業効率は驚くほど良くなった。ハンドトリガー式で作業し続けると、手の握力が無くなってしまい、作業効率が著しく低下してしまう。何より疲れます!!ノズル付近にトリガーが無くなり、作業する手の自由度が高まったことで、ノズルを固定すれば部品を回しながら両手でブラスト可能になる。フットスイッチだからこそ成しえる業である。ノズルは硬いタングステン製に限る!!

物置改+キャビネットも大改造。



サンドブラストキャビネットは、様々なメーカー製があり、格安品はさすがに低性能。高値な商品でも、こぼれたメディアで作業環境周辺が酷く汚れてしまうケースもある(作業環境を独立させたいため、たたみ2畳ほどの大型物置を利用している)。使う立場として、自分自身が使いやすいように改造することをお勧めしたい。ぼくの場合はキャビネットのフタを大改造。もはや原型を留めてない有名メーカー製キャビネット。油汚れやドロ汚れを落とした後にアルミナサンドで仕上げたエンジンカバー。ガラスビーズで仕上げれば、梨地ながらピカピカに輝く仕上げになる。

POINT

  • ポイント1・安価なブラストキャビネットでも改造によって作業効率が良くなる
  • ポイント2・吸い込みパイプの改造によって効率良くなり作業時間を短縮できる
  • ポイント3・アイデアを注いだだけ、必ず変化を得られる

市販品や自作品を問わず、ブラストキャビネットを個人所有し、エンジンパーツやペイント前パーツのクリーニングをDIYで楽しんでいるサンデーメカニックは数多い。我々サンメカが所有するブラストキャビネットは、底部分に溜まったメディアを圧縮空気+負圧の力で吸い上げ、ノズルから吹き出しパーツをクリーニングする「吸い上げ式」が圧倒的に多い。こだわりサンメカの中には、作業効率がより一層良くなる直圧式ブラスターを自作し、作業を楽しんでいる者もいる。

確かに、直圧式ブラスターの効率の良さは魅力的。メディアを使い切ったときに、再び充填するのが面倒だとの意見もあるが、そんな使い勝手の良し悪しは個人の判断次第だろう。ここで注目したいのは、市販の吸い上げ式サンドブラストキャビネットを「改造しないまま使っている」サンメカが、実に多いということだ。市販品の性能で十分といえばそれまでだが、様々な改造や改善を施すことで、その使い勝手は驚くほど良くなる。

まずは吹き付けノズルだが、お勧めなのが「フットスイッチ式」への改造だろう。市販キャビネットの中には、最初からフットスイッチ仕様で販売されている嬉しい商品もある。しかし、一般的に安価な普及型ブラストキャビネットは、その多くがトリガーガン式で、連続作業していると疲れてしまう。具体的には、10分も使っていれば指先や手の握力が落ちてしまう。右手で握っていたトリガーを左手に持ち変えたくなるなどなど、そんな経験をしたことがあるサンデーメカニックは数多いとはずだ。丁寧な作業て良い仕上がりを求めるなら、フットスイッチ式へのモディファイはお勧めである。

さらに「吸い上げパイプ」を自作することで、間違いなく作業性は向上する。水道管用の塩ビパイプで吸い上げパイプを自作したが、想像以上に良い結果を得ることに成功。メディア=砂やガラスの粉末を効率良く吸い上げるには、吸い上げ段階ですでに空気と混ぜ合わせなくてはいけない(キャブレターならエアブリードがまさにそれ)。効率良く吸い上げるにはパイプの「くの字」レイアウトが効果的である。メディアは吸入負圧で吸い上げるが、吹き付けノズルと反対側のパイプをキャビネット内で開放しておくことで、空気の流れがスムーズになり、メディアの吸い上げ効率が良くなるのだ。是非ともお試しくださいね!!

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