1980年代前半以前に登場したモデルは、6ボルト車、12ボルト車に関わらずポイント制御の点火システムが多い。ここでは、6ボルト時代のホンダダックスをベースに、ポイント周りのメンテナンスと調整、トラブルシューティング時の手順を再確認しておこう。

フラマグ点火車とバッテリー点火車



6ボルト時代から12ボルト時代まで、原付クラスのエンジンでは共通して使えるモデルも多いフライホイールプーラー。ホンダ横型4ミニァンのサンデーメカニックなら、必ず所有していたい特殊工具のひとつである。フライホイールを取り外すことで、ポイント接点のコンディションを点検することができる。見にくいときにはルーペを利用しよう。

接点の汚れはコピー紙でクリーンナップ



日立製ポイントが使われていた6ボルト仕様のダックス。手を加える前にポイント接点をルーペで点検すると、やや油汚れを起しているような印象だった。過去に実践したメンテナンス時のオイルが付着してしまったのかも知れない。接点の汚れはコピー紙で除去できる。常にポイントカムと触れているポイントヒールを潤滑しているのがオイルフェルト。乾燥していたら単なるフェルトになってしまうため、分解時には細いマイナスドライバーでフェルトにグリス補給しよう。

ポイントギャップで点火時期は変化する



フライホイールを復元したら、ホルダーツールで固定しつつセンターナットを締め付ける。ポイントが開いたときのギャップ広さをシックネスゲージで調整する。0.35~0.40mmで調整することで、点火時期の合マークはほぼ一致する。ドノーマルエンジンなら、ケース側刻線とフライホイール外周の「F」刻線が一致するようにギャップを微調整する。

タイミングライトで確実に調整



タイミングライト(ストロボ)があると点火時期確認が圧倒的に楽になる。確実なメンテナンスを実践するには必要不可欠な特殊工具だ。ホンダ4ミニ系エンジンは、横型も縦型もタイミング調整は「ギャップの広さ調整」で微調整するシステム。大型車のようにギャップ調整はそのままにベースプレートを動かすタイプではない。

エンジンチューニングを楽しんでいる場合は、それぞれのエンジン仕様に最適な点火時期があるので、不都合になることも承知の上で、点火時期変更を楽しんでみるのが良い。タイミングを少し早めると高回転域でよく回るとか、やや遅らせると登り坂では力強くなるなるなど、その違いを体感して覚えるのが良い。

POINT

  • ポイント1・ポイント接点の汚れが点火不良の原因になる
  • ポイント2・ 接点の汚れ除去と同時にポイントアームの歪みも点検
  • ポイント3・ フラマグ点火車のポイントはローター内部に隠れるようにレイアウトされている
  • ポイント4・ 最終的には点火ストロボ(タイミングランプ)で確認しよう

旧6ボルト時代の原付クラスには、フラマグ点火車が数多く採用されている。「フラマグ=フライホイール・マグネトー」と呼ばれる点火システム車がそれだが、難しい理屈は抜きに、部品構成を覚えるだけでも、トラブルシューティングは決して難しいものではなくなる。大切なことは、点火システム内の「どの部分にトラブルが発生しているのか?」を素早く理解することだろう。キック始動と同時にクランクシャフトが回転すると、フライホイール(ローター)が数回転する。ローターが回転すると、ローター内側に組み込まれた永久磁石によって、点火コイル(エキサイターコイル)に電気が発生して流れる。その電気の流れがポイント接点の断続によって切り替わり、その瞬間に、スパークプラグに火が飛ぶ……それがフラマグ点火車の働きだ。かなり大雑把な説明だが、そんな感じに覚えているだけでも、トラブルシューティングの参考になるはずだ。

大切なのは、その点火システム内の「どの部分にトラブルが発生しているのか?」ということ。逆説的には、どの部品にトラブルが生じると「どんな症状が起こるのか?」それを知ってさえいれば「遠回りしないでトラブル克服できる」ということでもある。例えば、ポイント接点が汚れていると、どのようなトラブルが発生するのか?接点が汚れていると、電気が通らなくなるのは誰もが理解できる。ポイントの働きは、流れていた電気を遮断し、その瞬間に、プラグ電極に火花を飛ばすきっかけを作っている。ポイントが汚れているとそもそも電気が通らないので、ポイントが開いても導通遮断が起きずに何も変化は起きない。だから火花が飛ばなくなるのだ。そんな接点の汚れは、短冊切りにした2つ折りのコピー紙を用意し、接点を持ち上げて挟み「短冊紙を引っ張り抜く」だけで良い。マイナスドライバーなどで接点を開き、パーツクリーナーで洗浄しても良いが、大切な油を流し落としてしまう(ポイント支持軸の潤滑油など)こともあるので、パーツクリーナーを吹き付ける際は、慎重に行おう。

しばらく乗っていなかったバイクなら、ポイント接点のコンディションと、ポイントアームのコンディションも確認しておくのが良い。ポイントアームを確認するには、フライホイールを取り外さないと目視確認できない。フライホイールの内側にポイントが組み込まれるフラマグポイント車の場合は、フライホイールを復元する際に、フライホイール内側の軸心部分にあるポイントカムを、ポイントヒール側面へ押し付けてしまうことがある。閉じたポイントヒール側面にポイントカムを押し当ててしまうと、ポイントアームが歪んでしまうことがあるのだ。そうなるとポイント接点のあたりに傾きが出て、都合良く電気が流れなくなり、ポイント接点粗れの原因になってしまうのだ。

そんな状況で走らせ続けたり、経年劣化が原因で不調に至るのがコンデンサである。エンジン始動は可能だが、エンジン回転が高まらない原因のひとつにコンデンサ不良がある。また、コンデンサ不良は、エンジン冷間時に起こりにくく、エンジンが暖気状態になると症状が発生することが多い。しばらく休憩して休むと調子を取り戻すようなトラブルの原因は、ほぼ電気系、点火系だと考えて良いだろう。ポイント車なら、コンデンサ不良もしくはイグニッションコイル不良、トランジスタ点火車の場合は、トランジスタユニットもしくはピックアップコイルの不調が原因だと考えられる。

仮に、エンジンが温まると「片肺になる!?」といった4気筒エンジンの場合は、何番のシリンダーが不調になるのか?エキパイに指先を素早く触れて、熱さ加減を確認してみるのが良い。仮に、1番4番が熱いのに、2番3番が冷えているような時には、間違えなく電気系がトラブル根源だと考えられる。さらに原因特定したいときには、暫定的に点火系部品の接続を入れ換えるなどで、どの部品が悪いのか?特定することもできる。

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コメント一覧
  1. えーさん より:

    ドノーマルエンジンなら、ケース側刻線とフライホイール外周の「F」刻線が一致するようにギャップを微調整する。


    こういう書き方をするから初心者の質問が絶えません。
    Fマーク合わせてギャップを指定ギャップにしてしまいます。
    Fマークを合わせたらギャップはほぼゼロです。電気的に離れてるだけです。

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