様々な部品の組み重ねで完成しているのがメガニズム。リヤホイールを取り外して「ホイールベアリングを交換しよう!!」となると、患部であるホイールベアリングへたどり着くまでのあいだに、様々な部品を取り外さなくてはいけない。ここでは、リヤホイールを取り外し、ホイールベアリングの交換「ついで」に実施しておきたい、メンテナンスに注目してみよう。

ドライブチェーン周りにも様々な要素が


ドライブチェーンケースを取り外して、ドライブチェーンコンディションを確認してみた。すると、驚いたことにジョイントクリップが「逆向きにセット」されていた。駆動方向の前側から後ろに向かってクリップを固定するのがセオリーである。転倒や横倒しの影響でチェーンケースが変形すると、ドライブチェーンと擦ってしまうことがある。チェーンケースを取り外したときには、ケースとチェーンが干渉していないか確認しよう。

スプロケットは汚れ落としと歯先の摩耗確認

メンテナンス性の良さを象徴するスーパーカブシリーズのリヤホイール周り。ドライブチェーンやスプロケフランジを取り外さなくてもリヤホイールを外せる(一部のモデルはコストダウンによって、全バラシしないとリヤホイールが外せない仕様もあるが……)。ドリブンスプロケを単品で回してベアリングチェックすると、残念ながらリヤホイールの軸受けベアリングは3個ともにゴロゴロ感ありだった。ストックしていたベアリング規格番号を調べたら、幸運にもスーパーカブC100リヤ用に適合するベアリングが3個とも手元にあった。

ベアリングプーラーは所有したい特殊工具


ベアリングの抜き取りはベアリングプーラーで行なうのがベストである。しかし、新品部品への交換が前提なら、叩き抜いても支障はない。一箇所ばかり叩いてベアリングが斜めに傾かないように、平均的に叩いて抜取ろう。。

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ホイールベアリングは新品に交換


新品ベアリングを組み込む時には、純正部品のような片シールのコストダウン仕様ではなく、より長持ちする両面シール仕様のチョイスが望ましい。ベアリングプーラーセットの利用頻度は極めて高いので、サンデーメカニックにとっては必需品と言える特殊工具だ。

ディスタンスカラーの重要性に注目


ベアリングプーラーで古いベアリングを抜き取ったら、ホイールハブの内側にセットされ、ベアリングの内輪幅を決めるディスタンスカラーの「両端面」を確認してみよう。キラキラ光っているときには、磨耗が考えられるので要交換。ディスタンスカラーが摩耗した状態で新品ベアリングを組み込んでも、内幅寸法が合わずに、ベアリングはすぐにダメージを受けてしまう。また、スプロケットフランジやブレーキパネルに組み込むダストシールは、ベアリングを痛めないための必需品である。ダストシールがダメになると雨水の侵入でベアリング不良になりやすい。応急処置として、他モデル用オイルシール(機種不明)を代用。寸法的には合致してして利用可能だった。

POINT

  • ポイント1・バイクが走るうえで重要な機能部品がドライブ系。特に、日頃からメンテナンスしないといけないのがドライブチェーン周辺
  • ポイント2・ ベアリングにガタがあったときには、ディスタンスカラー端面の摩耗に要注意
  • ポイント3・ カラー端面に摩耗があるときには新品部品に必ず交換。僅かな摩耗がベアリングにダメージを与える

メインスタンドやメンテナンススタンドでリヤ周りを持ち上げて、車体側を押さえた状態で、リヤホイール(リヤタイヤ)を左右に振ってみよう。その際に、ガタつきや振れを感じることがある。その原因は、大きく分けて2か所にあると考えられる。

ひとつは、スイングアームピボットシャフト(ピボットボルト)周りのガタ発生によるもの。中大型モデルの場合は、スイングアームピボット内にインナーカラーが組み込まれ、そのカラーの左右両端寄りはブッシュやベアリングの軸受けとなっている。このブッシュやベアリングがダメージを受けると、スイングアームピボット自体にガタが発生し、リヤホイールを左右に振ったときに、ガタとなって現れてしまう。こんなトラブルを未然に防ぐのが定期的なグリスアップにある。雨天走行後などは、特にしっかりグリスアップしたいものである。

もうひとつのダメージ箇所が、ここで実践しているリヤホイールベアリングである。メインスタンドで点検すると双方のガタを確認しやすいが、スイングアームを受けるメンテナンススタンドで感じるガタは、おおよそリヤホイールベアリングのことが多い。

ここでは、旧型スーパーカブのリヤホイールベアリング(ハブベアリング)を交換した。メインスタンドで車体を持ち上げて、リヤタイヤを握って左右に振ると、リヤホイールの中心部分から、僅かなガタを感じられたので、部品交換を実践した。

リヤハブベアリングにたどり着くまでには、様々な部品の取り外しが必要だが、ここでは、チェーンケースやドライブチェーンの取り外しも実践した。単純に、リヤハブベアリングの交換だけなら、チェーン周りは分解せずにベアリング交換は可能である。しかし今回は、スプロケットを固定するフランジカップリング内に組み込まれているベアリングも交換しようと部品準備したため、周辺部品の全分解が必要不可欠になった。このような作業実践時には、ドライブチェーンの点検洗浄やチェーンケースの変形が原因で起こるチェーンケースとチェーンの干渉音も確認対処できる。また、スプロケットの減り具合など、周辺部品の現状コンディションを把握することができる。そうすることで、次回の分解メンテナンス時に用意すべき補修部品を明確にすることができるのだ。

今回の作業で一番驚いたのが、ドライブチェーンの接続クリップが「逆向き」に取り付けられていたことだ。この取り付け方のままで走っていると、チェーンの張りが緩んできたときに、ジョイントが抜けて外れてしまう可能性が大きい。復元時には回転方向を考え、確実に接続した。

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