グランプリ出版より、新刊『ホンダドリーム CB400FOUR CB400Fを哲学する―魅力の根源を探る』が発売された。その人気の秘密やデザインの魅力を多角的に追求した500ページを超える大著だ。
目次
CB400FOURの魅力を関係者取材から掘り起こす
長くオーナーとしてホンダ・CB400FOURを愛好していた編・著者である入江一徳氏。初登場から50年を経て、既に歴史的な存在となろうとしているCB400FOURを、様々な視点・角度から長期間にわたって分析し、その魅力を研究している。その成果として著された本著は、その人気の秘密やデザインの魅力、開発背景について、当時の関係者への取材をはじめとし詳細を徹底的に追求。CB400FOURの魅力を、500ページを超えるテキストと貴重な当時のカラー写真・資料とともに紹介する。
本著内容を以下に一部抜粋する。
第2項 CB400Fと「パレートの法則」
経済学者ヴィルフレード・パレートというより、パレートの法則という方が分かりやすいかもしれない。人口の20%の高額所得者に、社会全体の80%の富が集中し、残りの20%の富が80%の低所得者に配分されるということを説いた学者である。私が前職で営業をやっていた時代、パレートの法則で述べられている目標に対して、手持ちの確かで有力な20%の材料が、結果として成果の80%の計数を稼ぎ出すことを当時実感したものだ。
翻ってCB400Fのデザインにおいて、このエキゾーストパイプやタンク等が果たしているデザイン的成果は、製品全体のデザイン表現を100とした場合、その20%にしか過ぎない部材が、全体の80%を占めるデザイン力となっているのではないかという強引な仮説を立ててみたのである。
直感的な捉え方であるが、視覚でとらえられるインパクトは、全体を100とした場合、パレートの法則でいう20%の特徴的魅力が、モノの太宗80%を印象付けているのではないかという点である。そこで、画面に占める部位の面積割合を、計数として捉えてみてはどうかという観点に立ち計測してみることとした。……
入江一徳著.ホンダドリーム CB400FOUR CB400Fを哲学する―魅力の根源を探る.グランプリ出版,2024,p.156.
CB400FOURオーナーのみならず、ホンダのモーターサイクル開発史に関わる貴重な情報源となる本著は、1974年のCB400FOUR誕生から50周年を記念して、500部が刊行されている。発売は2024年10月30日(水)より書店にて取り扱われており、価格は6600円だ。
『ホンダドリーム CB400FOUR CB400Fを哲学する―魅力の根源を探る』目次
序 章
第1章 CB400Fコンメンタール(逐条詳解)
第2章 CB400F初号機 探訪
第3章 CB400Fオーナーズアンケート
第4章 CB400F多角的デザイン考
第5章 CB400Fの魅力の背景とその強運
第6章 CB400F魅力の想起構造(モノとしてのゲニウス・ロキ)
第7章 仲間たちの群像 Ⅰ「花添えし人々」
第8章 仲間たちの群像 Ⅱ「見守りし人々」
第9章 CB400F開発プロジェクト「その意味」
第10章 「佐藤イズム研究」“ 駄馬にも意匠 ”
第11章 創り手の思想 佐藤允弥さんを語る
第12章 寺田五郎さんからの手紙
終 章 私のCB400F讃歌
あとがき
参考・引用⽂献
販売 グランプリ出版:https://grandprix-book.jp/
免許制度改正に毅然と立ち向かったCB400FOUR
CB400FOURは、1974年にホンダから発売されたスポーツモデル。ミドルクラスで初めて直列4気筒エンジンを搭載した「CB350FOUR」をパワーアップし、最高出力37PS/8,500rpmを発揮。カフェレーサー的なシンプルなデザインと、ホンダ初採用となる4in1の集合マフラーを採用したことで大きな人気を集めた。
発売翌年に免許制度が変更され、現在の「大型二輪」区分が登場。発売当初408ccだったCB400FOURは大型モデルとされたため、ホンダは急遽398ccモデルを開発、国内モデルとしてラインナップ。1977年半ば惜しまれつつも販売を終了した。
2024年はこの初代登場から50年。近年の絶版車人気から、CB400FOURも高い人気を今なお集めるが、販売年数の短さによる現存車両の少なさからも、貴重なモデルのひとつとなっている。
CB400FOUR(1974)主要諸元
・全長×全幅×全高:2050×705×1040mm
・ホイールベース:1355mm
・車両重量:185kg
・エンジン:空冷4ストロークSOHC4バルブ直列4気筒 408cc
・最高出力:37PS/8500rpm
・最大トルク:3.2kgf-m/7500rpm
・燃料タンク容量:14.0L
・変速機:6段リターン
・ブレーキ:F=ディスク、R=ディスク
・タイヤ:F=3.00-18、R=3.50-18
・価格(当時):32万7000円
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