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西部秀馬/日本体育大学
9月28日に行われた大東文化大戦の前半、オータムリーグ最多の平均87.3点を記録している日本体育大が前半で32点しか奪えず、最大で14点のリードを奪われる。しかし、後半になってから日本体育大にいいリズムをもたらしたのは、3年生のスイングマン、西部秀馬だ。
3Q序盤から中盤にかけて、西部は3Pショット2本とフローターを決め、14点差を4点差に縮める原動力になる。3Q終盤に日本体育大が11連続得点で逆転した際にも、しっかりと走って速攻でフィニッシュするなど、オールラウンドなオフェンス能力を発揮。また、延長最初のオフェンスで決めた3Pは、「普段から練習しているクイックスリーで、練習通りに打てました。練習の時から早く打つことを意識しています。」と語ったように、パスをキャッチしてからボールを下げる動きがない速いリリースからのショットだった。
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この3Pショットによって延長で主導権を握った日本体育大は、ディフェンスで大東文化大を5分間無得点に抑え、88対75のスコアで勝利。西部は本来のウイングでプレーする選手だけでなく、状況によってパワーフォワードともマッチアップ。延長で194cmの富山仁貴が1対1で仕掛けた時にターンオーバーを誘発させた西部のディフェンスは、ムトンボ・ジャンピエールが速攻でダンクを決めることへとつながるビッグプレーだった。
「今日はオフェンスよりもディフェンスでチームに貢献できたと思います。いつもオフェンスから流れを持ってくるというところですが、今日は普段そんなにやらないディフェンスでチームに勢いを持ってくるというところが、藤田さんから見ていいパフォーマンスに繋がったんじゃないかと…」
3P4本を含む18点、5リバウンド、4スティールで勝利に貢献した西部に対し、藤田コーチは「今日はいいディフェンスをしていた」と称賛。「ポテンシャルは高い。パフォーマンスにおけるレベルの差を小さくしてほしい」と続けたように、西部に対する期待度が非常に高く、プロ選手としての可能性も秘めている。1巡目を10勝1敗の首位で折り返した日本体育大が、オータムリーグの頂点、その先のインカレ制覇という目標を達成するためには、西部が攻防両面で質の高いパフォーマンスを発揮することもカギになりそうだ。
◆拓殖大が白鴎大に競り勝って連敗を6でストップ
石橋永遠/拓殖大(写真中央)
東海大との激戦をモノにした翌日の9月29日、白鴎大は長い連敗に突入していた拓殖大と対戦。前日の筑波大戦で大敗を喫していた相手に対し、決して油断していたわけではないが、白鴎大の網野友雄コーチが「トランジションから3Pショットなど、やられてはいけない形でやられてしまった」と話したように、拓殖大のシューター石橋永遠をリズムに乗せてしまうなど、起きてはいけないことが起こった試合になってしまう。
3点差を追う形で後半を迎えた拓殖大は、石橋にディフェンスの警戒が強まるところで1年生の留学生、セイ・パプ・マムウルがインサイドや中距離のジャンプショットで得点を重ねる。チーム全体で粘り強いでディフェンスをし続けた結果、3Qの10分間で29点を奪って逆転。その後4Q終盤まで一進一退の攻防になったが、タイムアウト後のセットプレーからパプがモンガ・バンザ・ジョエルの上から決めたフックショットが勝ち越し点となり、72対70で8月31日の中央大戦以来となる勝利を手にした。拓殖大の池内泰明コーチは試合後、次のようにコメントした。
「“やろうとしていることをやろうよ”という話を昨日は全然できなかったので、それをするという勇気と行動力が必要だと言った。それが他の大学との違いである。東海大や白鴎大はやることを忠実に実行しているところの強さがある。それができればいいかなと思っていました」
4本の3Pを含む22点を記録し、チームを牽引した石橋は、「昨日は自分たちのプレーがまったくできかった中で、まずは(気持を)切り替えて自分たちのプレーをやろうとオフェンスもディフェンスも最初から意識してやれたのが大きかったです」と振り返る。試合の早い段階でリズムを掴めたことは、石橋の得点が伸びた要因であると同時に拓殖大のオフェンスははフィジカルでタフな白鴎大のディフェンスを相手にしても、より活発にボールと選手が動かせていた。
決勝点となるショットを決めるなど、18点、8リバウンドと奮闘したパプについて石橋は、「本当になんでも走るし、リバウンドも取るし、ディフェンスもやる。本当に献身的な選手で、今日もしっかり自分の仕事をこなしてくれたと思います。ベストゲームかもしれないけど、もっとできると思います」と称賛した。パプがインサイドで一貫性のある活躍をし、チーム全体で石橋をサポートする戦いができれば、拓殖大は2巡目で巻き返して白星を重ねることも十分に可能。拓殖大の勝利は、100回目を迎えたオータムリーグが実力が非常に拮抗していることを象徴する試合だった。
◆10連敗同士の対戦で初勝利を手にしたのは中央大
1巡目最終戦まで勝ち星のなかったチームの対戦は、中央大が山梨学院大の猛追撃を何とか振り切って勝利を手にした。ベンチから出てきた石口直の13点を最高に、7人が7点以上を記録するなど、多くの選手がオフェンス面で貢献。U18代表活動から戻ってきて2戦目となった深澤桜太は、10リバウンド、3ブロックショットとペイント内でいい仕事をしていた。
山梨学院大は野溝利一が37点と爆発し、菅野陸も17点とガード陣がチームを牽引。12点差で4Q開始の状況から終盤に同点に追いついたが、逆転勝利にはあと一歩届かず。スヴェトリシック・イゴールが復帰するまで、山梨学院大は苦しい戦いが続くかもしれない。
文:青木崇
青木 崇
NBA専門誌「HOOP」の編集者からフリーのバスケットボールライターとなる。NBAファイナル、NCAAファイナル4、世界選手権などビッグイベントの取材や執筆活動を行なっている。
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