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バスケット ボール コラム 2024年9月2日

【オータムリーグレポート】肝心な局面で白鴎大に違いをもたらす男、ポーグ健

バスケットボールレポート by 青木 崇
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ポーグ健

ポーグ健/白鴎大

オータムリーグとインカレの2連覇を目指している白鴎大は、ホーム開催の利を活かしながら開幕から5連勝。U22代表の佐藤涼成ら能力の高い選手が多いチームの中でも、4年生のポーグ健は肝心な局面になればなるほど、その存在感を増す。

8月25日の大東文化大戦で残り2秒に逆転勝利に導くレイアップを決めたが、佐藤がドライブで仕掛けたのに合わせ、ベースラインからカットしていたことで生まれたものだった。31日の筑波大戦、白鴎大は前半で苦戦を強いられた。しかし、ポーグは3Qで同点に追いつく3Pショット、逆転のティップイン、佐藤の3Pショットにつながるセカンド・チャンスを作り出すなど、試合の流れを一気に変えたのである。

「小さい時からそう言われていたので、感覚なのかなと…。練習でだれがどういうプレーが得意とかを見ながら、チームとして合わせてきました。大体どの人がどういうプレーをするかわかるので、予測すればいいかなと思っています」

こう語るポーグはたとえターンオーバーといったミスをしても、直後のディフェンスでスティールを決める。得点につながるカット、スペースを作るための動き、的確な読みからのディフェンスなど、ポーグはプレー中に動きを止めていることが非常に少ない。また、ルースボールの状態になった時には、最高のタイミングで最高の場所にいて、最終的にボールを手にしていることも多々ある。

昨年はベンチから出てきてチームに活力をもたらしていたが、最上級生となった今年はリーダーシップを含め、チームにとって非常に重要な選手なのは明らか。9月1日の神奈川大戦は1Qで2つとファウルトラブルに陥り、「彼がいなくなったことで難しくなった」と網野友雄コーチが話したように、ベンチに下がった後のチームが苦しい試合展開に直面した。それでも、4Qに5点差に詰め寄られた時のタイムアウト後、ボーグが決めたドライブからのジャンプショットは、神奈川大の追撃を断ち切るうえで大きな意味があった。ポーグは自身の役割を次のように語っている。

「去年は出ている時間にスリーを決められるくらいの役割だったんですけど、今年はキャプテンシーとか、2Pを取りに行かなければいけない。スリーだけじゃダメということで、いろいろな役割があって悩んでいるところもあるんです。役割が増えたことは自分に任せてもらっているところがあると思うので、自覚してやっていきたいです」

白鴎大がディフェンディング・チャンピオンということもあり、対戦相手は常に100%以上の力で倒そうとする。しかし、ポーグはチャレンジャーとして1試合1試合に臨むことがいかに重要かを認識。開幕から5試合の平均は9.2点、4.4リバウンドだが、スタッツ以上に貢献度が高い選手として注目に値する。

■小さなスコアリングガードはオータムリーグ必見

野溝利一/山梨学院大

野溝利一/山梨学院大

英語でMust-see TVという言葉がある。絶対見逃せないテレビ番組という意味になるが、今年のオータムリーグで必見の選手としてお勧めするならば、筆者は山梨学院大の野溝利一の名前をあげたい。

野溝は身長164cmの小さなポイントガードだが、得点に対して非常に貪欲。距離が長く無茶な3Pを数多く打っているように見えるかもしれないが、「自分は高校時代(東海大付属諏訪)試合に出られなかったから、シューティングだけはずっと欠かさずやってきたし、今も継続してやっています」と語る野溝は、シュート力に絶対の自信を持っている。


去年のチームでもスターターを務めていることもあり、古田悟コーチからの信頼も厚い。8月28日の日本大戦では、20本の試投数で9本の3Pを成功させるなど30点をマーク。身長が180〜190cm台、身体能力が高い選手にマッチアップされたとしても、ステップバックで一瞬でもスペースをクリエイトできれば、クイックリリースで3Pを決めてしまう。試合中にディフェンダーが「どうやって対応すればいいんだ」と首を振ったり、両手を広げたりするシーンも目にすることもあるくらいだ。

3Pショットだけでなく、クイックネスを活かしたドライブ、ピック&ロールからペイントに入った後にフローターを決められるのも、野溝がスコアラーと言える最大の理由だ。9月1日の筑波大戦では前半だけで25点を奪うなど43点と大爆発したが、5連敗のスタートとなってしまった後、敗戦の責任一人で背負うかのように悔しがっていた。

「ケガ人が多いですけど、チームとしてやることは変わらない。自分自身がやることを全員が遂行できれば、チームでバスケをして勝つことができると思いますし、いないのを言い訳にしていたらリーグの長い試合を戦えない」と31日の大東文化大戦後に語った野溝のプレーは、会場でぜひ観戦することをお勧めする。

■轟の大爆発で東海大が日本体育大との全勝対決を制するも、チームとしては発展途上中

8月31日に行われた4戦全勝同士の対決は、東海大が76対72でホームの日本体育大に競り勝った。2年生ポイントガードの轟琉維は、7本の3P成功を含む30点の大爆発したことが勝因。能力の高い選手が揃う東海大の中でも、轟が大事な局面で試合を支配してチームを勝利に導いたことは、今後に向けてのプラス材料だ。

ただし、9月1日の日本大戦で25点差の大敗を喫したことは、東海大がチームとしてまだまだ発展途上であることを示すもの。特に試合を重ねるごとに失点数が増え、日本大には53.3%と高確率でフィールドゴールを決められた。4日の拓殖大戦は、ディフェンスの立て直しができたか否かを知る機会になるだろう。

文:青木崇

青木 崇

青木 崇

NBA専門誌「HOOP」の編集者からフリーのバスケットボールライターとなる。NBAファイナル、NCAAファイナル4、世界選手権などビッグイベントの取材や執筆活動を行なっている。

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