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長谷川比源/神奈川大学
神奈川大の幸嶋謙二コーチの「逸材だと思います」という言葉に相応しいパフォーマンスだった。199cmの1年生ビッグマンで、U22代表として台北で行われたウィリアム・ジョーンズ・カップを経験した長谷川比源は、拓殖大相手のオータムリーグ・デビュー戦で19点、11リバウンドを記録して勝利に大きく貢献。翌日の日本大戦は試合こそ敗れたものの、13点、11リバウンドのダブルダブルと奮闘した。
「スプリング(トーナメント)が終わってからリバウンドとかで(相手に)対策され始めたんですけど、そんな中でも取る前のポジショニングというところを意識して、まずは自分のこのチームに求められている役割をしっかりとやる。その上で自分のボールプッシュであったり、3Pであたり、いろいろな持ち味を出すことをリーグ戦の前までしっかり準備してやってきました。まずはそれがしっかり出せて、チームも勝つことができて本当によかったです」とは、試合後の長谷川。
拓殖大がゾーンディフェンスを多用したこともあり、幸嶋コーチが「中途半端になんでもできちゃう」と言う長谷川のオールラウンダーとしての可能性を感じさせるシーンは、正直なところ少なかったかもしれない。しかし、オフェンシブ・リバウンドを5本奪い、9本中8本のFGを成功させるなど、チームとしてやってほしい仕事はしっかりとやっていた。また、190cm台のスイングマン相手にアウトサイドで対応できるディフェンス力は、ポジションレスが進む現代バスケットボールへの適応という部分で、長谷川の魅力と言えよう。
ウィリアム・ジョーンズ・カップでは出場機会に恵まれないこともあったが、限られた時間の中でも十分に得るものがあった。長谷川はこう語る。
「初めての国際大会で、やっぱりフィジカルの部分とか、いつも自分がやろうとしているプレーをやらせてくれないことがありました。常に自分が目指しているのはA代表なんで、そういうところに行くためにもっとレベルアップしていかなければと位置づけて、自分なりにどこが弱いとか、そういった経験を通して学べたので、今はそこにフォーカスしてやっています。
本当に元NBA選手だったり、そういうプロでやっているチームと毎試合やることができて、やっぱり普段味わえないこと、普段は自分がレイアップに行ったときにブロックされないけど、そういう国際大会ではされたりすることもありました。そこの工夫だったり、フィジカルの部分もやっぱり足りないなって感じました。ウエイトトレーニングをしっかりと今取り組んでいて、そういう意味では自分の弱点を見つけられたので、本当にいい経験でした」
米須玲音、戦列復帰
戦線復帰した米須(写真右)
日本大は白鴎大との開幕戦で65対74のスコアで競り負けたが、司令塔の米須玲音が完全復活に向けて第一歩を踏み出した。
「ラストシーズンなので、そのためにケガを治してたいという思いで自分はやってきた。リーグ戦やインカレがありますけど、このリーグ戦でチームとしてしっかり結果を残せればベストです。自分自身はコートから離れていてやれていない部分があるので、成長にもつながるかと思っています」と話した米須は、オータムリーグが今年度初の公式戦ということもあり、前半は明らかにゲーム感覚が戻っていない感じだった。
しかし、後半になるとリズムをつかみ、コンゴロー・デイビッドにドンピシャのパスを通すなど、アシストが7本と米須らしいプレーは増えていった。
「相手のホームコートで(雰囲気に)飲まれている部分もあったんですけど、シュート1本決めてから自分の流れ、ディフェンスもオフェンスもやれたのが一つの収穫かなと思います」
約10か月ゲームから離れていた米須だが、白鴎大戦で先発すると出場時間はデイビッドに次いで2番目に長い25分57秒間プレー。肩の脱臼や膝の前十字靭帯断裂といった故障に泣かされ続けた大学でのキャリアだが、今後の試合で25〜30分出場できれば、頂点を目指す日本大にとっては大きなプラス材料になるだろう。東山高時代に素晴らしいゲームメイクで多くの人を魅了した姿が、このオータムリーグで見られそうと感じさせる開幕戦だった。
才能開花への第一歩
日本体育大戦との開幕戦で大敗した明治大は、2戦目で筑波大相手に60対52で競り勝っての勝利。針間大知と武藤俊太朗のスターター2人が14点とチーム最高を記録したが、肝心な局面でビッグプレーを見せたのは、ベンチから出てきた塚田大聖だった。
塚田大聖/明治大学
「3Pが得意なんで、ピック&ポップでシュートを打てるチャンスがある」と話したように、195cmのパワーフォワードはこの試合で3本成功させただけでなく、セットプレーから見事なアリウープでフィニッシュするなど、明治大が3Qでリードを奪って引き離すきっかけを作る。4Q終盤で筑波大が追撃態勢に入ったかと思われた局面で、平松克樹のアシストから決めたピック&ポップの3Pショットは、勝利に大きく近づいたという点で大きな意味があった。
トータルで8本中5本のFGを決めての13点と効率よく得点できた塚田は、この試合が明治大入学後のベストゲームだと認めた。ただし、名門の土浦日本大高でキャプテンを務めた経歴の持ち主だけに、斉藤勝ーコーチは「もっとできる選手」と期待値が高い。今はパワーフォワードを本職にしている塚田だが、今後スモールフォワードでプレーすることを視野に入れている。
「明治のコーチたちからは3、4年生くらいに3番をちょっとやってみないかという感じで言われているし、自分もディフェンスでつけるかを課題にしているので、そこを頑張ればいけるかなと思います」
こう語る塚田の3Pシュート力、ウイングスパンが200cmを超えると言う腕の長さを活かしたディフェンスを持つ点では、近い将来プロ選手になれる可能性あり。それを実現させるためには、筑波大戦同様のパフォーマンスをリーグ戦を通じて発揮できるかにかかっている。
文:青木崇
青木 崇
NBA専門誌「HOOP」の編集者からフリーのバスケットボールライターとなる。NBAファイナル、NCAAファイナル4、世界選手権などビッグイベントの取材や執筆活動を行なっている。
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