日本でも「クイックコマース(即配サービス)」が広がりを見せている。「クイックコマース」とは、来店客は入ることができない配達専用店(ダークストア)から、配達員が日用品などを自転車やバイクで近隣エリアに迅速に配送するサービス。日本で先行する「pandamart(パンダマート)」はすでに国内12拠点を展開し、2年以内に100拠点の展開を計画している。市場規模は「フードデリバリー」よりも大きいと見られており、今後、参入企業の増加や拠点数が急拡大する可能性は大きい。「コンビニ」よりお得で便利だという「クイックコマース」の成長余地や、有力サービスの戦略に迫った。
<Contents>▶有力サービスの比較表&市場展望▶「pandamart」3000品超を販売 都内4拠点、国内12拠点展開▶「PayPayダイレクト」日用品を出前館が配送、グループ共創の新規事業▶「OniGO」最短10分で配達 自社所属の配達員を駐在▶「Wolt Market」札幌に配送拠点開設 日本でも即配事業を強化
【「クイックコマース」のサービス比較】【「クイックコマース」市場展望】 フードデリバリーと連動して成長
「UberEats」や「出前館」のような「フードデリバリー」が発達したことで、すぐに欲しいものを手軽にスマホで注文する習慣が日本でも根付きつつある。「フードデリバリー」の配達員が、「クイックコマース」の配達を担うケースも多い。ギグワーカー(単発で仕事を請け負う人)の増加も、「クイックコマース」の成長要因になる。
「pandamart」を展開するDelivery Hero Japan(デリバリーヒーロージャパン)の新規事業開発本部 佐藤丈彦本部長は、「国内のフード(レストラン)市場の規模は約18兆円だといわれているが、グロッサリー(食料品、生活雑貨、日用品など)の市場規模は約52兆円だといわれている。『フードデリバリー』はコロナ禍で大きく伸びているが、『クイックコマース』はまだ拠点が少なく、サービスの認知度も低い。グローバルでのオンライングロッサリーの市場規模は現在約21兆円だが、2027年には120兆〜125兆円規模になるといわれている。国内でもポテンシャルは大きい」と語る。
12月7日に開設した「pandamart 西新宿」で取材に応えるDelivery Hero Japan 新規事業開発本部 佐藤丈彦本部長
コンビニよりお得に買い物できる
「pandamart」の場合、1回の配達料は220円(税込)だが、コンビニよりも商品価格を抑えており、まとめて買うと配達料を含めてもコンビニよりお得に買い物できるという。取扱商品数も3000品目以上あり、コンビニ以上の品ぞろえになってきている。
先行するデリバリーヒーロージャパンは、「今は『クイックコマース』の利用者を増やすことに注力している。競合を意識するというよりは、一緒に市場を広げていきたい。将来的には先行している優位性を発揮できると思う。購入データがたまることで、地域ごとの品ぞろえやサービスの品質改善で差別化できるはずだ」(同)と話す。