【EC物流最前線2024<物流不動産>】
野村不動産は、高機能型の物流施設「Landport(ランドポート)」シリーズや2021年10月から提供している「Techrum(テクラム)」で物流事業の深化を進めている。
特に、参画するパートナー企業や荷主・倉庫企業と連携して物流の課題を解決するプラットフォーム「テクラム」が今年10月にリニューアルした。
提供開始から約3年が経過した「テクラム」は、これまで荷主や倉庫主を対象に、庫内見学などを繰り返してきた。新生「テクラム」では、各社の異なる自動設備機器やロボティクスを連結して稼働させた。実際に倉庫で利用するイメージをより具体的に可視化し、自動設備やロボディクスの導入を荷主や倉庫主にイメージしやすくした。
「テクラム」の深化と同時に、参画する企業も増えている。年内に100社超えの計画が、10月末時点で100社に達している。
実用性を可視化
「テクラム」を実装しているハブ拠点は、同社が展開する物流施設シリーズ「ランドポート」(習志野市)にある。広さは約1万6500平方メートルで、物流関連機器やシステムが展示され、各メーカーの担当者も現地に同席して説明を行っている。
今回、リニューアルした「テクラム」は、ハブ拠点の内容や出展メーカーの配置を変更するだけでなく、より実用性に特化した拠点に作り変えた。
リニューアル前の施設内には、24社の15ブースが出展していたが、リニューアル後は32社の18ブースに拡大。製品数も16商品増えて71アイテムとなった。
これまでのテクラムの取り組みを通じて、自動設備の面白さ、驚き、関心を提供してきたが、物流現場からすれば展示だけでは関連性が低く、実用性と現実性が欠けていたという。
リニューアルを機に「物流の作業工程に沿って作ることで、より現実味が出るという仮説のもと5つのカテゴリーに分けて実務性や実用性を取り入れた。良いヒントを見つかる場にした」(物流事業部 大下智久課長代理)。
500坪を有効活用
「テクラム」を開始して3年が経過した今、すでに「テクラム」を有効活用して実際の物流施設に機器を導入した事例が出ている。
ハブ拠点の奥には約1500平方メートル(500坪)の検証エリアがある。このエリアは実際に荷主が物流拠点として利用でき、製品やシステムを使用して庫内運営ができるようになっている。
検証エリアは現在、空きがあるが、候補企業がいくつか上がっている状況だ。
また、「テクラム」の知見やノウハウは同社が開発する物流施設「ランドポート」にも生かされている。現在、開発が進んでいる「ランドポート横浜杉田」はその施設の一つだ。
「テクラム」の展開が同社の物流事業の主力サービスになりつつある。