2022年07月15日
その他:【結netだよりVol.10】二葉薬局野尻 管理薬剤師 ~平田 淳也さん~
結netだより10回目は小林市野尻町にある二葉薬局野尻の管理薬剤師の平田淳也さんにお話しを伺いました。
☆薬剤師になられたきっかけは何ですか?やりがいや魅力は何ですか?
きっかけは、これというのはないのですが、父親が元々土木関係の仕事をしており、その流れで一度は建築関係の大学に進学したのですが、高校生の時から物理が非常に苦手で、好きだった化学の方を学びたいと思い薬学部へ入り直したのがきっかけです。
やりがいや魅力はたくさんありますが、やはり患者様から笑顔で「ありがとう」という言葉を頂戴した時に喜びを感じます。
☆薬剤師の業務について教えてください。
薬局薬剤師で言えば、やはり一番は、患者様に安心して薬を提供することだと思います。
☆一番苦労されていることは何ですか?
苦労と言えば、ここ最近ずっと続いていることではあるのですが、薬の納品の可否になります。当薬局ではジェネリック医薬品使用率が90%超あり、基本的にジェネリック医薬品を提供しているのですが、メーカーの不祥事が相次いで起こり、全国的にジェネリック医薬品が納品困難な状況となり、先ほど一番とうたった薬の提供が危うい状況となっております。処方医にもご迷惑をおかけしている状況です。
☆患者さんからどういった相談がありますか?
コロナ禍ではワクチンによる副反応時の対処法などの相談も受けましたが、やはり患者様自身が飲んでいる薬との飲み合わせの相談が多いです。例えば、整形外科や皮膚科など他科受診時に、飲み合わせの相談を電話で度々受けます。それならまだ良いのですが、事後にお薬手帳で重複が起こっているという事象を確認することも時々見受けられます。そういう意味でも自分専用のかかりつけ薬局を作り、毎回同じかかりつけ薬局で調剤を受けることで、薬もより安全に使用されると思います。
☆居宅療養管理指導や在宅医療の実際について教えてください。また、多職種間での情報共有はどのようにされていますか?
我々薬剤師による居宅療養管理指導は、その殆どが薬をきちんと飲めてないので整理をしてほしいという理由で開始となります。医師の指示をもらい、その後訪問し、居住環境や生活状況など確認した上で、どうして飲めないのかということのアセスメントを行い、それを解決できるように、場合によっては医師への処方提案なども行います。自分の体験例でもありますが、医師から訪問の指示を受け、初めて訪問した時に薬価ベースで26万円超の残薬をもっていらっしゃった方もいますが、これは氷山の一角で、少し古いデータではありますが、2011年2月の中医協の資料によりますと、在宅での潜在的な飲み忘れ等の薬剤費は全国で年間約500億円に上るとされ、薬剤師の介入により400億円は改善されると推計されています。多職種間の情報共有は紙ベースで行っておりますが、緊急であれば電話で対応しています。正直言えば、メディカルケアステーションという媒体を使用し、タイムリーな情報共有がしたいと考えております。
☆多職種連携の中でご意見がありましたら教えてください。
この数年前から宮崎県薬剤師会では褥瘡に力を入れて、FurutaMethods考案者でもある古田勝径先生をお招きし、12回にわたり研修会を行っております。この研修会で様々なことを学んだのですが、特に褥瘡は外用剤で治すことが最も重要だということを学びました。実際、薬剤師が褥瘡のチーム医療に介入することで治癒までにかかる時間の短縮、治癒までにかかるコストの軽減が示されたデータも存在し、今年度の調剤報酬改定では病院側にはなりますが、入院患者に対する褥瘡対策について、薬剤師又は管理栄養士が他職種と連携し、当該患者の状態に応じて、薬学的管理や栄養管理を実施することに関し、診療計画への記載を求めるということが明記されました。薬局側でも、在宅で褥瘡治療ができるということを示すことが出来れば、先の診療報酬にも反映させることができるのではないかと考えております。そのためにも褥瘡に対し、より一層の多職種連携が重要になってくると考えます。
☆今後の目標などありましたら教えてください。
当薬局には強みである、無菌調剤室を完備しております。例えばTPN(中心静脈栄養)の必要な方がいたとして、無菌調剤できないという理由で家に帰ることを断念せざるをえなかった人たちに対し、ここで調剤することで家に帰ることができるようになります。自分の慣れ親しんだ自分の地域で最期を迎えることができるのです。目標ではないのですが、このような人たちが増えてくること切に願っております。
☆地域の医療従事者や介護従事者へのメッセージをお願いします。
多職種連携が重要という中で、この新型コロナウイルス感染症により大きく行動制限がかけられました。本当は対面で色々話し合うことが最良の方法ではありますが、幸いにもSNSが急成長を遂げたので、このような便利な媒体を利用しながら連携を図りたいと考えているので、薬剤師もチーム医療の一員として密な連携を図り、地域医療を盛り上げていきましょう。
《お忙しい業務の中、インタビューに応じていただきありがとうございました。二葉薬局野尻は新型コロナウイルスの抗原検査を昨年の2月からされているとのことです。管理薬剤師の業務は調剤以外にも在宅医療など地域に根差したものであると感じました。「チーム医療の一員」という言葉が印象に残りました。(日髙:取材日 令和4年7月7日)》