アカル☆パラドックス 〜 『女子高生』になった俺の、華麗なる⁉︎シンデレラストーリー 〜 - プロローグ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/112

プロローグ

 

 私立 摩利亞那マリアナ高等学校。

 創立は百年近くになり、制服も可愛く、多数の芸能人のOBや実際に現在芸能活動をしている生徒などが在籍していることから、世間ではそれなりの認知度とステータスを持つ学校である。

 そのマリアナ高校の校門に至る坂道を、いま一人の少女がゆっくりと歩きながら登校していた。


 肩下まで伸びた黒髪のロングを風になびかせ、均整の取れたスタイルで颯爽と歩く姿はまるでランウェイを歩くスーパーモデルのよう。

 その目鼻立ちは見事なまでに整い、わずかに吊り上がった目尻は気の強さよりも意志の強さを感じさせる。


 ーー絶世の美少女。

 そんな言葉さえも陳腐になってしまうほどの美貌を持つ彼女であるが、それ以上に人々の目を引きつけていたのは、彼女が持つ圧倒的なまでの存在感だ。まるで他を圧倒するような、それでいてどんな人をも受け入れるような優しげな雰囲気を、その少女は持ち合わせていた。


 彼女の名は、『日野宮 あかる』。


 マリアナ高校の二年生であり、学校の中では知らぬものの居ないほどの超有名人だった。



 ザワ……ザワ……。

 実際に彼女の登校する姿を見て、他の生徒達がざわめいている。


「おお、″マリアナの薔薇姫″様の登校だぜ!」

「日野宮さん、本当に綺麗ね……ポッ」

「今日は朝からアカル様が見れてラッキーだぜ!」

「さすがエヴァンジェリストね、立ち居振る舞いがお美しいわ」

「なんでもアカルちゃん、芸能界入りが噂されてるそうよ?」

「えーホント⁉︎ でもあれだけ美人だったら引く手数多よねぇ」


 彼らが″日野宮 あかる″に向けるのは、賞賛・感嘆・羨望、そういったものが混ざり合った視線。



 だが、彼らは知らない。

 この圧倒的なまでの美少女である″日野宮 あかる″ の中身が、実は″男″だということを。




 ◇◇◇




 あーあ、なんか今日も凄いよなぁ。

 俺は自分をまるでアイドルを見るような目で眺める他の生徒たちを眺めながら、こっそりとため息を吐く。


 俺が女子高生ーー『日野宮 あかる』になってから、既に数ヶ月が経過していた。

 女の子の体になったってだけでビックリなのに、いったいどうしてこんな状況になってしまったのか。


「アカルお姉さま、ステキ〜!」

「アカルさま〜! こっち向いて〜!」


 後輩らしい若い女の子の嬌声が、俺のことを遠巻きにする集団の中から聞こえて来る。


 こらこら、誰がお姉様やねん。こちとら男なんだから、どっちかというとお兄様だっちゅうのに。

 そんなことを思いながらも、とりあえずは声がした方に微笑み返しながら手を振る。するとキャーーッ! というすごい歓声が返ってきた。はー、こりゃ気にするだけ無駄だな。もう知らんがな。


 こいつら、もし俺が「実は中身は男なんでーす」って知ったらどう思うんだろうか。ビックリするかな? それともドン引きするかな?

 まぁ実際俺自身がビックリしてドン引きしてるんだけどさ。


 そんなことを思いながらも、思い返すのはこの身体になってしまった時のこと。



 なぜ俺はこんな風に--女の子の身体になってしまったのか。そしてどうしてこんな--お姉様だの何だのと言われるような状況になってしまったのか。

 俺は改めて、自分の身に降りかかったここ数ヶ月の出来事を思い出したんだ。


 それは、俺が女子高生『日野宮 あかる』になってからの激動の日々。


 そう、この日々は……あの日俺が目を覚ましたときから始まったんだ。


ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
いいねで応援
受付停止中
ポイントを入れて作者を応援しましょう!
評価をするにはログインしてください。
― 感想を書く ―
名前:
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
作品の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。

↑ページトップへ