現在の『異世界恋愛』と『現実恋愛』カテゴリーに対し思うことについて。あるいは、男性作者が恋愛小説を書くということについて。
まず、このエッセイを書いた動機ですが、半年ほど前に書いた短編『幼馴染みは物語のような恋をして、勇者は血溜まりを歩み続ける 【増量版】』(https://ncode.syosetu.com/n5116fr/)が思いもかけずレビューを頂くという幸運に預かり、ランキング入りして多くの方の目に触れることができている今、レビュアーの方に対する感謝を記したいと思ったのが一点。次に、そもそもこの短編を書いた時の作者の気持ちを表しておきたいと思ったのがもう一点です。
ではここからが本文ですが、結論を先に示そうと思います。
「男も恋愛小説を書こうぜ」
以上です。
私は男性、正直に言えばそれなりにおじさんなのですが、この「小説家になろう」内で恋愛小説を書くことがあります。
私が知らないだけで、同じような仲間はたくさんいるのかもしれません。ペンネームやネット上の登録情報だけでは、本当の性別は分かりませんから。でも、どうやらここで「恋愛小説」を書く人は大半が女性で、男性はほとんどいないように感じます。
寂しがり屋の私は、同好の士を求めます。これを見ている男性諸君。恋愛小説、書きませんか。
いや、男性作者の恋愛小説、いっぱいあるよと思った方、いらっしゃるでしょう。
そうした作品は、このサイトにおいては『現実世界恋愛』カテゴリーに多く存在します。でもそこにあるのは、多くは「恋愛小説」ではないと、私は思います。
言うなれば、そこにあるのは「ラブコメ」か「エロコメ」です。それらは「恋愛」小説ではない。「恋愛」が主題ではないのです。
ここで、このサイトにおける日間ランキングの様子を見てみましょう。現状の小説家になろう『異世界恋愛』カテゴリーと『現実世界恋愛』カテゴリーは、非常興味深い、それぞれ違った方向性への進化を遂げていると感じます。それはすなわち、『異世界恋愛』は極度に女性向けに、『現実世界恋愛』は、これまた極度に男性向けに特化しているということです。
許可なく具体的作品名に触れることはできませんが、双方における多くの作品の内容は、概ね以下のようだと感じます。つまり、異世界においては、「悪役令嬢などの不遇な状況下にある女性」が「何らかの『力』(地位でも能力でも)を有したイケメン」に溺愛されるという傾向。現実世界においては、「学校や会社で不遇な状況下にある男性」が「なぜか自分にベタ惚れしている美少女」に好意を寄せられるという傾向です。
※ ここで言い訳しておきたいのですが、私は上記のような作品が、とても好きです。男性向け、女性向け、どちらもとても大好きです(ちなみに私は男性)。今から書くことは、決してこれらのジャンルを貶めるためではないということは、どうかご理解願います。
両者の内容は異なっているようで、要素としては共通点が多々あります。最大に重要な点は、冴えない主人公が、良く分からないけどモテるということ。その際、モテる根拠は薄弱なことが多いです。しかしこの点については、小説家になろうがガラパゴス的なのではなく、その他の創作世界でも共通していると考えます。有名少年漫画雑誌や少女漫画雑誌を開けば、そんなことは一目瞭然です。だからそこは、このエッセイでは語りません。
「なろう」が特殊で、どうしてこうなったのだろうと思うことは、女性恋愛が異世界、男性恋愛が現実世界に偏っているという点です。いや、完全に偏っているという訳ではないです。現実世界恋愛で女性向けを目にすることもあります。でも、大抵はあまり目立っていません。
このような進化は、恐らく作者たちがそれぞれのカテゴリーで目に触れやすいもの、求められるものを追求していった結果、こうなったのでしょう。それは、女性が貴族恋愛とかが好き、ということもあるのかもしれないですが、こういうランキングの傾向特化は、かなり紙一重な部分があるでしょう。求められるからそういう作品が増えたのか、それともある作品がそこでウケたから、追従する作品が増え、そこで求められるようになったのか。両者は同じようで違い、違うようで同じです。
今の『小説家になろう』は、男性向け恋愛を求めるなら現実世界恋愛カテゴリーを探し、女性向け恋愛を求めるなら異世界恋愛カテゴリーを探すべきサイトになっている。異世界を舞台にした男性向け恋愛を探す場合には、「ハイファンタジー」のカテゴリーを見た方が速いです。そこにあるものは間違いなく、「現実世界恋愛」に置いてある、男性向け恋愛作品と同種のものです。
私は何を言いたいのか。我ながら非常に回りくどいです。しかし、徐々に本題に入るようにしましょう。
先ほども言いましたが、ここで男性向けの恋愛作品と称しているものの多くは、恋愛小説ではありません。それらの作品に求められているのは、男女の恋愛模様と言うよりかは、男性が遭遇するちょっとエッチなハプニング(なろうにおいては、かなり直接的なエロもありますが)です。恋愛が主題じゃ、無いんです。
男性作者の皆さん。もっとゴリゴリの恋愛小説を、書きませんか。
「ニーズが無いからだ」
こう言われると、このエッセイの全ては無意味と化します。
ですがまあ、そうですね。ニーズは少ないでしょう。前に私が「男性向け恋愛小説」と称して短編を某所に晒したところ、「恋愛小説は男向けじゃない」と一喝され、切り捨てられました。その通りだと思います。
でもねぇ、私は読みたいんです。男性作者の恋愛小説が。
特にファンタジーがいい。報われない愛に殉ずる男の話を書こう。相手の女性には、既に好き合っている男性がいる。その男は自分よりずっと魅力的で、彼女がこちらに振り向くことは無い。でもそれでいいんです! だからこそです! 主人公は、彼女のために命を賭けましょう! 打算ではなく、愛のために! そして彼女の知らない所で命を賭けて、彼女の知らないうちに命を落としましょう! 「あの人が幸せなら、それでいいさ……」なんつって、ニヒルに笑って息を引き取りましょう! 咥えタバコが地面にポトリと落ちる! その頃、主人公と仲の良かった別の女キャラ(恋愛関係じゃない! 友情!)が、主人公の死を悟り涙を流す! それだ!! エロなんかいらねぇ! ハーレムなんざ不必要だ! 好きと言ってもらえない、笑顔さえ向けられない。そんな風に報われなくても、惚れた女のために戦え! それが俺の考える、男の恋愛ファンタジー小説だ!
そもそも俺は情けなくて報われない男キャラが大好きだった。理想はスネイプ先生だ。先生は最高に情けなくて、最高に格好いい! あの野郎が大嫌いで大嫌いで大嫌いでも、あの人のために戦うんだよ!
古いゲームの話をしましょう。ライブアライブというゲームがありました。中世編の主人公はオルステッドです。ストレイボウという幼馴染のキャラは、自分の歪んだ恋情や劣等感のために、オルステッドを裏切ります。私が感情移入したのは、ストレイボウです。FF4の話でもいいです。私が感情移入したのは、セシルではなく、カインです。だから、だから彼らのように報われない男性陣が、俺は――!!
……ふう。
とまあ、こんな感じでね。
以上は私の恋愛物語に関する「癖」ですが、あなたにもきっと、こういうものはあるはずです。
ハーレムも良いものです。でも、そればっかりだとつまらないです。
性欲主体も重要ですが、たまには恋愛脳になるのも悪くありません。
だから、自分の「癖」に正直に、恋愛小説を書きましょう。
私は男性による、男性のための恋愛小説が読みたい。
以上です。
とりとめがない上、かなり偏った感覚のエッセイになったこと、どうかご容赦下さい。感情のままに書きなぐりました。
最後に、ランキングカテゴリーの件ですが、異世界と現実世界に分類するよりは、男性向け恋愛と女性向け恋愛に分類した方が、面白い発展が見込めるのではないかと思います。現状、多くの作品の方向性が固定化しているのは、事実だと思いますし。
それでは、この文を読んでくださった方がいらっしゃれば、どうもありがとうございました。
愛について考えていたら、短編がひとつ出来たので貼っておきます。
かなりおバカなノリですが、暇つぶしにでもどうぞ。
「『愛』のステータスで回復魔法の効力が上下する世界で」
https://ncode.syosetu.com/n3966ga/