女神さまは見た! ~そぉんなに女がお嫌いなら、単為生殖できるようにしてみますぅ?~
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女神さまは見た! ~そぉんなに女がお嫌いなら、単為生殖できるようにしてみますぅ?~

 ここは神界。

 暇を持て余した3柱の女神たちが地上を見下ろしていたところ、ある男性が婚約者の女性を詰っていた。


「あー、なんかこの男尊女卑やーねー。

 ほら、どこぞの男神思い出すじゃない?」


 そういうのは冬の乙女。別名死神。


「すみません、うちの夫が。躾けているんですけど、こう男根信仰がだめらしくやっぱ戻っちゃって」


 眉を寄せ悲し気な表情でそう語るのは紅の乙女。別名殲滅女神。

 その夫は下半身がだらしない主神である。


「そういう信仰というより個人的資質じゃない? というかあなた虐げられてないの? お姉さんに言って? 折檻するから」


 先に生まれた冬の乙女が心配そうに言う。神界でも姉弟関係は力関係に関係があったりする。原初に近いほうが力そのものは強い。


「暴力反対。

 あと地上も荒れるからはんたーい。実りが減るの悲しい」


 紅の乙女より先に返答したのは秋の乙女。別名実りの女神。あらゆる実りに関与している。

 のんびりそうに見えて、天候系の神々とバトルするのが名物である。


「いや。まあ、そうなんだけど」


「大丈夫です。そんなにひどいならアレ取っちゃいますので。

 種馬として下界放流して百年くらい戻ってこないので平和です」


「……それでいいならいいけど」


 平和。定義が難しい言葉である。

 冬の乙女だけがドン引きしている。そのまま話を続けたくなく、下界に視線を向ける。


「おお、女なんて顔と地位と金しかみてないだろ、だって。

 結婚しか人生が選べないんだったら、そういうとこから行くのもわからんでもない。自力救済したいなら、我が手を差し伸べるのも……」


「なんか変なこと言い出してなぁい?」


 しばし、観察。


「……そぉんなに女がお嫌いなら、単為生殖できるようにしてみますぅ? だって」


「うける」


 真顔で紅の乙女が呟いた。笑いだすと火が吹き出す体質なので、無表情である。


「無茶なこと言う子だな。我が加護あげようかな。たのしそう」


「あら、うちでもひきとってもいいわよ」


 そう二柱の乙女が話しているうち一人黙っていた秋の乙女。

 実りを冒とくされたと怒っているのか?と思って様子を見る二柱。


 ふるふる震えている。


「いいですね! 男の娘が! 処女懐胎! いける!」


 いきなり秋の乙女が叫んだ。びびってのけぞる二柱を放置して、秋の乙女はぶつぶつと呟いている。

 なお、罵倒していた男のほうは美女顔である。確かに顔がどうだと言えるほどの美貌だ。


「あー、ダメなのに聞かれた。

 秋の女神なんて、多産の象徴なのに。まあ、諦めて多く実れ」


「ひゃひゃっ、そうとなれば、降臨降臨。

 予言もつれていかなきゃ、てんしーっ! てんしーっ! おでかけよーっ!」


「うわー、飛んでった」


「文字通りね……。

 流行らないといいけど」


「うーん、ガチムチが」


「華奢な美青年も……」


 しばし沈黙があった。


「わたくし、用事がありましたわ」


「あ、あたしも。またね」


「ええ、ごきげんよう」



 こうしてこの世界は男性もときどき妊娠することになったのである。

 という秘密の話。

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