悪役娘の巻き込まれ恋愛譚
そこそこ美人、権力と財力のある侯爵家の娘として生まれた彼女はしかし、それゆえにわがままで傲慢、上の者には媚びを売り、下の者を見下して、勉強よりもドレスや色恋にうつつを抜かす、いわゆる典型的な悪役令嬢だった。
前世を思い出した彼女は、それまでの自分を振り返って全力で穴に埋まりたくなりながら思う。
――私、このままじゃ絶対に不幸になってしまうわ!
かくして、彼女の彼女による彼女のための自分改革の幕が上がった。
……のはいいのだが、よくよく周りを観察していくにつれて物事はそう上手くはいかないと言わんばかりのとある事実に気づいてしまうのだった。
これ、乙女ゲームの世界じゃないかしら、と。