マスター加藤和樹×東啓介がおもてなし!1日限りの“奇跡”に立ち会う「加藤和樹のミュージックバー『エンタス』ON STAGE」

加藤和樹がメインMCを務めるWOWOWの番組「加藤和樹のミュージックバー『エンタス』」が、ライブイベントになって帰ってくる。

「加藤和樹のミュージックバー『エンタス』」は、2022年6月、10・11月に放送・配信されたオリジナル番組。番組では加藤がバーのマスターに扮し、ゲストを歌や軽快なトークでもてなした。ゲストにはミュージカル経験者のみならず、アニメ・ゲームコンテンツを手がけるアーティストやボーカルグループ、ものまねアーティストなど多彩なジャンルのアーティストが名を連ね、彼らが自身の好きなミュージカルナンバーを披露し、歌や楽曲の新たな魅力を視聴者に届けた。

3月19日、東京・LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)での1日限りのリアルな“開店”を前に、ステージナタリーでは加藤と、出演者の東啓介にインタビュー。ミュージックバー・エンタスを訪れる観客を待つ、加藤流の“おもてなし”とは?

取材・文 / 大滝知里撮影 / 近藤誠司

初回はバーテンダーという着ぐるみを着ていた加藤和樹

──2022年に放送・配信された番組「加藤和樹のミュージックバー『エンタス』」(以下「エンタス」、参照:音楽とミュージカルがクロスする、加藤和樹の冠番組「エンタス」WOWOWでスタート)に、加藤さんが感じた魅力はどのようなものでしたか?

加藤和樹 「エンタス」の一番の魅力は、ミュージカルソングを歌ったことがないアーティストの方々にもゲストでお越しいただき、初めてパフォーマンスをしてもらうということだと思います。僕自身、縁を大切にしている人間ですが、番組内で異なる2つのジャンルのエンタテインメントがクロスして、縁がつながり、ミュージカル界の可能性がさらに広がっていくような印象を受けました。まあ、最初は緊張しかなかったですけど(笑)。久々に自分の番組をやらせていただくので、役割を全うしながら、マスターとしてゲストの魅力をどう引き出していくかと考えたときに、ミュージカル俳優としてだけでなく、アーティスト活動もしている自分には共通の話題もあるんじゃないかなと。初めてミュージカルソングを歌うときの気持ちとか。

加藤和樹

加藤和樹

東啓介 あー、わかる!

加藤 僕の場合はミュージカル「ロミオ&ジュリエット」でけっこう苦労した記憶があるので(笑)。ゲストの方々に、「エンタス」では自分が歌いたい曲を好きなように歌って、好きな舞台作品について気持ち良く語ってもらい、「楽しい時間だったな」と思っていただけたらと臨んでいました。

──番組では加藤さんが“歌でもてなす”ということも大きな魅力の1つでした。東さんは普段、加藤さんから“おもてなし”を受けることはありますか?

 たくさんありすぎて、何からしゃべって良いかわからないです。(微笑みながら)焼肉、地方に行ったらおいしいご飯、お家ではラーメン。たくさんもてなしていただいて……和樹くんの中に伊達政宗がいるのかな?って思いました。伊達政宗はおもてなしの達人ですから。ご飯に連れて行ってくれるだけじゃなくて、共演者にも気遣いがある方なので、先輩として尊敬しています。

加藤 いや、やってあげたいタイプなんですよ。僕は末っ子なんですが、下の兄弟が欲しかったので、後輩がすごくかわいいんです。とんちゃん(東)は僕に甘えてくれるので「何でもしちゃう。何でも買ってあげる!」という気になるというか(笑)。

 あははは! 本当に僕はのほほんとしすぎていて……周りに感謝しなければいけません。

加藤 今度はそれをとんちゃんが後輩にしてあげれば良いんです。僕もそうやって先輩に教えられたし、今はそれを返しているだけ。

──東さんは「エンタス」をご覧になってどのような感想を持ちましたか?

 バーと音楽ってよくある組み合わせだと思うんですけど、お酒ではなく歌でおもてなしをする発想が面白いと感じました。初めましての方とバーカウンターに座ってカジュアルに音楽について語り合えるのも良いと思うし、最近はミュージカル、ポップスときっぱり分かれている番組が多い中、肩ひじ張らずにミックスできる風通しの良さが素敵だなって。初回、めっちゃ緊張してたよね? バーテンダーという着ぐるみを着た和樹くんがいたもん(笑)。

東啓介

東啓介

加藤 すごく緊張した……よそ行きの俺だったでしょう?(笑) とんちゃんが言ってくれたように、最近、ミュージカル俳優が出演する音楽番組は増えてきましたが、“ミュージカルとは?”と掘り下げて話をするまではいかないんです。それに、ミュージカルソングを好きなアーティストさんがそれを披露する機会もなかなかないと思うので、「エンタス」を“ちょっと歌ってみたかった”を実現する場としても有効活用していただけたのではないかなと。

「エンタス」はアーティストと俳優が垣根を越えるブロードウェイのよう

──“実はミュージカル好き”というゲストの意外な一面を知ることができて、視聴者としても親近感が湧きました。トークや歌を通して、ジャンルクロスの魅力を改めて感じることはありましたか?

加藤 アーティストさんのミュージカルソングへのアプローチの仕方が我々とは違うということですね。我々がミュージカルナンバーを歌うときには役の心情や背景、その作品を理解してから歌いますが、皆さんはご自身ならではの解釈で自由に歌われているので、新鮮なんです。例えば、ボイメン(BOYS AND MEN)の平松賢人くんと吉原雅斗くんが歌ってくれた「闇が広がる」は、これまでもいろいろな組み合わせで聴いてきたナンバーですが、2人の“闇広”には今までにない新しさがあって、「こういう捉え方もあるのか」と。ご本人たちの曲に対する印象やお芝居で歌っていて、普段観ることのない姿が観られて、ファンの皆さんもうれしかったんじゃないかな。

左から東啓介、加藤和樹。

左から東啓介、加藤和樹。

 皆さん、ミュージカルをやったほうが良いですよね! 番組を観ていて、ゲストの方々が参考にされた音源って何となくわかるんですよ。例えば、松浦航大さんが歌ったミュージカル「ミス・サイゴン」の「神よ、何故?」は、声まねの感じから「山崎育三郎さんのを聴いたんだな」とか、ボイメンの“闇広”は「ラミン・カリムルーさんを聴いてるかも」とか。それがわかるだけに、原曲を吸収して、さらにあれだけ歌える表現力に「すごい!」と感動しました。オーイシマサヨシさんなんて、ミュージカル「CHICAGO」の「We Both Reached for the Gun」を自分のものにされていたし。

加藤 オーイシさんのパフォーマンスは素晴らしかったよね。

 ブロードウェイでは、アーティストが俳優と競合して芝居もミュージカルもやっている。番組でそういう垣根を越えたものができるのはすごく良いと思いました。