「恋ぶみ屋一葉2020 有頂天作家」の記者懇親会が本日1月20日、都内某所で行われた。懇親会には作・演出を手がける
本作は、2015年より上演されてきた「喜劇 有頂天旅館」「喜劇 有頂天一座」「喜劇 有頂天団地」に続く“有頂天”シリーズの第4弾。劇団新派の代表作「婦系図」の死んだお蔦が20年後に現れたら……という仮説が創作の原点となっており、齋藤作の「恋ぶみ屋一葉」を改題して送る。劇中では“一途さ”が生む大人の愛の騒動がユーモアたっぷりに描かれる。
舞台は、明治43年の東京。奥手な前田奈津(キムラ)はその昔、加賀美涼月(
2人の女性に恋心を寄せられる加賀美を渡辺徹が演じるほか、
齋藤は「大変愛着がある作品。タイトルは『有頂天作家』となりましたが、歌や踊りを入れて明るく、でも切ない世界観はそのままに、今の僕の感覚での修正を加えてお届けしようと。大人のおとぎ話のような物語なので装置・照明・音楽・ステージングでそれぞれのファンタジーを作り、エンタテインメントとしてより喜怒哀楽を伝えられるものにしたいと思っています」と構想を語る。また、渡辺えりとキムラについて「原質の違うところが作品の構造にマッチしている。隠と陽、明と暗、相手によって変えられるので作品の幅が広がるのでは」と分析した。
「シリーズ4作目ですが、自分から『この戯曲をやりたい!』と思って挑むのは初めて(笑)」と明かすのは、死んだはずの芸者・小菊こと羽生きく役の渡辺えり。「私にもがんで亡くした親友がいて、帰ってきてくれたらどんなにうれしいだろうかと、今でも思います。心を許せる女同士の親友は本当に貴重。奈津は幸せ者だな」と涙ぐむ。演じる小菊について「気の毒な役」だと表現し、「新しい時代の土壌を耕すような女性2人の物語でもあり、今につながる話だと思います。きちんと笑って泣ける芝居にできるよう稽古をしていきたい。歌も踊りもあるので、二重三重に楽しめるのでは」と意気込みを見せた。
一方、奥手な奈津を演じるキムラは「えりさんとはこれまで、敵対する役回りでしたが今回は女同士の友情(を体現する役)。えりさんには“そこに居る”、生の芝居を感じます。だから私もしっかりとその場に居なければならないなと」と真剣な表情で語る。演じる役については「樋口一葉さんの生き方をそのまま投影したような役。誰かの心を伝えるという作業をずっとやっていて、自分も好きな人への思いを、友人の恋文に乗せて送っている。純粋で優しい話だと思います。齋藤さんが、ご自身が書かれた『恋ぶみ屋一葉』のどういう思いを私たちに伝えてくれるのか、楽しみ」と語った。
また齋藤が「『恋ぶみ屋一葉』では感情の発露が抑制されていて、『もっと出したい!』と思ったんですけど、モノローグは書きたくなくて歌にしました」と明かすと、渡辺えりは「だけどロマンチックなセリフがないのよ! せっかく生きている作家と作れるのに(笑)」と不満を投げつけ、記者たちの笑いを誘う。本公演で相手役となる渡辺徹に対し、「絡みがないのに好きになるのは難しい。(渡辺徹を)ジュリーだと思って想念で演じる」と語り、和やかな空気の中、会見は終了した。
「恋ぶみ屋一葉2020 有頂天作家」は3月13日から28日まで東京・新橋演舞場、4月2日から13日まで大阪・大阪松竹座で上演される。
※初出時、本文に誤りがありました。訂正してお詫びいたします。
「恋ぶみ屋一葉2020 有頂天作家」
2020年3月13日(金)~28日(土)
東京都 新橋演舞場
2020年4月2日(木)~13日(月)
大阪府 大阪松竹座
作・演出:
出演:
※2020年4月1日追記:新型コロナウイルスの影響で、東京公演は全公演中止、大阪公演は4月2日(木)・3日(金)の公演が中止になりました。
関連記事
だい @dai19751
#ワンダ4 #radiko #jolf【会見レポート】渡辺えり&#キムラ緑子「#有頂天作家」、渡辺「“やりたい!”と思える戯曲」 https://t.co/4gzV2ruUeh