Cody・Lee(李)、I Don't Like Mondays.ら洋楽好きにオススメのバンド5選

ストリーミングサービスが普及し、プレイリストによって古今東西の音楽がシームレスに楽しめるようになった昨今。国内で活動するアーティストも次々と海外へと活動の場を広げてきている。

音楽ナタリーでは、そんな時代に洋楽好きのリスナーにこそ聴いてほしい日本のバンド5組を紹介。アジア全域で人気を博すCody・Lee(李)、スタイリッシュなサウンドで日本のみならず南米やヨーロッパ、アジアで熱狂的なファンを増やしているI Don't Like Mondays.、ドラマ主題歌で話題を集めたLET ME KNOWなど、どのバンドも「洋楽」や「邦楽」といった概念を軽やかに超えて独自の存在感を放っている。それぞれが描き出す独自のサウンドスケープを、ぜひ新たな視点で味わってみてほしい。

文 / 黒田隆憲構成 / 清本千尋

Cody・Lee(李)

Cody・Lee(李)は、そのユニークなバンド名と、楽曲「我爱你」のミュージックビデオで見せたエキゾチックで無国籍な映像で、海外リスナーからも大きな注目を浴びた4人組バンド。台湾でのワンマンライブや中国最大級の音楽フェス「2024成都草莓音乐节(Chengdu Strawberry Festival 2024)」への出演も果たし、アジア全域にファンベースを広げている彼らの魅力は、USオルタナティブ、UKインディーなどの洋楽を主軸にしながら、日本のシティポップや80年代ビートロックなど幅広いジャンルの音楽をヒップホップ的な感覚で取り入れたオリジナリティあふれる楽曲にある。

例えば最新アルバム「最後の初恋」収録の「烏托邦」では、The Beatles「I Want You (She's So Heavy)」やフジファブリック「蒼い鳥」で使われるコード進行を引用しつつ、サイケデリックでドリーミーな空気感を演出。また「涙を隠して(Boys Don't Cry)」では、WeezerやTeenage Fanclubのパワーポップとボブ・ディランの楽曲を組み合わせたようなサウンド、途中でサイケデリックに展開していく構成など、聴き手の予想を心地よく裏切る。異なる音楽ルーツを持つメンバー同士のそうしたケミストリーが今後どう発展していくのか楽しみだ。

I Don't Like Mondays.

2014年にメジャーデビューしたI Don't Like Mondays.。メジャーデビュー10周年を記念してリリースされた最新EP「FOCUS」には、カンテレ・フジテレビ系で放送中のドラマ「モンスター」のオープニング曲「Shadow」が収録されている。この曲はバンドアンサンブルにアコギやエレクトロの要素を融合し、The KillersやThe 1975などの影響を感じさせつつも、英語と日本語を織り交ぜた歌詞など彼らならではのオリジナリティを確立している。セルフプロデュースにこだわり、楽曲のみならずビジュアルやアートワークまでのほぼすべてをメンバー自身が手がけるその制作スタイルは今回も健在で、作品全体に一貫した美学と哲学を与えている。

ボーカルYUによる歌詞は、コロナ禍を経て内省的な内容に変化。かつては言葉の「響き」に重きを置いていたが、2021年8月発売のアルバム「Black Humor」あたりから人間的な弱さや葛藤を率直に表現し、「自分をさらけ出す」という姿勢が多くのリスナーから共感を呼んでいる。またアイドラはアニメ「ONE PIECE」の主題歌「PAINT」(2022年)で一躍脚光を浴び、南米やヨーロッパ、アジアでのライブ活動を通じて国内外にファン層を拡大。海外フェスでも楽曲が熱狂的に受け入れられており、国境を越えた活躍が今後ますます期待される。

神はサイコロを振らない

コロナ禍の2020年に、2019年にリリースされた楽曲「夜永唄」がTikTokを中心にバイラルヒットし、その名を知らしめたのが“神サイ”こと神はサイコロを振らない。福岡で結成された4人組の彼らは、ポストロックやシューゲイザーなど洋楽からの影響を受けた当初の実験的なアプローチから、次第にメロディと歌を大切にした楽曲作りへとシフトしてきた。その結果、ボーカル柳田周作の憂いを帯びた温かい歌声と、心に深く響く歌詞を主軸としたクオリティの高い音楽性を確立したのである。

神サイは今年、GLIM SPANKYやTHE SPELLBOUNDらとともに、ドラマ「ゴールデンカムイ」のエンディングテーマを手がけるアーティスト8組に選ばれ、楽曲「火花」を書き下ろした。ここ数年はバラードのみならず、この曲や「修羅の巷」のようなエモーショナルでエネルギッシュなロックサウンドにも定評がある。さらに、サウンドプロデューサーにYaffleを迎えた「スピリタス・レイク」、ラッパーのRin音とのコラボ曲「六畳の電波塔」など、4人が奏でるバンドサウンドを大切にしつつも、その柔軟なサウンドプロダクションが海外でも注目される日は近いだろう。

LET ME KNOW

中京テレビの連続ドラマ「スナック女子にハイボールを」の主題歌に採用された「偽愛とハイボール」が、ボーカル・MattyのInstagramを通じて拡散され、話題を呼んでいるスリーピースのロックバンド・LET ME KNOW。2023年に結成された彼らのサウンドは、80年代のUKロックやニューウェイブの影響を受けながらも、“ノスタルジックモダン”を標榜する現代的なアレンジで、新旧のリスナーに強く訴えかけている。結成からわずか半年で音楽フェス「SUMMER SONIC」の「Spotify RADAR: Early Noise Stage」に出演していることからも、その注目度の高さはうかがえるはずだ。

最新シングル「SKY BLUE」では、ニューウェイブ風のギターアルペジオやグルーヴィなリズムにMattyの甘くハスキーなボーカルが重なり、哀愁を帯びたメランコリックなサウンドスケープを展開。また「1800」や「LAD浪漫's」での無骨なシャウトは、リアム・ギャラガーやジョニー・ロットンといったUKロックのレジェンドたちの影響も垣間見える。12月には韓国ソウル公演を控えており、彼らの音楽が国境を超えてどのように共鳴していくのか、今後の活躍が期待される。

TENDOUJI

TENDOUJIは、2014年にバンド初心者の4人で結成され、独特のメロディセンスと温かみのあるローファイなサウンドで注目を浴び、日本のインディーシーンをリードする4人組ロックバンド。90年代ガレージロックやオルタナティブ、パンクといった洋楽からの影響を土台にしながら、それを現代の感覚でアップデートすることにより、エネルギッシュでどこかユーモラスなサウンドを作り上げている。2018年発売のEP「FABBY CLUB」では、プロデューサーに片寄明人(GREAT3)を迎え、作品のクオリティとポップネスが一段レベルアップ。さらに「SXSW」への出演やTeenage Fanclubのサポートなどを経験したことで、その音楽性とパフォーマンスへの自信を深めた。

今年結成10周年を迎え、セルフタイトルのニューアルバム「TENDOUJI」をリリースした彼ら。「TENDOUJIのテーマ」で幕を開ける本作は、セルフプロデュースによって「EASY PUNK」の精神を貫きつつ、より進化を遂げた内容に仕上がっている。彼ららしい自由さとともに、次の10年への力強い意志も感じさせる1枚だ。