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サカキナオ「scream」ジャケ写

サカキナオ scream

現代性と普遍性を併せ持った“嘆き”

文 / 森朋之

“サカキ”という名前の由来は紫式部の長編小説「源氏物語」の第10帖「賢木」(光源氏23歳秋から25歳夏の話)で、フェイバリットアーティストはマイケル・ジャクソンとThe Beatlesという超王道。サカキナオは、現代的なファンク / ネオソウルを軸にしたサウンドに日本の古典の要素などを取り入れた、和洋折衷~ハイブリッド~温故知新なシンガーソングライターだ。

「グローバルアーティストの発掘・育成」を目的としたオーディション「Catching Wave Audition 2024」でグランプリを獲得し、第1弾楽曲「神退治」でデビューを果たしたサカキから、第2弾楽曲「scream」が届けられた。プロデュースとアレンジには前作に続き、BE:FIRST、Number_i、AAAMYYY、雨のパレードなどの楽曲を手がけるクリエイターのMONJOE(DATS)を起用している。

最初に聴こえてくるのは、心の奥底で渦巻くようなシンセベースやピアノの音色。次の瞬間、心地よいビート感を軸にしたトラックが立ち上がり、思わず身体を揺らしたくなるようなグルーヴへと結び付く。ネオソウル、ヒップホップ、さらにシティポップ的な要素をちりばめたアレンジも絶妙。音楽の趣味や年齢を問わず、幅広い層にスムーズに受け入れられるミディアムチューンに仕上がっている。

特筆すべきはフロウの気持ちよさ。歌詞の中に英語は一切なく、「消せど燃ゆる 煌めいた罪な蛾を」など、どこか古風な日本語のみで構成されているのだが、聴き心地はあくまでもスムーズで、洋楽的なトラックとのバランスも抜群。単に英語っぽく歌っているのではなく、独自のメロディと言葉の重ね方を会得しているのだ。

“過去の亡霊”から逃れ、今を追いかけようとする姿をエモーショナルに映し出すボーカリゼーションも魅力的。現代性と普遍性を併せ持った「scream」の嘆きの表現は、サカキナオの名をさらに多くのリスナーに知らしめることになりそうだ。

サカキナオ「scream」MV

サカキナオ「scream」
2024年12月25日(水)配信開始 / Scrum Wave Music
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サカキナオ(サカキナオ)

サカキナオ

シンガーソングライター。eggmanとNTTドコモと吉本興業が立ち上げたNTTドコモ・スタジオ&ライブによる、次世代バンドおよびグローバルアーティストの発掘・育成を目的としたオーディション「Catching Wave Audition 2024」にて、2024年1月に初代グランプリを獲得。プロジェクト内で発足されたレーベル・Scrum Wave Musicより、第1弾シングル「神退治」を10月に、第2弾シングル「scream」を12月に配信リリースした。