夏のショートツアーとして7月の頭に開催された「東名阪 TOUR'23」。各会場では3月のアメリカツアーでの経験を生かしたというカセットテープ作品「Overly / Oxidize」が販売され、DYGLの新たなスタイルを表すような公演となった。この記事では7月3日の東京・渋谷CLUB QUATTRO公演の模様をレポートする。
「I'm Waiting For You」でライブの火蓋を切ったDYGLは、まずガレージロック調の「Take It Away」「Let It Sway」といった初期の楽曲を中心に届けていく。序盤からハイテンションのオーディエンスにつられるように、Nobuki Akiyama(Vo, G)は「1曲増やします」と当初演奏予定のなかった「Dazzling」をセトリに追加。性急かつ荒々しいサウンドにより、フロア前方では大勢の観客がもみくちゃになるほどの盛り上がりを見せた。
Akiyamaたちは観客たちの高揚ぶりに圧倒されながらも、「今日は最初から最後まで、この感じでお願いします!」と笑みをこぼす。今回は“プチベスト”というコンセプトを掲げてセットリストを組んだという彼らは、途中カセットテープ作品に収録された「Overly」「Oxidize」だけでなく、先日YouTubeにてライブ映像が公開された「Acervation」、最近ライブのレパートリーに加わった「Shadow」といった新曲も披露。アメリカの現行オルタナティブロックからの影響を感じさせる、ノイジーでありつつメロディアスなフレーズも共存させたミドルチューンで現在のモードを示した。
折り返し地点を過ぎると、DYGLはどこかノスタルジックなムードを漂わせる「Waves」「Bushes」でフロアをクールダウンさせつつ、メンバーが敬愛するイギリスのバンド・Yuckの「Shook Down」をカバーするサプライズも用意。合間にAkiyamaは渋谷CLUB QUATTROがオープン35周年を迎えたことについて触れ、「海外ツアーで印象的だったライブハウス、調べてみたらコロナ禍の影響で閉業していたんです。皆さんが好きなライブハウスに通うことで、その会場も残り続けることができると思うので、みんなでパーティを続けましょう」とライブや会場が存続することの重要性を説いた。
終盤にかけて、DYGLは疾走感あふれる「Half of Me」「Let It Out」、心地よいグルーヴで会場を包み込んだ「I've Got to Say It's True」「Waste of Time」とバンドのさまざまな側面を見せるようなパフォーマンスを展開した。そしてアンコールでは彼らのレパートリーの中でも、特にオーディエンスからのレスポンスが盛んになる「A Paper Dream」「All I Want」をプレイ。フロア最前列にクラウドサーフが発生するほどの熱狂で、メンバーのステージングもより激しいフィニッシュとなった。
DYGL「東名阪 TOUR'23」2023年7月3日 渋谷CLUB QUATTRO セットリスト
01. I’m Waiting For You
02. Take It Away
03. Let It Sway
04. The Rhythm of the World
05. Dazzling
06. Overly
07. Oxidize
08. Acervation
09. Boys On TV
10. Shadow
11. Waves
12. Bushes
13. I Wish I Could Feel
14. Shook Down(オリジナル:Yuck)
15. Half of Me
16. Let It Out
17. I've Got to Say It's True
18. Waste of Time
19. Sink
20. Under My Skin
21. Come Together
<アンコール>
22. A Paper Dream
23. All I Want
はるか @haru_it_art
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