映画「
本作は転売で日銭を稼ぐ吉井良介を主人公に、現代社会に潜む憎悪の連鎖が“集団狂気”へとエスカレートしていくさまを描いたサスペンススリラー。菅田が吉井役で主演を務め、吉井の謎多き恋人・秋子に古川、吉井に雇われたバイト青年・佐野に奥平、ネットカフェで生活するフリーター・三宅に岡山、工場の社長・滝本に荒川、吉井の転売業の先輩・村岡に窪田が扮した。
第81回ヴェネツィア国際映画祭のアウト・オブ・コンペティション部門にて、ワールドプレミア上映が行われた本作。現地を訪れた黒沢は「観客の皆さんに熱心に観ていただけたと思います。映画祭って、つまらなかったり次の鑑賞予定があったりして、途中で出ていく人も多いんですよ。覚悟してたんですけど、ヴェネツィアでもトロントでも誰も出ていかなかったです」と報告する。菅田は「さっきも監督から直接聞いてたんですけど、これを語ってる監督がうれしそうで、僕もうれしかったです」とほほえんだ。
黒沢組初参加となる菅田は、現場について「毎日楽しかったです! スタッフさんもすごくいきいきされている印象で、助監督さんがエキストラの方の演出にこだわっているのはあまり見たことがなかったですね。皆さん楽しそうでした」と振り返る。古川は「緊張感があったなと思います。カメラワークと連動させてお芝居をするシーンが多かったので、キャストだけじゃなくてスタッフさんもみんなで息を合わせて作っていきました」と述懐。メインキャストの中で最年少の奥平は「バキバキに緊張していた」そうで、彼は「物語の最後のほうのシーンを撮っていたときは緊張しすぎて、終わったあとに録音部さんに『心臓バクバクだったね』と言われたぐらい」と打ち明けた。
岡山は「最初に台本を読んだとき、めちゃくちゃ笑けてきちゃうような、めちゃめちゃ怖いような、両極端なところを行ったり来たりする印象があった。実際に俳優の皆さんと現場で再現していくのがワクワクする現場でした」と述べる。完成した映画については、荒川が「『こういう感じで映っているんだ』と、照明やカメラワークなど1つひとつのこだわりを感じました。鉄砲の映し方とかすごいなと思います」、窪田が「奥行きみたいなものが観る側に委ねられている。観るときの体の感覚や思考の状態によっても違ってくると思うので、それが面白いと思います」と魅力を伝えた。
撮影期間、印象的だったことを問われた黒沢は「強烈に残っているのは、テレビや映画ではどちらかというと物静かな印象だった窪田さんが、こんなに陽気で面白くて楽しい人なのか!と。お芝居で残酷なことをしていても、カットがかかったら本当に楽しい現場になる。どの現場にも窪田さんがいてほしい」と窪田のムードメーカーな一面を明かすも、窪田は「明るかったですか?僕。そんなにはしゃいでたっけな……」と反省気味。菅田は、“いつの間にか狙われる”吉井の役どころについて「僕は怖かったです。でも追っている皆さんがすごい楽しそうなんですよ。監督なんて、怖ければ怖いシーンほどニヤニヤするんですよ」とこぼした。
イベントの後半には、本作の“気がつけば標的”というコピーにちなみ、“気がつけば〇〇”というお題でそれぞれがトークする場面も。黒沢は「最年長」、窪田は「スピ(リチュアル)認定」、荒川は「一人」、岡山は「(ランニング中の)迷子」、奥平は「耳かき」、古川は「(飼っている猫の)標的」と回答。「緊張」と答えた菅田は「この映画のクランクインの前日にピーラーで親指をけがしたり、ごはんを食べているときに奥歯が割れたり、現場中にひげを半分剃ってしまったり……。こんなに緊張するんだと思いました」とエピソードを披露した。
「Cloud クラウド」は9月27日より東京・TOHOシネマズ 日比谷ほか全国でロードショー。
tAk @mifu75
【イベントレポート】菅田将暉「Cloud」の現場は「毎日楽しかった!」、黒沢清は窪田正孝の陽気さに驚く(写真32枚) https://t.co/6IL0FFm496