映画「
本イベントは作品の上映後に行われた。福士は客席を見回し「皆さんがどう思っているのか、不安のほうが大きいです。圭介と佳代のインモラルな関係性などストーリーの軸はたくさんありますし、1人ひとりにお話を伺いたいくらいです」とほほえむ。松本は「撮影中は、出口が見えずキツかったです。でも監督は、そんな私をひたすら信頼し続けてくれました」と振り返り、「ようやくこの作品に関わった意味を実感しています。本当に美しいものを『美しい』と思えるようになって、生きるうえで大事なものをこの映画から教えてもらいました」と伝えた。
殺害された老人の妻・市島松江役の三田は「人生を背負って立っているような松江さん。こういう人を演じることは、役者冥利に尽きました」と述懐。大森が「“戦争の男たち”はよく描かれますが、(松江は)“戦争の女”なんです。戦争の負の部分を背負い続けているので、(演じるのは)かなり難しかったと思います」と述べると、三田は「わかっていたのね、監督。すごく辛かった……」と吐露した。
圭介の上司で、事件の容疑者を激しく追い詰める刑事・伊佐美役の浅野。出演を決めた理由を尋ねられると、「やっぱり福士くんを痛めつけられるというのが……」とジョークを飛ばす。続けて彼は「福士くんとこういう演技ができるのは楽しみでした。伊佐美はひどいことをする役ですが、その背景に何があるのかも描かれています。彼の絶望やその裏返しは、演じていてやりがいがありました」と口にした。福士は「僕は今回、脊髄反射的にお芝居をしようと心がけていましたが、それを体現しているのが浅野さん。目の前に憧れの存在がいるというのはプレッシャーでもあるんですが、ちょっとずつ吸収していこうという思いでした」と回想する。
イベントでは、吉田からの手紙が代読される一幕も。「試写でこの映画を見終えて、私は言葉を失いました」「一人でも多くの方がこの映画に触れ、福士蒼汰さん松本まりかさん、お二人の鬼気迫る姿に、そして湖の夜明けの美しさに、私と同じように言葉を失ったならば、この作品が伝えようとしたものは、きっと届いたのだろうと思います」とメッセージが読み上げられる。福士は「ありがたいお言葉をいただけばいただくほど、自分の未熟さを実感しちゃうんです。でもお褒めの言葉をいただきうれしいですし、素直に受け止めたいと思います。この作品で役者として大きく変わりましたし、人としても言葉の扱い方が少しずつ変わってきたと思います」とコメントした。
涙を流しながら吉田からの手紙を受け止めた松本は「正直な話をすると、この作品を受けたこと自体、非常に罪深いと思っていました。自分はこの役を体現するには未熟すぎました。だけど、どうしてもやりたかったんです。それはただただ、自分にとって必要な映画だったからです。吉田さんからお言葉をいただき、さらにその罪深さは増しましたが、私にとって救いでした」と言葉を紡ぐ。大森は「吉田さん、参っちゃうな......」と感激した様子を見せ、「吉田さんとは何度もお話ししていて、仲間だと思っているので『仲間でいてよかった』とすごく思います。同じ方向を向いて作品を作っている人が日本にいるということが心強いです」と語った。
最後に福士は「何より、隣で松本さんが佳代としていてくれたことが大きかったです。撮影中は(役作りのため)まったく話しませんでした。このキャンペーン中にわかりましたが、彼女はすごく不器用だけどめちゃくちゃ熱いものを持っている人。そのエネルギーとピュアさが、佳代という存在にリンクしました。そばにいて、人間的で美しいと感じます。松本さん、ありがとうございました」と頭を下げる。松本は「(撮影中の)本当にキツかった時期を、今回収してもらいました。怖かったです!(笑) ありがとうございました」と笑顔を見せた。
「湖の女たち」は全国で公開中。
映画「湖の女たち」予告編
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