ロマンポルノ新作引っさげ松居大悟、白石晃士、金子修介ら登壇「3作品とも女性讃歌に」

日活ロマンポルノ50周年記念プロジェクトの企画で、新作3作品の連続公開を記念した「公開直前『ROMAN PORNO NOW』祭りトークイベント」が本日8月18日に東京・神楽座で行われ、各作品のキャストと監督が登壇した。

第1弾「手」では、山崎ナオコーラの同名小説をもとに、歳上ばかりと付き合っているのに父とはうまく話せずギクシャクしている女性・さわ子の恋模様が描かれる。さわ子役の福永朱梨は「さわ子は自分と近いという第一印象でしたが、演じてみると『なんでこんなこと言うんだろう』と迷ってしまって。役をコントロールしようとするのではなく、さわ子に任せていくうちに自由になれる感覚でした」と回想。会社の同僚・森役の金子大地は、演じた役について「クッソみたいな……いや、ごめんなさい（笑）」と口を滑らせたのち「まっすぐなんだけど、本当のことを言っているのか嘘をついてるのかわからない感じをイメージしていたので、そこがうまく表現できていたらいいなと思います」と語った。監督の松居大悟は「今までロマンポルノに触れてこなかった人や女性に向けた作品」を目指したと言い、「さわ子の意思がきちんとあったり、手をつないでいいか確認してからつなぐなどを意識しました」と劇中の描写に言及した。

第2弾「愛してる！」は、川瀬知佐子演じる地下アイドル・ミサがSMの世界に目覚めていく過程を描く物語。慣れないことばかりに挑んだ川瀬は「縄、鞭、歌、踊り、いろいろあってあっという間でした」と苦労をにじませた。緊縛については「あやとりが苦手で、（緊縛は）そのレベルアップしたものみたいと思って、お手本を見せてもらったとき不安でしたが、プロフェッショナルの方々がサポートしてくださってできました」と感謝。SM好きを公言する高嶋政宏は、本作にもSMクラブの常連客“高嶋政宏”役で出演しており、オファーを受けた際の喜びと驚きを口にする。その一方、歌舞伎町で緊縛の初級講座に通っていると明かし「SMの職人たちが観に来ると思ったら、突然震えが。そういう人たちが観ても大丈夫なものにしたかった」と並々ならぬ気合いで臨んだことをうかがわせた。監督の白石晃士も「プレイにリアリティがあるように見えるように、SMに対するイメージが誤解なきようにしたかった。一歩踏み込んでみるとSMは優しい世界だなと思ったので、それを感じ取ってもらえたら」と呼びかける。

大人の女性を艶めかしく映し出す第3弾「百合の雨音」からは、監督の金子修介、ダブルヒロインの小宮一葉と花澄が登壇。「新人監督のつもりで撮りました」と“原点回帰”を示した金子は「『純愛こそが官能である』をテーマに、いかに美しく撮るか気を付けました。これほどお芝居に打ち込んでいる美しいお二人に表現してもらえてありがたかったです」と語る。女性の働き方や妊娠出産の葛藤も描かれており、小宮は「人を好きになることってシンプルで、私もシンプルに生きたいなと思いました」、花澄は「ステレオタイプな名誉が欲しくてがんばっているけど、うまくいっていないという役どころ。この人は本当に救われてほしいと思いながら演じました」とそれぞれ述懐した。

最後に改めて松居は「『手』から始まってどんどん深くなっていくので、3作品観たらロマンポルノの沼にハマっていると思います」、白石は「『愛してる！』は飛び道具的な作品ですけど、笑いながら楽しんでもらい、気楽な気持ちでSMの世界をのぞいてもらえたら」とメッセージを伝える。金子修介は「徹底的に美しく官能的に撮りました。3作品とも図らずも女性讃歌になっている。今回の『ROMAN PORNO NOW』は女性讃歌だと断言します」と本企画のテーマを強調した。

第1弾「手」は9月16日、第2弾「愛してる！」は9月30日、第3弾「百合の雨音」は10月14日より東京・ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国で順次公開。

※すべてR18+指定作品
※高嶋政宏の高は、はしごだかが正式表記