第43回ぴあフィルムフェスティバルのコンペティション部門・PFFアワード2021の入選作品が発表された。
PFFアワードは1977年にスタートした自主映画のコンペティション。黒沢清、諏訪敦彦、園子温、塚本晋也、李相日、荻上直子、石井裕也ら160名を超えるプロの映画監督を輩出してきた。
本年、集まった作品は489本。高校生監督2名の作品を含む18本が入選した。入選作の監督の平均年齢は25.4歳で、最年少は18歳、最年長は49歳。上映時間は平均36.1分で、最短5分、最長92分となっている。
ぴあフィルムフェスティバルのディレクター・荒木啓子は、職業欄に「俳優」と書かれた応募用紙が多かったことに触れ「まるで、映画の草創期のようではありませんか? 衣笠貞之助、マキノ正博、バスター・キートン、チャールズ・チャップリン、ヴィットリオ・デ・シーカ…俳優が、現場で一番映画づくりを吸収できるポジションである。そんな状況になっているのかもしれません。大変興味深いです」とコメントした。
第43回ぴあフィルムフェスティバルは東京・国立映画アーカイブで9月11日から25日にかけて開催。なおPFFアワード2021の入選作品はぴあフィルムフェスティバルで上映されるほか、DOKUSO映画館とU-NEXTで配信される。
第43回ぴあフィルムフェスティバル
2021年9月11日(土)~25日(土)東京都 国立映画アーカイブ ※月曜休館
PFFアワード2021 入選作品・監督
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「苺のジャムとマーガリン」10分 監督:宮永咲弥花(18歳 / 埼玉県出身 / 埼玉県立芸術総合高等学校 映像芸術科)
「壁当て」10分 監督:井上朝陽(19歳 / 大阪府出身 / ビジュアルアーツ専門学校 大阪)
「巨人の惑星」25分 監督:石川泰地(25歳 / 東京都出身 / フリーター)
「帰路」19分 監督:高橋伊吹(18歳 / 愛知県出身 / 瑞陵高等学校)
「グッバイ!」31分 監督:中塚風花(20歳 / 滋賀県出身 / 会社員)
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「五里霧中」40分 監督:曽子明(26歳 / 中国出身 / 武蔵野美術大学 造形学部映像学科)
「サイクルレース」5分 監督:倉澤紘己(21歳 / 東京都出身 / 武蔵野美術大学 造形学部映像学科)
「Journey to the 母性の目覚め」5分 監督:
「転回」14分 監督:岩崎敢志(24歳 / 愛知県出身 / フリーター)
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「Parallax」34分 監督:野辺ハヤト(49歳 / 埼玉県出身 / フリーランス)
「豚とふたりのコインランドリー」22分 監督:蘇鈺淳(26歳 / 台湾出身 / 東京藝術大学大学院 映像研究科映画専攻)
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「みなみとあした」22分 監督:林崎征大(22歳 / 東京都出身 / 武蔵野美術大学 造形学部映像学科)
「夜の帳につつまれて」70分 監督:松林悠依(23歳 / 三重県出身 / 早稲田大学 人間科学部)
「ROUTINE」21分 監督:宮原拓也(28歳 / 東京都出身 / 映像作家)
※作品名50音順、作品や監督の詳細は応募時のもの
荒木啓子 コメント
PFFアワード2021へのご応募ありがとうございます。
春から初夏まで、489本の映画をセレクション・メンバー16名で拝見してきました。結果、一次審査会議、二次審査会議とも、かつてなくセレクション・メンバーの推薦がわかれ、「映画」というものが、驚くほどの多様さ、多彩さをもつものにかわってきているという、ここ数年の感触を、更に実感する年となりました。
何をもって「映画」なのか? その問いとともに映画に向かう状況が、更に拡がっている感触です。
また、本年の驚きのひとつは、応募用紙の職業欄に「俳優」の多いことです。まるで、映画の草創期のようではありませんか? 衣笠貞之助、マキノ正博、バスター・キートン、チャールズ・チャップリン、ヴィットリオ・デ・シーカ…
俳優が、現場で一番映画づくりを吸収できるポジションである。そんな状況になっているのかもしれません。大変興味深いです。
本年は、18作品を「第43回ぴあフィルムフェスティバル」で上映する「PFFアワード2021」入選作品とさせていただく結果となりました。監督の年齢も作品の志向も長さも、見事にヴァラエティに富む結果をご覧ください。
毎年、セレクションは苦しくも刺激的な時間になります。改めまして、本年も映画を生み出す皆様への感謝と敬意を捧げるとともに、応募の御礼を申し上げます。
9月11日に初日となる「第43回ぴあフィルムフェスティバル」は、コンペティション「PFFアワード」と、「招待作品部門」で構成します。「招待作品部門」では、映画の歴史を次代に繋ぐことをひとつのテーマとしています。
映画に勝る映画の教材はない。心に残る映画を、どんどん真似して、どんどん自分の技術を積んでいってほしい。映画祭で、映画漬けになり、新たな映画を芽吹かせ、育てていってほしい。その循環を続けていきたいと思っています。映画を観る人も、つくる人も、どうぞ「第43回ぴあフィルムフェスティバル」へご参加ください。驚きの13日間をお約束します。
※塚本晋也の塚は旧字体が正式表記
※岩崎敢志の崎は立つ崎(たつさき)が正式表記
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高知県映画上映団体ネットワーク(35mm) @einee_kochi
PFFアワード2021入選作発表、U-NEXTとDOKUSO映画館で配信 https://t.co/FtYjbdCPZI