田中千禾夫が1959年に発表し、第6回岸田演劇賞、第10回芸術選奨文部大臣賞を受賞した戯曲を映画化した本作。戦争の爪痕が色濃く残る昭和32年の長崎を舞台に、焼け落ちた浦上天主堂に残ったマリア像を人知れず運び出そうとする2人の女性の姿が映し出される。
被爆によるケロイドを持つカトリック信徒・鹿役で高島が出演。詩集を売りながら、原爆の跡地で自分を犯した男を探している忍を黒谷が演じる。マリア像の声を
「天心」「サクラ花 -桜花最期の特攻-」「ある町の高い煙突」などを手がけた
高島は「撮影前に長崎で被爆者の方から直接お話を伺ったことで、とても気持ちの入った演技が出来ました。教科書では習わなかったことや被害の大きさ、被爆者差別などを知って愕然としました……コロナ禍にある現在との共通点も強く感じます」とコメント。飛行機の中から長崎の街を見た際を振り返った黒谷は「戦争は過去にあった出来事などではなく、人類が確かに行ってしまったしわざであって、何かの歯車が少し狂っただけで、この当たり前な平和は保っていられなくなるのだと強く感じました」と述べた。
「祈り ー幻に長崎を想う刻ー」は、長崎のユナイテッド・シネマ長崎で8月13日に先行公開される。
※高間賢治の高は、はしご高が正式表記
高島礼子 コメント
撮影前に長崎で被爆者の方から直接お話を伺ったことで、とても気持ちの入った演技が出来ました。教科書では習わなかったことや被害の大きさ、被爆者差別などを知って愕然としました……コロナ禍にある現在との共通点も強く感じます。本作では、皆さんが1つの目的を持って力を合わせれば、きっと成果につながるという熱いメッセージが込められています。是非、映画をご覧いただき、何かを感じ取っていただければと思います。
黒谷友香 コメント
76年前に上空約500メートルの高さで炸裂した一発の原子爆弾により、長崎の街は一瞬で破壊され多くの方々の命が奪われました。長崎ロケに向かう飛行機が徐々に高度を下げ、眼下に広がる街並の中に人々の暮らしを見た時、戦争は過去にあった出来事などではなく、人類が確かに行ってしまったしわざであって、何かの歯車が少し狂っただけで、この当たり前な平和は保っていられなくなるのだと強く感じました。世代を超えて、特に若い方々に是非観ていただけたらと思っています。
松村克弥 コメント
長崎の被爆を舞台にした作品は多いが、田中千禾夫の原作は戦後10余年の設定にしたところが秀逸。経済成長をめざす流れの中、被爆の記憶を必死に残そうとする名もなき市民、しかも女性たちが主役である。戦争は悲劇であるはよく言われるが、田中の原作は、戦後もそれが続く現実を庶民の目から徹底的に真摯に描く。戦後75年を超え、いまだ悲しいニュースや不穏な時世に揺れる日本と全世界に、田中が遺した劇中のセリフを捧げたい。私たちに今も響く真の言葉である。「一緒にいのちのゆくえば祈りましょう」
椿原 敦一郎 @teamokuyama
高島礼子と黒谷友香のW主演作公開、浦上天主堂からマリア像盗もうとする信徒描く https://t.co/90dkzgbl1d